防犯対策は万全に
ロゼリアに連れられ柵のもとに向かうと早速3人の憲兵に囲まれる。
一歩でも変なことをすれば持っている槍で突き刺されそうな威圧感が私達を包む。
「いやいや、手厚いお出迎えですね〜」
「すいません、規則なので。」
どこの世界にもお役所仕事があるののは変わらないのね。
そういう私もある意味お役所仕事に縛られてここにいるようなもんだけど。
「では安全のために荷物の確認をさせていただきます。」
そう言うと憲兵の一人が私に手を伸ばそうとするがとっさにロゼリアが目にも留まらぬ速さで私の前に立ちそれを叩いた。
「なにをするんですか!」
憲兵が声を張り上げ叫ぶ。
「なにをしてるのは貴方達です。彼女を誰だと思ってるんですか?
国王様のただ一人のお子様で在られるアリス様まですよ?」
それに比べロゼリアはいつもどおりの冷静な口調で返す。
「それは分かっています。しかしこれも規則なのでどうか分かってくれませんか?」
「分かりませんね、貴方は国王様のお子様の女性にそんな汚い手で触れるおつもりで?」
憲兵達は自分の泥と土に汚れた手を見た後困惑したように互いに視線を合わせる。
「し…しかし…、何か危険なものを持っていたら…。」
「それなら心配ありません。」
「えっ?」
ロゼリアは自分の鞄からあるものを取り出し憲兵達に見せる。
「これは?」
「水筒です。」
「いや…見れば分かりますけどいったい何故?」
「これはアリス様専用の水筒です。」
なっ…!
「はあ…。」
「アリス様は普段お城の中で過ごし王族のご法事も今までマトモにせずアイドルとしての活動以外では余程のことがないとお外にはお出になりません。」
!?
「その影響で彼女は体力著しくありませんのでここに来る道中こんな重い水筒持って歩けるわけない〜と私にこれを押し付けました。ご自分の水筒ですのに。」
ん???
「それは…、災難でしたね…。」
「ハハハッ、アリスちゃん言われてる〜。」
「ちょ…ちょロゼリア…!」
「見てください、僅かな体力を振り絞り全身汗にまみれた彼女の哀れな姿を」
憲兵達は一斉に私のほうに目を向ける、その視線はとても王族に向けるキラキラしたものなんてもんじゃなく同情と哀れみに溢れてた悲しい目だった。
「そんな彼女がここを危機に陥れる危険な物を持ってるおお思いですか!!」
「思いません!!」
…
憲兵達は囲んでいた態勢を時柵の端に身を寄せる。
そして両端垂れていた紐を同時に引くと柵が浮き上がり会場に向かう道が開かれる。
「どうぞ通りください。」
「それでは行きますよ。」
私はなんともいえない気持ちのまま憲兵の隣を通ろうとした時
「アリス様!」
と呼びかけられると私の元によってくると他の人に聞こえないように耳元でこう囁いた。
「ご入浴の準備しとくように中の者に言っておきますのでご安心を。」
ははっ…、はぁ…。
その優しさがとても心に染みる、目から汗が流れそうだよ…。





