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この世界で歌えるのは私だけ  作者: 天神
遠くの土地での小さな出来事
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女性の常識彼女の非常識

「なにしてるんですか。」


「うわっ!?」


服の森の真ん中でボーッとしていた私の背後から聞こえたその声に驚き思わず声を上げた。

聴き慣れたその声のほうに振り返るとそこにはマリアとロゼリアが立っていた。

しかし。


「ろ…、ロゼリア…?なにその服…?」


彼女はさっきまでの服装とはガラッと変わり黒に染まった肩出しのドレスを着ていた。


「何ってドレスですよ、みて分かりませんか。」


「我が店自慢のドレスです、それが分からないなんて本当に国王陛下の娘なんですかアイドルさん。」


なんで何もしてないのに罵倒されなきゃいけないんだ?

私なんか気に触ることやりましたっけ…?


「そりゃ見れば分かるよ、だからなんでそんなここの店自慢のドレスを着てるってわけ。」


「それは私がこのドレスを買いにきて、試着しマリアに最終調整してもらってるところだからです。」


「えっと…、えっ?」


うーん、だんだん頭が追いつかなくなってきたぞ。

これは一つずつ丁寧に質問していってちゃんと整理しよう。

うん、そうしよう。


「どうしましたかアリス様?」


自問自答している間無言になっている私を心配したのかしてないのかロゼリアは顔を近づける。

この時に気づいたのだけど彼女は香水をつけていた。

護衛隊はその仕事柄隠密行動みたいなことをする。

そりゃ勿論先導に立って堂々と護衛するのが主だけどそれとは別に隠れながら私達を守る別部隊もいる。

私が家出した時についてきたのはその隊の人達。

隠密行動をするんだから決してその姿をバレてはいけない。

だから自分の痕跡を消す為には最大の努力をする、足音や呼吸の音も消すのは常識。匂いもだ。

匂い一つで自分達の居場所を察知されることは絶対にないわけじゃない。

だから彼らは自分の匂いを消すため汗をかかない訓練もしている。

それはもちろん護衛隊隊長のロゼリアでも例外じゃない。

そんな彼女が近づいただけで分かるくらいの香水をつけてるなんて絶対におかしい。


「ねえ、ロゼリア。」


「なんですか。」


「いろいろ聞きたいことがあるんだけど?」


「そうおっしゃると思ってました。」


「でもその前に。」


ここから出たい。



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