人は見かけによらない
ロゼリアは昔から強かった…らしい。
アリスちゃんの記憶によれば昔子供の頃国の行事で街に出た時ここにいる連中と同じような輩に襲われた。
今の治安の良さは私が、アリスちゃんが活動を始めてからのものでそれ以前は良くないまでとはいわないけどいいとは言えない状態だったから王族や貴族を普通に襲うことがあった。
ある意味ここにいる連中もその時代に取り残された時代遅れの可哀想な歴史上の人物なのしれないね。
まあ、それは置いといて王族の身近にいる人達は誰であろうと王族を守るためにある程度の
格闘技術をその役職につくと決まった時から叩き込まる。
ロゼリアは格闘センス生まれつきなのかずば抜けていて、アリスちゃんの使用人として正式に決まった若干10歳で当時の護衛長をコテンパンにボコボコし、それがキッカケで使用人と護衛の長を掛け持ちすることになっていたのだ。
つまりロゼリアは、この国で一番強い人間。
そんな彼女が今ここで有象無象の輩達を現在進行系でコテンパンにしてる。
「なっなんだこい…」
そんな些細な一言すら言うことも許されずにある人は顔面を蹴られ、まあある人は腹パンをされ吹き飛ばされていく。
「あんま派手にやらないでよー!」
「ゴミ掃除に派手にする必要はありますか?」
ぐあッっ。
最後の下っ端を軽くあしらった彼女はさっきまで動いていた人達の山の真ん中で軽く手をパンパンと叩く。
「後は、あなた達だけですね?」
ロゼリアはそういい幹部3人に殺気を向ける。
「ゴミ扱いとはいいこと言ってくれるじゃねぇか!」
「全く教育なんてませんね、お母さんにちゃんと教育してもらってなかったのですか?」
あっ
「あら、ゴミをゴミと言うのはなんにも間違ってませんけど。それと…。」
!?
多分残念なイケメンは何が起こったの分からなかったのでしょう。
だって気づいたら壁にめり込まれていたのだから。
「がっ…、なにが…。」
残念なイケメンの顔はとてもイケメンとは呼べるような形を保っておらず彼はきっとプライドもズタズタにされたのだろう、まあ同情はしないけどね。
「よくもてめぇ!!!」
それが残念なイケメンをやられたからから出た言葉かは知らないけど脳筋が馬鹿正直にロゼリアに真正面なら向かっていく。
「まったく…」
彼女はそう漏らすと殴りにかかってきた脳筋の腕を掴む。
「なに!?」
脳筋は自分の太い腕がロゼリアの女の子特有のか細い腕一本に押さえつけられてることに驚きを隠せない。
どんなに動かそうとも離そうとしそうとピクリもしない。
「だったからこれはどうだよ!」
脳筋はまだ自由な左腕でロゼリアを殴ろうと振りかざそうとするが彼女は掴んでいる腕をポンプを押すように軽く床に叩きつける。
地面にめり込んだ腕からはバリバリと普通に生活してたらとても出すような音を放っていた。
「うぁぁぁぁ!!!」
「あらあらこんなものですか、この筋肉は見かけだけですか。」
そういいロゼリアは脳筋をヒールのかかと何度も何度も踏み続ける。
最初は声を挙げていた脳筋もだんだん弱くなり聞こえなくなるまでそれは続いた。
「さてさて、後はあなただけですよ。」
「ふん、やるじゃないか。」
「一応使用人と護衛担当の責任者をやっておりますので。
それであなたは何をやっておりますの?」
「ふん、見て分からないか。」
リーダー格の男は縛られている私の首に小型のナイフを突きつけている。
「お嬢様、この状態はいつからですか?」
「えっとね、ロゼリアがあのイケメンを壁にめり込んだあたりかな?」
「イケメン?なんのことか分かりませんか長い間不快な気持ちになっていたことに気づかず申し訳ありません。」
ロゼリアはそういい深々と私に向かい頭を下げる。
「それでは今から救出に向かわせて頂きます。」