歳下の上司の災難
ここで働いてる人達は例外なく城に住み込みだ。勿論いつ何が起きても対応できるようにできるために常に万全の体制を整っていて役職ごとに24時間体制で備えている。
けど決して城から出ちゃいけないわけじゃない、上司の許可を取り職務に影響が出ないように手回しをしたと認められれば最大3日まで外出許可が貰える。
ロゼリアは護衛隊隊長及びアリスちゃん専用使用人、つまり彼女の上司はこの私、外出をするためには私の許可が必要になるんだけど…。
「なんで私がついていかなきゃいけないの…?」
私とロゼリアは馬車に揺られてること半日かけてシュリガレという農業が盛んな街の地に降り着いた。
市場には様々な農作物が売られており城にも数多くの野菜が献上されているこの国の台所ってところだ。
「ちゃんと国王様と女王様のお許しは出ておりますので。
ロゼリアが一緒なら安心だとお墨付きです。」
「私に拒否権を使う権利はないんですか?」
「ありませんね。」
いつもの使用人の服とは違いロングのスカートと白く薄い私の世界でいうとこの半袖ブラウスを身に纏っているロゼリアがそう言う。
そんな涼しそうな格好をしている彼女と違い、長袖のワンピースにマフラーをつけ、眼鏡と帽子で完全にこの季節に似つかわしくない姿をしている私が隣で歩いていた。
「ロゼリアは外出する時はいつもそんな格好なの?」
「はい、おとなしい服装だと城の者だと感のいい連中にはバレてしまいますので外に出るときはなるべく楽で私と同世代の女性が着るような服装を心がけてます。」
「私も同年代の女性が着るような服装したい!」
「許可しません。」
あれれ〜?私が上司のはずなのにな〜?
「アリス様はこれまで以上に姿を隠さなければいけない存在になりましたので。」
「でもこの季節にこの格好じゃ流石に怪しまれるんじゃ…?」
「大丈夫です。もし何かありましたが私が全力でお守りしますので。」
これ以上ない説得力あるの言葉に私は何も言い返すことができなかった。
そうあれこれしていく内に私達は市場を通り抜け家々が立ち並ぶこの世界における住宅街にたどり着く。
ここ城下の街とは違ってとても裕福とはいえない人達が暮らしている。
どの世界にも貧富の格差はあるものだ。
でもここの人達はそういうことは気にせず穏やかにすごしている。
私の、アリスちゃんのお父さん国王は国民を第一に考えているからどんな地方にもなるべく目をかけている。
アリスちゃんのことになると過保護になるお父様でもこれでもちゃんと国民から慕われる国王なのだ。
そんなことを考えて歩いているうちにロゼリアの足を止めるとその場にしゃがみ込み頭を下げる。
「おまたせしました、ここが目的地です。」





