服を買いに行く人が服屋に残された場合の話
さてさてどうしましょうか?
私は昔から、前世から服というものに興味がない。
おしゃれしてまで行きたい場所も行かなきゃいけない所もなかったから服選びに何時間もかかる人のことは全然理解できなかった。
ちゃんと着れて動ければそれで良かったと思ってた私は通販で自分のサイズと同じやつを値段重視で買っていたわけでそんな私が服しかない空間で一人残されて何をすればいいのか?
とりあえず回ってみますか。
で、しばらく回ってみて気づいたことがある。
この店は勿論ここの土地に合わせてた服が主だけどよくよく見返して見るとここにはこの国すへての土地の服も売っていた。
勿論シュバルツの土地の私達がばら撒いたあの生地を使った服もあった。
あれも元は売り物だと考えると今更だけど少し負い目が…。
でもここまでいろんな土地のいろんな服を揃えることができるなんていったいどんな力を使ったのだろう?
いやいや…、そんな汚いこと考えちゃ駄目だよ私!
私はアイドル…!アイドルはそんな汚いことを考えない…!
そう私の汚い部分を振るい払うように首をブルブルと振る。
はぁ…、ん…?
しばらくして私は店のもっと奥のほうに行くことに決めた。
大量の服が所狭しと陳列しているおかげでここは店の規模に比べかなり広く感じる。おかげで右往左往しなければならずもう気づけば私一人では元の場所に戻ってこれないところにまで来てしまった。
いわゆる遭難した。
服という名の森林に私は退路を絶たれてしまったのだ。
よしっ!
でもここは前向きな私だ、こんなことではへこたれないしくじけない。
退路がないのなら進むしかないのだ!
では行こうか冒険の世界に!広がる大森林に!
気づけば私は元の場所に帰るために服屋の奥地に向かうというもの凄い矛盾した事をしていた。
そもそも奥地に進んでいるのかな…?
そう考えながら歩いて行くとやっと服が並んでいない壁を発見する。
そのただの白いだけの壁を見るいなや私は吸い込まれるようにむかっていく。
そして私は壁に手を触れた。





