19話 駆け出しの冒険者 【シーナ視点】
―――とある辺境の地の奥地にある村にて。大自然に囲まれた長閑で田園風景が広がる大地。そんな場所に年季の入ったボロ小屋に母親と成人の義を迎えたばかりの年頃の娘が2人で住んでいた。
「ゲホゲホっ……」
「お母さん! ちゃんと寝てないと駄目だよ!」
「ごめんね、シーナ。お母さん身体が弱くて……」
「良いの! お母さんは病気を治す事だけ考えて! 私がお金を稼ぐから! だから、今は安静にして♪」
私の名はシーナ。辺境の地の更に奥にある【レーベの村】と言う村にお母さんと2人でボロ小屋に住んでいます。人口は50人も居ないくらいの小さな村で、みんな明日食べるご飯も心配するほどに貧しい村です。
「シーナ……私の為に無理はしないで。それに、お母さんはもう長くないわ。何となく、死期が迫ってるのが分かっちゃうの」
「そ、そんな事言わないで! きっと病気も良くなるから! お願いだから……諦めないでよ!」
私は物心着いた頃から、お母さんと2人でこの村で暮らして来ました。毎朝早く起きて、薬草や山菜等を採集して、それを売ってギリギリで生計を立てながら何とか生きています。村に定期的に来る行商人に薬草や山菜を買い取って貰い、その僅かなお金でお母さんのお薬とご飯を買うのです。
「お母さん、私ね。貿易都市レアルカリアに行こうと思うの。そして冒険者になって、お金沢山稼いで来るよ!」
「ゲホゲホっ……シーナ、それだけはやめて。冒険者はそんな甘い職業じゃないわ。お母さんも昔は冒険者として活動していたけど、死と常に隣り合わせ、生半可な実力では生きて行けない世界よ。純粋で人を疑う事を知らないシーナには無理、私の大切な娘が……げほっ!? うぐっ……」
「お、お母さん!?」
お母さんの顔色が日を増す事に悪くなって来てる。これはもう一刻の猶予も無い。何時までもこんな田舎で薬草や山菜等を採集して売っていてはお金もろくに稼げない。お母さんの病を治す為の薬はかなり高価な物。
「お母さん、大丈夫?」
「う、うん……大丈夫。でもね、お母さんはシーナの事が心配なのよ。私の大切な一人娘が何かあったらと思うとお母さんは……」
「お母さん、心配してくれてありがとう。でも、ここに居てはどのみちまともなお仕事は無いよ。いつかは仕事がある街へ出て稼がないとご飯も食べれないよ」
「シーナ……」
最悪の場合、私が身体を売って稼ぐ事も視野に入れている。お母さんは今では病でやつれてしまってはいるけれど、昔は村一番の美女と言われていたんだ。その血を引く私なら、身体を売れば薬代を得られる筈。しかも、まだ男性の方とそういう行為をした事が無いので純潔だ。もし、冒険者として上手く行かなかった時の最終手段として視野に入れておこう。
「お母さん、少し寝たらどう?」
「うん、そうさせて貰うわね」
―――――――――
「すぅ……すぅ……」
「お母さん寝たかな? よし!」
お母さんもう少しだけ待っててね。私が何とかするから……神様、どうかお母さんの病気が治りますように。
「お母さん、行ってくるね」
この村から出るのは実は今日が初めて……無事に街に辿り着けるかな? 冒険者ギルドと言う場所に迷わず辿り着けるかも不安だなぁ。前に冒険者の人がこの村にやって来た事が一度だけありました。その時にその方から色々お話しを聞かせてもらってから、密かに冒険者と言う職業に憧れを抱いていたのです。その方から頂いた書物を見て、この広い世界を見て旅するのがどんだけ素敵な事か。お母さんも病気になる前は、かなり有名な冒険者だったそうですが、あんまり過去の事を教えてはくれません。何か事情があるのかどうか分かりませんが、私から無理に触れる事はしないようにしています。
