王族物語にありがちなこと
いつもは一家団欒の象徴であったこの大広間に今はお父様とお母様はいない。
いるのはとても不機嫌な私とそんな私を笑顔で見つめるブランクシュバルツ。
彼はこの国に居座る5大貴族の1つシュバルツ家の党首でアリスちゃんの昔からの知り合い。そしてアリスちゃんは昔からこいつのことをずっと嫌ってた、私もだ。
「で、なんの用ですかシュバルツ様。」
「前から様付けはやめてくれと言ってるんじゃないかアリス。」
「いいえ、歳上にはちゃんと敬意を払うべきと習いましたのでシュバルツ様。」
「もう、かたっ苦しいしいのは僕は苦手なんだけどなぁ」
「要件を早く言ってもらいます?私はもう一度お風呂に入らなければいけないので、誰かさんのせいで途中で出る羽目になったので。」
「おっとそれは失礼したね。私はただ君の姿を見たかっただけだったのに。」
「失礼します。」
机をダンっと叩くと立ち上がりシュバルツに背を向け歩きはじめる。扉の前に立っていたロゼリアは私を止めるどころか扉を開き彼に向かって一礼をする。
「ちょちょちょっ!ごめんごめん冗談だから!」
「はぁ?」
この時の私はきっと一般庶民には見せらない顔をしてたのであろう。
「今のは嘘嘘、そんな理由だったらいくら僕でも城に入らせてくれないでしょ?ね?」
「そうでしょうね、私はどんな理由があっても貴方を城には入れませんが。」
「でも僕はちゃんとした理由があるからここにいるんだけど。」
「…」
ロゼリアに視線を向けると彼女は首を縦にふっている。私は一度大きなため息をつくと再び椅子に座りロゼリアは扉を閉めた。
「で、なんでしょうかシュバルツ様。」
「やっと話を聞く気になってくれたんだね。」
「私はただ早くお風呂に入り直したいだけです。」
「その時は一緒に入ってもいいかな?」
「はぁ?」
「ははっ、冗談冗談。」
「本当に帰りますよ?」
「ごめんごめん。」
「次はないですよ。」
「分かってるって。
それじゃあ長ったらしいのも潔くないから簡潔に言うよ。アリスちゃん、僕の家に来ないか?」
「帰ります!!!」