でも結局はただの人間なんだよ
「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"、疲"れ"た"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!」
「そんな汚い声ださないでください、あの場にいた人達が幻滅しますよ。」
全てが終わり控えの部屋に戻たらいなや私はふかふかのソファにダイブしうつ伏せで寝転ぶ。
なんとこのソファ寝返りをうてるほど大きくこっちに来る前の私のベットより広い。
「だって結構体力使うんだよあれ?動くし熱いし喉乾くし。」
「分かってますよ、はいお水。」
「ありがと。」
ロゼリアから渡された水を私はゴクゴクと無我夢中で飲んだ。
その姿を見たロゼリアはやれやれと頭を抱えるけどこの光景も日常茶飯事なのだ。
「で、どうだった?今日の感想は?」
「いつも通り完璧でしたよ。」
「もう、いつもそればっかり。他になんかないの?」
「はい。」
「なにも?」
「なにもです。」
ロゼリアに感想を聞いてもいつもこんな返事ばっかり。
これじゃとてもやり甲斐なんて出るわけがない、まあやってるのは私じゃなくてアリスちゃんの身体なんだけど。
「そういえばこれ今回で何回目何だっけ。」
「アリス様は現在17歳3ヶ月、成人になった15歳を迎えた日に初回を行い、それ以後3ヶ月事開催し今日が9回目になります。」
つまり私がこっちにきてから今日で2年と3ヶ月か…。
私が転生して最初に見たのがまさにこの部屋とロゼリアだった。
その時は勿論戸惑ったよ、いきなり知らない姿になって知らない部屋にいて隣に知らない人が訳の分からないことを延々と話してくるんだから。
余りにも混乱していた私はここがどこかも分からず飛び出して逃げ出そうとしたけどアリスちゃんも頻繁に逃げようとしてたらしく慣れた手付きでロゼリアに引き止めれそのまま舞台に連れて行かれたとさ。
で、この身体が勝手にやってくれて無事初舞台は大成功めでたしめでたし。
これはその後に気づいたことなんだけど私はアリスちゃんの記憶を読み取れるらしい。
要は前世の私とアリスちゃんの記憶2つあるってこと。
なんな妙な感じなんだけどおかけでアリス様がどんな娘か、どういう振る舞いをしているか分かり私はアリスちゃんを演じ…なくてよかった。
アリスちゃんはまんま私と同じガサツでサバサバした性格だった。
だがらここでむやみに演技なんかしたら逆に疑われるまである、ロゼリアにバレてないのが1番の証拠。
それくらい私とアリスちゃんは瓜二つ。
もしかしたら転生したのがこの身体なのもそれが原因かもしれない、まあそもそもなんでこっちに来たのかは謎のままなんだけど。
「こんなにサボらずやってるんだから次は休んでいいよねたまには〜?」
「ダメです。」
即答だった。
「なんでさ、こういうは身体が資本なんだよ。過度な労働は身を滅ぼすんだよ。」
「3ヶ月に1回の行事に何を言い出すんですか…。貴方も分かってるでしょ?
この世界ではいつからか音楽に合わせて口ずさむと身を炎が包み込み灰となり死に至る。
しかしアリス様、貴方にはそれが起きない。だから貴方は歌という文化を唯一民衆に伝え、継承できる人間。
古代の人はそういう人達のことをアイドルと言っていたようです。」
なので古代の人々の言葉を借りるのなら貴方はこの世界最後のアイドルなんです。