とある王族の朝時間
私が転生してきたここはアナスタシア王国。周りには大小大きな国があってここはそれらを束ねる中心となる場所。
私のいた世界でいうなら国というか都会と表現したほうがいいかもしれない。
そしてアリスちゃんはアナスタシア王国の国王アナスタシア7世の1人娘、この国には男性が王につかなきゃいけない法律がない(というか国王が法律を無理矢理変えた)ためにアリスちゃんはありがたいことに時期王様になることが確定してるのである。
まあなんてことでしょう、時期王様がこの世界に唯一の歌える人間だなんて。
こんな都合のいい話があっていいのでしょうか?そう都合のいい、私はこの世界に都合のいいように召喚されて都合のいいように役割を与えられて、都合のいいように見世物にされてる。
私はこの世界において都合のいい女。
「ところでアリス」
「嫌です!!」
昨日のライブからだいたい12時間後私は国王…アリスちゃんのお父さんと女王…アリスちゃんのお母さんと朝食を取っていた。
見るからに王家の食卓なんだけどお父さんがかたっ苦しいのを嫌う性格だからこの食事の時はロゼリア含め使用人は呼ばれない限りは誰もこの空間に入ることは許されず家族団らんの時間がここにある。
「まだ何も言ってないではないか。」
「言わなくても分かります、次のライブのことでしょ?」
「うぅぅ…。」
勿論図星である。
「どうせ次のライブは1ヶ月後にでもしようという下らないことなんですよね?」
「くだらないとはなんですかアリス!貴方がやることは貴方にしかできませんのよ?」
「分かってますよお母様」
「だったらもっと楽しみにしている国民のことを考えなさい、そもそも貴方は…」
「でも逆に言えば私にしかできないことはどんなに強制しようと私にやる意思がなければできないですよね?」
「…ええ…、そうよ。」
「だから最初にやる時私は決めました、ライブをやらないとは言わない。でもやるのは3ヶ月に1回、もしそれ以上を強制するなら私は二度と歌わない。国民がどんなに待ってようが私は関係ないですからね。
で、どうします?私は来月ライブをやりますか?やりませんか?」
「また喧嘩したんですかアリス様」
「喧嘩じゃないよ物別れだよロゼリア。」
自室に戻った私はベットに大の字になり寝転んでいる。
別にアリスちゃんのお父さんお母さんとは仲が良くない訳ではない。
王族という制約はあるけど普段は一般的な家庭と同じくだらない与太話をするし交流もしてる。
でもそれはそれ、ライブの件については話が違う。
両親は王族として国民の為を思い世界唯一のアイドルとして私にああいうことを提案している。そこに家族という言葉はない。
それが凄い苦手なのだ、私もアリスちゃんも。
「全く懲りないですよね、貴方も国王様も女王様も」
「たまにはいいんだよ、家族喧嘩くらい。逆にまったく喧嘩しない家族なんてそれはそれは不気味じゃん?」
「貴方達様はライブ後しょっちゅうしてますけどね
。」
「私はロゼリアとも喧嘩したいな、あの時みたいに。」
「それは…無理ですよ…。」
「…まっ、いっか!」
私は寝そべった身体を起こす。
「準備できた?」
「はい、丁度整いました。」
「それじゃあ行こうか!朝風呂に!!!」