隠されるくらいなら人思いに公表したほうがみんなの為になる
「本当にアイドルさんはおばあちゃんじゃない?」
どうにか氷が溶けたように動いたマリア半べそをかきながら私に言った。
なるほどこれが「応援していたアイドルが突然、交際、結婚、妊娠発表された時のファンの反応」ってやつのかな。
確かに急にそんなこと言われたら勿論心の準備をしてなかった人達は情緒不安定になるよね。
それを嘘偽りで隠していたのなら尚更だ、信じていた人に裏切られたんだから。
隠すくらいならいっそのこと最初から正直に言ってほしいものだよほんと。
まあなので今回は全面的に私のせいなので…。
「ごめんごめん!ほんとごめん!!私はマリアちゃんと同じ歳だから!多分…。」
「ほんと…?」
「ほんとほんと、あともう絶対嘘つかないから!!」
「な〜んだ、なら良かった。」
さっきまでの絶望に満ちた表情からさっきまでの「アイドル、アリス」のことが大好きな熱狂的なファンのマリアに戻ったのを見て私の一安心する。
「もう驚かさないでよ〜!アイドルさんが本当におばあちゃんかと思って心臓が飛び出そうだったよ〜!」
「ごめんね、ビックリさせちゃったね。」
「ほんとだよ、この場所で私だけだからまだ良かったけどこれがライブだったら観にきた人達がどうなるか分からないよ!!
アイドルさんはそれだけの権力と影響力を持ってるんだから!!!」
「はい…。」
今日あったら同年代の女の子に多分家族とロゼリア以外の人にここに来てから初めて怒られた。
なんだかんだ私のやってきたことはいままで王族でアイドルという肩書きで肯定されてきた。そんな地位に甘えて少し調子に乗っていたのかもしれない。
私の言葉一つで人一人の人生が変わってしまう、その力を私は持っている。
そのことを彼女が教えてくれた。
「マリアちゃん。」
「ん、なに?アイドルさん?」
「ありがとうね!」
私は王族としての営業スマイルでも、アイドルとしての笑顔でもなく私自身の笑顔で感謝の気持ちを彼女に精一杯の気持ちを込めて伝えた。
それをみたマリアちゃんは一瞬戸惑った表情を見せて視線を反らしもしたけど直ぐに笑顔になり初めて出会った時の同じ私の両手を掴んで言った。
うん!!!