―――レアルカリアと言えば、グラムハーツ王国の辺境の地にある最大の規模を誇る貿易都市。王都からは距離がかなりあるけれど、この地はグラムハーツ王国の玄関みたいなものだ。
海を渡れば東大陸にある冒険者が多く在籍するアルシア王国、更にその先には広大な領土を保有する軍事国家バスティーユ帝国、聖王女サリア様が統治なされる女神レガリア様を崇める宗教国家サリア、幾つもの国が集まって構成されているマグリウス共和国、カジノや闘技場が盛んなバクダード、魔王カリスが統治する魔王国、他種族が手を取り合うメルクリア統一連邦、10人の亜人の王が多数決で物事を取り決めるカロスベル評議国等、他にも沢山の大陸や国が存在する。世界は広いんだ。
「私の夢を叶えるのは……ほぼ不可能なのかな」
まずはお母さんの病気を治してからの話しだ。私に実力があれば……お母さんの子だから、何かしらの才能がもしかしたらあるかもと言う希望的観測に縋る事は出来ない。現実は常に非常だ。
「所持金が……お金足りるかな?」
今日のお昼頃に行商人が来る筈。一緒に荷馬車に乗せて貰えないか頼んでみよう。それなりの付き合いだから、もしかしたら安くで乗せてくれるかもしれない。
「…………」
髪の毛も切ってしまおう。こんな腰まである長い髪は邪魔でしかない。今日から私は女を捨てて、男として冒険者活動をするんだ。女冒険者は実力があっても女だと言う理由で舐められるし、男の冒険者から襲われると言う話しもチラホラと聞く。お母さんから受け継いだ美しい水色の髪を切るのも後ろめたい思いはあるけど、これは私の気持ちを切り替える為に必要だ。
「肩くらいの長さで切り揃えよう。今日から私は……いいえ、僕は!」
そして、シーナは腰まである長い艶のある髪を切り、身支度を済ませた後、貿易都市レアルカリアへと向かうのであった。
―――貿易都市レアルカリア―――
「ふぅ……かなり道に迷ったけど、何とか辿り着いた。ここがレアルカリアの冒険者ギルドかぁ。行商人の人には本当にお世話になっちゃったな」
初めての貿易都市レアルカリアに感動しそうになったけど、今の私にそんな暇は無い。しかし、道を歩けばお店や露天の方から香ばしく食欲をそそられる様な匂いや甘い匂いがしてお腹が空いてまさに地獄。お金があれば即座に買い食いをしたいけど、このお金は少しでも取っておかねばならないのです。冒険者ギルドに行って登録するだけでもお金が取られるのだから。
「うぷっ……おぇぇ」
人混みの多さに少し吐き気がしてしまった。だけど、頑張って慣れるしかない。田舎者だと思われないように冷静で穏やかに……落ち着いた雰囲気の冒険者を演じるんだ!
「良し! 頑張るんだ……僕」
そして、シーナが冒険者ギルドに入った直後、ギルド内では何やら騒々しくも不穏な空気が漂っていたのであった。
『あ、あいつ……レティちゃんの下着を見たのか!?』
『おい、あの男を問い詰めるぞ!』
『ちきしょー!! 俺だって毎日通ってるのにまだレティちゃんのパンチラ拝めてないんだぞ!!』
『お前、受け付け嬢のパンチラ拝む為にここに通ってるのかよ! 仕事しろ!』
『いや、おめーも人の事言えねぇだろうが!』
『喧嘩は良くない。我らレティ派の同士では無いか。私の知り合いに風属性の魔法を使える者が居るから、そいつに頼んで意地悪な風をこのギルドで吹かそうでは無いか』
『おい、その風属性の魔法を使えるやつここに呼べ!』
えぇぇ……何この状況。美しい青髪の受け付け嬢の人が、ガラの悪そうな男性の股間をヒールで踏み付けているわ……ここ冒険者ギルドだよね? 変な夜の危ないお店とかでは無いよね!?
