勿論あっち側にいるんだよ
感動の家族との再開を喜んだ後は念願のお風呂タイム。
積み重なった汚れと臭いを全部全てさっぱりと洗い流す。
勿論ロゼリアと一緒に。
そして好きではない来客用のドレスに袖を通した時にはもう空は暗闇に染まっていた。
「さて行きますか。」
「はい、アリス様。」
あの時と同じ大広間についた時既にシュバルツは席についており私の姿を見ると嘘くさい笑顔で微笑む。
「まだいらっしゃったんですね。」
「君が心配で滞在を延ばしたんだよ、ホント無事で良かった。」
「それはどうも。」
席に座ると使用人が持ってきた紅茶を一口口に含む。
お風呂の後は冷たい牛乳かフルーツ牛乳が良かったなんて口が裂けても言えません。
「でもあんな事があったいうのに直ぐに僕と会いたいなんてよっぽど僕の事が好きになったのかな?」
「違います。」
「はは、冗談だよ冗談。なら例の件かな。どお、僕のとこにきてもらう気にはなったのかな?」
「なりません。」
うん、やっぱり冷たい飲み物が飲みたい。
やっぱり私はこの人が苦手だ、いつもどんな時もニコヘラヘラしてるのに目はずっと笑ってない。言葉のひとつひとつに別の意味が込められているように感じてつい深読みしてしまう。
きっとこれもあいつには見透かされてるんでしょう。
だったら隠すだけ無駄、本心だけ話そうと初めて会ったときに決めた。
「それにしても何度来てもデカいお城だよね。僕の住んでるとこは大違いだ。」
「申し訳ありませんが一応私達一族がこの国を納めてまして、用は一番偉い人達なので、この国で一番大きな建物に住むのは当たり前ではありまして?」
「こりゃ失礼しましました、一番偉い一族のお嬢様」
シュバルツは立ち上がるとそう言いながら深々とお辞儀をした。
「頭を上げてくださいシュバルツ様、私はまだそんな立場じゃありませんので。ただの一番偉い一族のお嬢様なので。」
「それはそうでしたね、失礼しました。」
彼は再び椅子に座ると手を机に置く。
私は他人に話を聞かれるのは嫌なので余程のことがない限り必要最低限の人数しか入れてもらわないようにしている。
一番偉い一族のお嬢様でもこのくらいの権限くらいはあるのですよ。
なので今この部屋には私を含め4人しかいないまさに知る人ぞ知る会合。
私とロゼリア、そしてシュバルツ。残りの一人はシュバルツの隣で立ってる私やロゼリアと同じくらいの彼の使用人マシュー。
ある意味私はシュバルツよりも彼女のことが苦手かもしれない。
シュバルツは表情や言動からなにを考えてるか分からないのに対して彼女は無表情で無言、私は彼女の怒ったり笑ったりした顔を見たことないし声も聞いたことがないからそういった意味でもなにを考えてるがさっぱり分からない。
服装も相まって人形がずっとそこにいるような感覚が彼女が放たれてるように感じる。
後これは気のせいかもしれないけどずっと私のことをみてるような気がするんだよね…。