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この世界で歌えるのは私だけ  作者: 天神
とあるアイドルの災難
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始まりはいつも突然に

どうやら異世界転生をしたらしい。

私はアニメとかは余り見ないからよく分からないけど詳しい友達から聞いた話によるとそれはトラックに跳ねられたり病気が原因で「あっ、死んだな」って思った瞬間別の世界で別の人物に、時々違う性別や人間ではないものに生まれ変わることだそうだ。

でも私の場合はトラックにも跳ねられてないしここ数年風邪すら引いてない健康そのものだった。

あの日中間テストのための勉強をした後お風呂に入り着替えし、歯を磨き明日の学校の支度をしてベットに入り目をつぶった。

次に目を開らくと私はベットではなく鏡の前に座っていた。

黒いショートの髪は金髪のロングに、色あせてパジャマ用になったヨレヨレのTシャツは今も着ている青を基本とした肩出しドレスに。

そして


「アリス様、ご準備はお済みになりましたか?」


私はアリスという女性になっていた。


「うん、今行くからちょっと待ってて!!」


私は扉の向こうにいる女性に聞こえるように声をはる。


準備といっても私は何もすることはない、ドレスの着付けもメイクも全部使用人のメイドさん達がやってくれたから。

ここでの準備というのは見た目の問題ではなく心の問題、これをやる時は毎回精神統一の一つでもしないととてもやってらんない。

私は息を大きく吸い込み吐き出す。


「よしっ!」


とほっぺたを両手でパチンと叩き気合を入れる。

この時点でももう頬から汗が滴り落ちている。

いやぁ〜、まさかこの時点既に汗だくだなんてこれから私を見る人達は思っても見ないだろうなぁ〜。

な〜んて思いながら私は大きな扉を開ける。


「お待ちしておりましたアリス様。」


そこに立っていたいたのはさっき私に声をかけていた女性のメイドさん、名前はロゼリア。

彼女はアリスちゃんと同い年ながらメイドさん達の中で1番偉いメイド長で子供の頃からこのアリスちゃんのお世話をしている私達の世界でいうとこの幼馴染みの関係だ。


「あのさ、いい加減その言葉遣いやめてくれない?幼馴染みなんだしかた苦しくんだけど。」


「幼馴染みとはどういう意味かは存じませんが私は貴方に使える使用人、言葉遣いを変えるつもりはありません。

昔からそうでしょう?ほら、行きますよ皆さんがお待ちです。」


「へいへい。」



私とロゼリアは長く広い廊下を歩いていく。

その時が近づいてくにつれて静かな空間に対して心臓の音が大きくなっていく。


「ねえ、ロゼリア?」


「駄目です。」


「まだ何も言ってないじゃん!!」


「分かりますよ、ホントにやらなきゃダメ〜?ですよね。何年アリス様に使えてると思ってるんですか?」


どうやらこれもアリスちゃんは私同様凄い嫌だったらしい。流石ロゼリア幼馴染み、なんでも分かってらっしゃる。


「でもさ、なんで私がやらなきゃいけないのさ、ロゼリアだってかわいいのに。」


そういい私は彼女の赤い髪を触ろうとするがすぐにパチンと叩かれる。


「しょうがないでしょ、アリス様にはそれをやる素質があります、素質がある以上やる義務が生まれる。何度ども説明したよね?」


「はいはいそうでしたよね、義務義務〜!」


「ほらつきましたよ。」


目の前に広がる真っ暗な空間、だけど私は次にどこに行けばいいか見えなくてもこの身体が覚えてる。


「はぁ〜、しんどい。」


「アリス様もう諦めてください。さっき準備できたって言ってたじゃありませんか。」


「そうだけど〜。」


「ほら、また汗が垂れてきてますよ。」


ロゼリアはポケットからハンカチを取り出すと私の汗を優しく拭う。


「これは終わったら入浴しなきゃいけませんね。


「ロゼリアも一緒にね。」


「はいはい、分かりました。」


ゴーンと金属製の鐘の音がその空間全体に響き渡る。


「さあ、始まりますよ、頑張ってください。」


ロゼリアは深々とお辞儀をするとその場を去っていく。


さてさて正真正銘この真っ暗な空間に私一人になってしまった。

ぶっちゃけこの時間が1番嫌だ、正直言って心細い、画面の向こう側の人達もそんな気持ちだったのかな。


「しゃーない、やるか!」


覚悟を今度こそ決め私は真っ直ぐ前を向く。

そして舞台の幕が開く、












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