因果応報
「アリス様さっきから何も喋っておりませんがどうかされましたか?」
私達は無事会場入りし案内された控室までの道を歩いていた。
流石王族貴族が通る場所だけあって私達のお城ほどではないけどキラキラした装飾や高そうな絵画か壁を埋めるかのように飾ってある。
そんなのとは裏腹に私の心の中にはモヤモヤしか残ってない。
「別にどうもしてないよ。」
「いいえ、普段のアリス様ならここでひたすら愚痴や不満を言ってるところですが今のとこ何も言っていないのは不自然極まりないです。」
ロゼリアさん、貴方私のことそう思っていたのですかそうですかごめんなさいね。
いや、実際間違ってないんだけど…。
「ロゼリアロゼリア、ちょっとちょっと。」
そう言いマリアがロゼリアの元に駆け寄ると何かを耳打ちをしそれを聞いた彼女は「ああっ」と納得したように声を出した。
「アリス様はさっき私が憲兵に言ったことを気にしていたのですね。」
「…別に…。」
「すいません、あの時はああ言っとかないとアリス様に汚い手を触れさせないようにするためにはしょうがなかったのです。
それにしてもあんなこと気にしていたのですね。」
それにしてもって…。
「ええ、気にしてましたもの、嘘ついたのも含めてね。」
「嘘?」
この言葉にロゼリアが足を止めるとくるりと振り向き私を見つめる。
「嘘、私は嘘なんて1つも言ってませんが?」
彼女はあたかも不思議そうにそう尋ねる。
ロゼリアは私には絶対に嘘をつかない。そうあの時決めたはずだから。
なのでこの言葉は彼女の本心、心から出た言葉。
だから…、だからこそこうツッコミなってしまう。
「いやいや、嘘だよ!嘘の塊だよ!」
私は全力で否定する、ここが偉い身分の人が通る場所だろうが関係ない!大声をあげるんだい!
「私は全部本当のことしか言ってませんが?ねえマリア?」
ロゼリアはマリアのほうに視線を向ける。
「あたしアリスちゃん会ったばっかりだからしらないー!」
何故かノリノリで答えるマリア、彼女はこの状況を心底楽しんでいるご様子だ。
「実際アリス様はお城から滅多に出ない引きこもり状態で、王族としての公務もまともにしない。
体力がないのでここまで歩くのに苦労してました。
自分の水筒も私が持っており、アリス様は汗だく。
ほら、全て真実でしょう?、まあ少し誇張しましたが。」
「なんでよ!なんで誇張させるのさ!」
「より説得力を持たせるためです。」
「にしてももう少しいい…」
私が次の言葉を出そうとした瞬間隣に戻ってきたマリアがポンッと肩を叩く。
その表情は哀れみに満ちていた。
「もう諦めようアリスちゃん、君は負けたんだ、今までの自分の行いに。」
ロゼリアはうんうんと頷きマリアは再び肩を叩き慰める、そして私は控室につくまで無言になる。
この言葉が多分今日一番私の心にグサッと刺さった。
モヤモヤからドロドロになったこの感情は深く深く私の奥底に染み付ききっと消えることは恐らくないのでしょう。
そんで汗もこの瞬間一番身体中から吹き出したとさ。





