魔法少女は迷わない
生配信での『ちさ』の一言に反応するコメント欄。
過剰に反応する者もいて暴言で騒ぎ立てる。
当然、暴言でブロックされる人達も出てしまう。
コメントの抑制は『横暴か』『適正か』と論戦も。
『自由に発言ができない』と登録者数も減り始める。
度重なる棘の立つコメント欄に疲労感を覚える人も。
配信外で『さち』が『ちさ』に言葉をかける。
『登録者の減少を防ぐ為に厳しい言葉は避けるべきかと』
『暴言はVサポーターへのものだけと考えます』
「それが許せないの!」
『Vサポーターへの非難は特別な事ではありません』
……『さち』と言い合いになっても噛み合わない感覚。
この感覚のズレは『Vサポーターは何をされても問題ない』という考え方。
他の配信者でも起きていて、配信者への実害が軽微になるのも分かる。
寧ろ、配信者も一緒になって非難したとしても……問題にはならない。
その使われ方に問題はなくても、誰も傷付かない訳ではなくて。
『さち』には分かり難い感情でも、私には譲れない。
「一緒に頑張ってきた大切な存在を馬鹿にされるのは許せない」
「魔法少女として笑っていられるのは『さち』がいるからだもん」
『ですが、登録者の減少「それでも構わないから」
『さち』が全てを言う前に言葉を割り込ませた。
サポートシステムの優先順位で登録者増加が望まれるのだろう。
これが自己満足でしかないとしても笑顔でいたいから。
処理が追いつかないのか、暫くの間が空いて。
『……承知しました』