紅茶の適切な温度は何度?
マリアに案内されてやってきたのはこのお店の従業員控室な所。
服が所狭しの並んでいた店内と違い庶民的な椅子と机、あとは書類や資料が収納してある棚が2つだけ置いてあるシンプルすぎる場所に何一つ迷わずにやってきた。
あの服の森をこんなあっけなく脱出できるなんて今までの苦労はなんだったんだ…!
「王族のアイドルさんにはとっても狭くて窮屈な思いをされていると思いますがご容赦くださいね。」
「はっ、はぁ…。」
そういいながらマリアは私と迎えの席に座っているロゼリアの目の間に紅茶を置く。
少しの時は少し雑に置かれた気がしたけど多分気のせい。
うん、気のせい。
「マリア、今アリス様は私の付き添いで来てるだけです。王族とは全く関係ありません。」
「本当なんですか?アイドルさん?」
「う…うん…。私はただロゼリアに言われるがままに連れてこられただけだから…。勿論ここに来るなんて知らなかったし。」
その言葉を聞いたマリアは静かにロゼリアのほうに視線を向ける。
「アリス様の言ってることは本当ですよ。今の彼女はただの付き添いです。」
ただの…?
「ふーん。」
再び私の方を向きしばらくじーっと見つめいた彼女は突如漫勉の笑顔を向けると私の元に駆け寄りあの時と同じくまた手をギュッと握ってきた。
「そうなんだ!今のアリスちゃんは王族と全く関係ないんだね!ただのみんなのアイドルのアリスちゃんなんだね!!」
「ま…まあ…そういうのことにしといていいよ…!」
「やったぁ!!!さっきまであんな態度しててごめんね!アイドルアリスちゃんに失礼なことしちゃった!
あっ、紅茶入れ直すね。これぬるめのお湯で薄めに作ったから!」
いくらなんでも王族にこんなことするとは流石に肝がすわりすぎてるよマリアさん。もしバレた投獄だけじゃすまないよマリアさん。そしてどれだけ王族が嫌いなのよマリアさん。
「それじゃあ少しだけ待っててねアリスちゃん!!美味しいの淹れてくるから!!」
そういいマリアはぬるい紅茶を回収するとウキウキで部屋を出ていく。
こうしてここの部屋には私とロゼリアの2人だけになった。
ロゼリアは回収されずに残っていた自分に用意された紅茶を口に含む。
アツっ。





