労働に身分の差なんて関係ないんだよ?
服屋の朝は早い、まだ日が上がりきってない時間に起きるとすぐにお店の前の掃除をする。
お客様にいい気持ちになって入店してもらう為だ。
その後は軽く朝食を取った後は今度はお店の中の掃除、お客様にホコリ一つ見せるわけにはいかない。
それが終わると定期的に届く仕入れてきた商品の陳列、人気のあるものは売りたい商品はなるべく目立つ位置に配置するのがポイントだ。
「それで、なんで私がこんなことやってるの?」
「昨日気づいたんだ、王族だろうがアイドルだろうがアリスちゃんは嘘をついてふざけてそれが間違っていたことをしてそれを謝れるただの人なんだって!」
「えっ、アリスちゃんって…?」
「だから私も特別視なんてしない、王族やアイドルだなんて関係ない!私は1人の人間としてのアリスちゃんとして接するって!」
「だからってなんでお店の手伝いを…。」
その言葉にマリアちゃんの手が止まり商品を汚さないように置くと私の元に近づく。
「あれれ〜?昨日一晩泊めてあげたのは誰の家だっけ〜?」
「マリアちゃんです。」
「じゃあ、暖かい食事とお布団を貸して上げたのは誰だっけ〜?」
「マリアちゃんです…。」
「昨日嘘ついて私を泣かしたのは誰だっけ〜?」
「私…です…。」
「じゃあ働こうか!」
「はい…。」
「労働に勤しむのもいいですが移動の準備ができましたので出発の準備を。」
お店の扉を開き日差しをバックにそう言いながらロゼリアが現れる。
「え〜、もうちょっと待っててよ、仕入れの商品並べたいんだからさぁ〜。」
「別に今からじゃなくてもいいでしょう、しばらくここを離れるのですから。」
「だからだよ、帰ってきたらすぐにお店開けるように予め準備するんだよ!ね、アリスちゃん!」
そういい私に視線を向ける。
私は逆に視線を反らしながら「うっ…うん」と空返事をする。
その様子を見ていたロゼリアは不思議そうに私をジッと眺める。
「アリス様、いつからマリアとそんなに仲良くなったんです?」
「ま…まあ…昨日いろいろと…。」
「はぁ…。」
ロゼリアはマリアのほうを向くと彼女は満面の笑顔でうなずく。
状況が分かったのか分からないのかは分からないけど彼女はもう一度大きなため息をつくと「直ぐに終われせてくださいね、外で待ってますので」と一言言い残してお店をでた。
そして再び二人だけの時間が訪れる。
マリアは私に近づくと笑顔で私の肩をポンっと叩く。
「さあ、アリスちゃんもうひと頑張りだよ!!」
「はい…。」





