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この世界で歌えるのは私だけ  作者: 天神
遠くの土地での小さな出来事
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あたしから見たアイドルさん

あたしがアリスちゃんのことを初めて知ったのはまだ10歳の時、あの感じだときっと彼女は覚えてなさそうだけど私とアリスちゃんは会ったことがある。

この街に王様と女王様が理由は分からないけどやって来た時、アリスちゃんも女王様の長いスカートを離れないようにしっかりと握りしめながら移動していたのを私は遠目で見ていた。

女王様は困っていたけどあたしの姿を見るとアリスちゃんを連れてこちらにやってきた。

そして女王様は怖がるアリスちゃんをあたしの前に半強引に引きずりだすと「大丈夫だよ」と手を伸ばさせてあたしに「この子同じ年齢の子が一人しかいなくて寂しがりやなの、だから少しこれから何かあったら助けてくれませんか。」と私に言った。

この時はどう意味か分からなかったけれどあたしは一言「分かった」といいアリスちゃんと手を握ると彼女は柔らかい笑顔になったのを私は今でも覚えてる。

けどその後最近までアリスちゃんと会うことはなかった。




13歳の時、私は王族貴族を嫌いになった、できればこの世から消したくらいには。

だけど2人だけは嫌いにならなかった、それだけは絶対にやめようと心に誓った。







15歳になった時仕事の都合でアナスタシア言った時、最近話題になってるアイドルという人物のライブってやつの観覧券を貰った。

シュリガレは田舎で人の出入りもそんなに多くないから別の地方の情報なんて自分で調べないと全く手に入らない。

だからこの時の私はアイドルとかライブとは言われるがままに会場に行った先にいたのはあの時女王様に引っ付いていたアリスちゃんは満員の会場の舞台の上で1人笑顔で歌っている光景だった。

凄かった、ほんんんっと!!凄かった!

あのアリスちゃんが!小さかったアリスちゃんが別人のように見えた。

わたしはそれから彼女の虜になった。情報を集めライブに行ける時は絶対に行った。

でもそれでも心に引っかかるものがあった。それは彼女が王族だったから。








17歳の時、アリスちゃんがこの店にやってくる聞いた時凄い嬉しかったし興奮した。

でも実際に会った時やっぱり彼女も王族なんだと感じてしまいあたしの嫌な部分が出てしまった。嫌いにならないようにと心に決めたのに。

きっとアリスちゃんは嫌な思いをしたでしょう。

でも接していくうちに彼女は王族、アイドル以前に一人の同じ歳の少女だって分かった。

だから私は心に改めて決めた、アリスちゃんを王族として見るのをやめよう、同じ年齢の一人の少女として見ようと。

女王様に言われた通りキラキラしている彼女を影から支えていこうと。



そしてアリスちゃんは今凄いキラキラしている。

彼女が言葉を話すたびそれが形になって現れる。

彼女が踊るたびそれがみんなの心を震わせる。

私が作った衣装を着て、私が作った飾りをつけ、目に映るみんなに手を振って応援に応えてる。

あんなに汗かくのは嫌だ、動きたくないと駄々こねていたのに額から絶え間なく流れる汗が床に滴り落ち、ずっと止まることもなく踊り続ける。

歌が終わっても観客の声援に返事をしたり要望に冗談を交えながらも反応しまた次の歌を歌う。

今ここは彼女の独壇場、ここにいる全員が彼女の虜になる。

この時間が永遠に続けばいいと思っていた。

あの時見たアイドルとしてるアリスちゃんがそこにいた。

やっぱり私はアリスちゃんのことが大好きだ。



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