謝罪と双子と本番開始
「本当に久しぶりだね、あの時は迷惑をかけてた改めて謝罪するよ。」
会いたくない人ほどどういう訳か会ってしまうものである。
それも一番会いたくない時の会いたくないタイミングで。
ここには私のファンの双子ーずがいる。もし普段の通り接してたら彼女達の私のイメージが崩れてしまう。
ならやることは1つ、外行きモードで軽く受け流そう。
「それであの後あの人達はどうなりましたか?」
「先日ちゃんと厳正なる裁判の元全員の処分が決まったところだ。」
「…そうですか。」
「おや、そこに居るのはゴランダのご令嬢の娘達ではありませんか。ご無沙汰しております。」
シュバルツは双子ーずを見ると笑顔でそういった。
「シュバルツ久しぶりー!」
「マシューさんもサンサン太陽さんご苦労さんです。」
マシューはナースちゃんの奇想天外な言動にも動じずいつもの通り無表情のまま彼女達をじっと見ている。
「えっ、何?4人は知り合いなの?」
「まあ、こういう催しに参加する王族貴族はどうしても限られてくるからね。それに何度も参加してると嫌でも顔馴染みになってしまうものだよ。
でも彼女達はまだ幼いからこういう場所にくるのはなかなかないですよね。」
「子供は遠出厳禁現金に釣られて連れ去られてしまいますとお父さんが言ってました。」
「全くナースさんは相変わらず面白い人ですね。」
まるでこの場所に顔見知りが誰もいないのはちゃんと王族の仕事をしていないからだとしか聞こえない会話に凄い耳が痛い。
でも紛れもない真実だからしょうがない、受け止めましょう。
「それで、アリス様がここにいるということはそういうことでいいのかな?」
「はい、思った通りでございますよ。」
「良かったですね酔いどれお姉さん、これでより良いヨーイドンができるわけです。」
「えっ、なに。どういうこと?」
この場で唯一理解できていないバースちゃんは首をフリフリと動かす。
まあこれだけで理解できるナースちゃんのほうが凄いというか…。
「アリス様、お時間です。」
そうロゼリアは耳元で囁く。
私はバースちゃんの近くにより今度は自分から彼女の手を掴む。
バースちゃんは一瞬「えっ」と困惑するけど直ぐに笑顔になった。
「大丈夫、直ぐに分かるから。だからもう少しだけ待ってて。」
「うっ…うん!!」
「正直意外でした。」
「えっ、何が?」
「ここに来た本当の理由を伝えた時もっと嫌がるかと思いましたので。」
「ああ、それね。私だってさ…。」
「衣装の着付け全て終わりましたアイドルさん。これでいつでも行けます。」
アリス様、では準備をお願いします。
その係の人の言葉を聞いた私は2人の元から離れ灯りのついている場所にゆっくりと歩きだす。
その途中一度足を止め振り返りロゼリアに視線を合わせてどこか照れ臭そうに言った。
「私だってさ、変わりたいお年頃なんだよ。」
ご来場の皆々様、本日はシャメーラヌ領主皇太子様ご生誕20周年祝賀会にお集まり頂きありがとうございます。
これより今から会を開始したいと思います。
早速ですが皇太子様直々のご希望で始めに1つの余興をご用意しました。
アナスタシア王国国王陛下の皇女であり、時期女王陛下になるお方、そしてこの国ただ一人のアイドルであるアリス様による特別ライブの始まりです!!





