計画は犠牲によって完遂される
「なっ…なんでですか!!!」
カリンスは年相応の子供ようにその場で泣きじゃくっていた。
「だって私はシュバルツと話すために席離れられないし。」
「私はそんなアリス様の元から離れられませんので。」
「紐を引けるのはカリンスしかいないの!」
「紐を引けるのはカリンスしかいません。」
「そんなぁ〜」
こんなことがあった訳で私達が入念に仕込みカリンスが罪の意識を感じながら引いた紐によって私の計画は完遂した。
後でカリンスにはちゃんとお礼をしてあげよう、その事はロゼリアと最初から決めていたけれど今はまだナイショなのだ。
「こ…、これは何かな…?」
当然こんな計画を知らないシュバルツは流石に少しお怒りのようだ。いや、計画を知っていても怒るだろうしむしろ「少し」で済んでいるのは彼の温厚な性格のおかげですな。
むしろ怒ってるのは主人にそんなことをされたマシューのほうだ。
その証拠に今にも私に襲いかかってきそうな構えと殺気を私に向けているけどそれをロゼリアが彼女を手を掴むことで止めていた。
カリンスに言ってないけどこうなることを予期してロゼリアを直ぐに戻らせないであそこで待機させたままに、それでもなんかあった時の為にカリンスを紐を引かせたら私の元にこさせていた。
「今回は止めないんですね?」
「僕がいちいち言わなくてもロゼリアが勝手に止めてくれるからいいかなって。」
これは多分本心なんだろう、ただし半分だけ。もう半分は…怖くて聞きたくないや。
「まさか君がこんなふざけたことをするとは思ってなかったよ。アイドル以前に君はこの国の王族のひとり娘なんだから。こんなことバレたらただじゃすまないだろうに。」
「そうなんですよ〜、私も怒られるのは嫌なんです。だからバレないように証拠隠滅の為にこれ持って帰ってください。」
「僕は犯罪者に加担するつもりはないよ。それに持って帰るってこれは君達だろ?僕が貰うけんりはサラサラないよ。」
「いいえ、これは貴方のです。正確に言えば領主ブランクシュバルツ様」
「!?」
何かに気づいたシュバルツはテーブルや床に散らばったそれをかき集め無我夢中に触れ確認する。その今まで見たことのない必死な表情を私は見たことない。
そして何かに気づいたら彼は肘にテーブルにつくと頭を抱えだした。
いつも余裕しかない振る舞いをしていたシュバルツがこんなことをするなんてこれも勿論初めてみた。
とても良い光景だな、うん。
「一応…聞くけど…これは…何かな…?」
その言葉を待っていたんだよね。
だってさ…、まあ今はいいや。
では、言いますか。今までの仕打ちの恨みつらみをこの言葉を込めるために必死に仕込んできたんだからね。
私はそれを悟られないよう静かに一呼吸してからゆっくりと口を開いた。
「私を誘拐した人達の衣類ですよ。もう気づいていますと思いますがなんとびっくり、全員の衣類からどこかしらシュバルツ様の土地でしか使われていない布が使われていました。
それにより分かったことがあります。」
私を誘拐した人達全員シュバルツ様の土地出身だってことがね。