魔法少女アイドルの肩書は
『さち』の提案で『アイドル』を消して『新人』の肩書を付けてみた。
『新人』という肩書を付けたら不思議と体が軽い。
ただの散歩へ気晴らしに出ると一面の青い空。
川路を歩きながら不意に呟いた。
「風の魔法を使って空を飛びた『無理ですね』
「そんな気分ってだけじゃん!」
新人魔法使い『ちさ』に『さち』の言葉は容赦がない。
その後で『ちさ』が空を飛ぶフェイク動画を作ってもらって感動。
続けて空模様や空に纏わるお話、週間お天気情報も聞けて感心する。
何もできないけれど『お天気新人魔法少女』を目指して勉強をする事に。
こんな感じで適当な『ちさ』言葉を現実に当て嵌めてサポートする『さち』。
今は何もできない新人魔法少女だけど、現実の何かを目指してみる。
すると、誰も見ていないと思っていた配信のコメントに言葉が残っていた。
『 頑張ってね 』
応援してくれる人がいた。
それからは『新人』だからと何でもやる事に。
土の魔法は『家庭菜園新人魔法少女』に、水の魔法は『お掃除新人魔法少女』に。
火の魔法は『お料理新人魔法少女』に、時の魔法は『修繕新人魔法少女』に。
魔法少女である意味は欠片も無いけれど、とりあえず何でもやってみる。
少しずつ教科書を使わない『実体験』の勉強チャンネルとして認知され始めた。
一ヶ月も経つと『新人』という肩書に指示したい人達が姿をみせる。
できそうな指示を『小学生に戻った感覚』で頑張って楽しんでみる日々。
Vサポーター『さち』が選別して、新人魔法少女『ちさ』が頑張る。
二人の辛辣な掛け合いも一つの面白さとなっていた。
結果に騒いで、諭されては凹む日常……が。
期間テスターランキングで急上昇となり驚きを隠せない。
色々な状況に合わせて魔法のエフェクトが掛かる意味の無さ。
どんな事でも諦めずに取り組んでいる全力な感情の豊かさ。
本当に何も知らなかったようなダメ駄目過ぎる幼女感。
微妙な『ちさ』の本質が見え隠れしながら、三ヶ月が過ぎようとしていた。