部屋の確認は大切に
私達が案内されたの会場からすぐ近くにあるシャメーラヌ領主のお屋敷。
今日私達はここに朝食付きの一泊二日で宿泊する。
領主様の計らいで私、ロゼリア、マリアそれぞれ個別に部屋を与えられたんだけど警備のこともありロゼリアは私の部屋に泊まることになり、それを聞いたマリアも「じゃああたしもー!」の一言で彼女も私の部屋にくることになった。
さあここで問題が発生した。
「寝具が一つしかない…。」
私に割り当てられたとこは立場的なこともあってここでの一番大きい部屋、大きなテーブルや椅子、浴槽も備えられてるいわばファーストクラスのお部屋なんだけどどうやら一人で泊まることを想定してあるようで大きなベッドが一つ主を眠りを誘うように待っていた。
「でもさ、この大きさなら頑張れば二人は寝れない?」
「では私はあそこの椅子で寝ますのでアリス様まとマリアはどうぞベッドでご就寝してください。」
「ダメだよ、ロゼリアはここまで一人で馬車動かしてくれたのにある意味一番疲れてるじゃん。ちゃんとしたとこで疲れと同じらないと。」
「じゃああたしが椅子で寝ようか?あたし着付けしかしてないし。」
「マリアは私の近くでずっと支えてくれたじゃん、そんな人を椅子で寝かすなんてこと私の良心が許さない。」
「アリスちゃん…」
「だから私が椅子で…。」
それはダメです!!!
それはダメだよ!!!
話は平行線のまましばらく続いた。そうしてる間にも私達の披露が蓄積され精神力がすり減っていく。
なんで疲れを癒やすベットを巡り疲れなきゃいけないのか?
私達はそんな矛盾を抱えながら不問な争いを繰り広げている。
「ねぇ…いい加減誰が寝るか決めない…? 流石に眠くなってきた…。」
「そうですね、これ以上やると警備にも支障をきたします。」
「まあとりあえず一人は決まったけどね。」
私とロゼリアの視線の先にはベットの中でスヤスヤと眠るマリアがいた。
不問な言い争いが続く中で彼女はいち早く脱落…
、いやこの場合は一抜けをして眠りのそこについた。
ロゼリアがウトウトして今にも倒れそうな彼女をベットインさせて残る枠は残り1つとなった。
「マリアはずっと王族貴族と中にいて思ったより精神をすり減らしていたんでしょうね。今はそっとしておきましょう。」
「うん、そういえばロゼリアはなんでマリアが王族貴族のこと嫌いのか知ってるの?」
「はい、勿論知っています。ですがアリス様、そのことは私の口から話すよりも彼女から直接聞いたほうがいいと思います。」
「勿論そのつもりだよ。マリアが自分から話してくれるまで私は聞かないし聞こうとしない。そう決めたから。」
「そうですか。」
この時のロゼリアは少しはホッとしていた表情をしていた。
なんでかは分からない、でも私の選択は正しいってことは分かる。
きっとロゼリアは私にこうしてほしかったのかもしれない。
コンコンコン
そんな少しだけほのぼのとした空間を遮るかのようにドアを叩く乾いた音が鳴り響く。
「あれ、誰だろうこんな時間に?」
時計を見るともう日付が変わる前、普通なら迷惑もいいところだ。
「私が出ます、アリス様は念の為奥に。ですが窓の近くには近寄らないでください。こっちが揺動で窓側から攻めてくる可能性がありますので。」
「う…うん。」
私は言われたように窓ともドアとも一定の距離をとり警戒をする。
「どちら様でございますか?」
その問いかけに扉の向こうにいる誰は反応しない。
「なにかご用でしょうか?アリス様は今ご就寝になっておりますのでご用なら私ロゼリアがお伺いします。」
やはり何もあちら側は無言のままだ。
ロゼリアはいっきに険しい表情となり服のポケットからナイフを取り出すとドアに背中に身を任せた。
「なにも反応がありませんので失礼ですがこちらから扉を開けさせてもらいます。」
ロゼリアはそういうと静かにドアを開く。





