文化がなければ作ればいいじゃん
この世界にはお風呂という文化がなかったと知った時は流石に驚いたよね。
それじゃあみんなどうやって身体を洗っているのかととっても不思議だった。もしや身体を洗う文化すらなかったのか?いやいやそれにしてもみんな臭くなかったし。
多分こっちに来てから3番目くらいに悩んだことだった。
だけどその疑問は初めてのライブの後に速攻で解決した。
簡潔にいうと水浴びだ。
汗だくの私をロゼリア含む数人の使用人さんがステージ裏に戻ってくるやいなやまるで大道具を運ぶかのように担ぎこまれそのまま外にある王家専用の巨大な池に連れて行かれた。
戸惑う私をよそにロゼリアに青いドレスを脱がされ哀れもない全裸を無理矢理露呈させられた。
当然恥ずかしったよ、まだ右も左も分からないところで突然裸にされたんだから。
その後は池からすくった水を頭からかけられ、身体を洗われ、頭をゴシゴシされ、また冷たい水をかけられ…。
そんなことを1時間近くやられた。
嫌だった。
本当に嫌だった。
すぐにそれをロゼリアに言ったけど彼女は「なに言ってるんだこの人は」って呆れ顔をされる始末。
少し考えて見れば当然だった。ここは私のいた世界とは違うんだから。
この行為はこっちの世界では常識で普通なこと、当たり前なことだからね。
だったら私が新しい常識を作ればいい。幸いアリスちゃんにはその権力を権利もある。
後は至って簡単だった。この世界には火を使うことについて特に苦労することはない。だから普通にみんなお湯を沸かせるし使っている。
ただお湯に浸かるという常識がなかっただけだ。
そのことに気づいた私はこう言った。
「巨大な桶にお湯を満たしてください。」
その時の私はさぞワガママ娘だと思っただろうね、最初はみんな戸惑っていたけど逆らうこともできず言う通りに準備してくれた。
そして私はそのお湯の海に無我夢中にダイブする。
女王の娘であり時期国王であり世界唯一のアイドルである私がそんな大胆で非常識なことを平然としたのだ。
周りにいた人のビックリした人達の顔は今でも忘れられないよ。
けどそれ以上に次元を超えた風呂の気持ちよさには勝てなかった。
でも本番はこの後、この気持ちよさを継続的にさせなければならない。
私はロゼリアにお父様とお母様をここに来るように命じた。
全裸の哀れのない私を見た両親は怒りを通り越して呆れた表情をしていたけどそんなお母様を一緒に入ろうと誘ったが勿論拒否をする。分かってる分かってる。
だから私は
「お母様が入らないなら私は二度と歌わない」
と宣言する。
普通の家庭ならそんな娘のわがまま母親が全力で怒って懲らしめらるでしょう。
が、ここは普通の家庭、私は普通の娘じゃなかったのだ!
私の機嫌1つで国が、この世界がひっくり返ることなんて動作もない!権力は使うに限る!
お母様はそれ以上何も言うことができずお父様を含めロゼリア以外の人を追い出しまるで地獄のそこに入るかのように恐る恐るこの世界初めての風呂に浸かる。
そしてお母様は風呂の魔力に落ちた。
後は私がすることは何もない、お母様は取り憑かれたようにお父様を風呂に入れ陥落させる。
完全に風呂の虜になってからこの城に巨大な風呂を至急作るように命じ国屈指の建築家が集められ三日三晩の作業により巨大な入浴場が完成する。
お父様はいつも奉仕しているというご褒美としてこけら落としならぬこけら入浴を城で働いてる人達提供し皆風呂という幸福を知った。
幸福を知った者達は何を命じるわけもなく庶民達にそのことを伝え自分達で試し風呂という沼に落ちる。
その人達がまた別の人々に伝えるのを繰り返し風呂の魔力が国全体に感染するまでそう時間はかからなかった。
こうして国のあちこちに私の世界でいうとこの銭湯が完成し人々はお湯に浸かる楽しさを知ったのとさ。