「ふむふむ……冒険者ギルド……レアルカリア支部」
うん、再度表の看板を確認したけど、この場所は冒険者ギルドで間違いない。しかし、この空気の中、受け付け嬢の人に話し掛けるの何か勇気が居るなぁ……大丈夫かな?
「あの……す、すみません。冒険者登録をしたいのですが」
「うるさい! 私は今、猛烈に機嫌が悪い……の!?」
「ヒィィィ!? す、すみません!」
ぐすんっ……このお姉さん美しいけど怖い。私……僕何かしちゃったかな?
「た、大変失礼致しました。私は受け付け嬢のレティと申します。お嬢さん、お名前は?」
「は、はひ!? ぼ、僕は……シーナと申します」
「まさかのボクっ娘!? ごほんっ……シーナさん! 必要な情報はこの書類にご記載下さいませ! それと魔力具に寄る測定や身体測定も向こうの部屋で実施致します。何と今なら、初心者向けの冒険者キャンペーンとして、登録料は何と無料で御座います! それに加えて不詳ながら、このレティが初心者講習の指導員として手取り足取りねっとりと! シーナさんのお役に立てる色々な知識をご教授させて頂きますので!」
何か焦って思考が……えと、レティさんと言うみたいですね。何か呪文の様に饒舌に喋っておられますが、私……僕の頭の中に言葉が入って来ずに右から左へと受け流れて行く感じです。しかし、僕と言う言葉に慣れないですね。
「え、えと……あの」
「シーナさんはどんな武器を使う予定でしょうか?」
「ふぁい!? 剣とか……良いなぁと思って……ます」
「剣で御座いますか! でしたら、この後私が初歩の技術をお教え致します」
え? レティさんが? さ、流石は冒険者ギルドの受け付け嬢ですね。戦闘も出来ると言う事でしょうか?
「ふ、ふぇ……」
「ささ、あちらに女性専用の更衣室があります。まずはこちらの服に着替えてから……」
「あ、あの……すみません。僕、こう見えて男なのです」
「えっ……お、男!?」
ごめんなさい。嘘です……僕は男では無くれっきとした女。つい最近までスカート穿いてました。だけど、ここは無理にでもごまかして押し通す!
「何と!? その美しい見た目で生えてるのですか!? めっちゃお得……ごほん。これはちゃんと確かめ無ければ行けませんね。性別を偽って登録するのも冒険者協会の法の第6条に触れてしまいます。大丈夫です。優しく触れますので確認させて下さいませ!」
「ふぇ!? や、やっぱり……登録は辞めようかな。え、あ、レティさん待って下さい!」
「善は急げです」
「ひえぇぇ!?」
お、お得!? 何がお得なの!? え、ちょっと待って……レティさん!?
――――――――――――
「ガチャ……もう大丈夫ですよ」
「あの……レティさん。何で鍵を閉めるのですか? それに清掃中と言う立て札まで……」
「ごほんっ。今からレアルカリア冒険者ギルド支部のギルド登録の義を行いたいと思います。宜しいですか?」
「へ!? あ、はい。お手柔らかにお願いしましゅ!?」
気付けば僕はレティさんに壁際まで追い込まれて居ました。レティさんに壁ドンをされて、僕を逃がさないと言ったような鋭い眼光で私の顔を凝視しています。
「ねぇ……シーナさん。貴方、本当は女の子ですよね?」
「いや……ぼ、僕は男で……ヒィィィ!?」
「雌の匂いがプンプンします。規定に関して、性別を偽る事は別に問題はありませんが、この先偽ると面倒な場面も起こり得る可能性も御座います」
「あ、あの……顔が近い……でしゅ」
「うふふ♡ シーナさん、可愛い顔してますね」
「へ!?」
私の鼻とレティさんの鼻がくっつきそうな位置まで顔が近い。しかも、レティさんからめちゃくちゃ良い匂いがする。こんな身長の高い美人さんに壁ドンされてしまえば、誰だって胸がドキドキしてしまいますよ! 同性の私からしても魅力的で……しかも、胸がめちゃくちゃ大きい。ごくりっ……私の貧相な胸では比べ物になりません。
「今からシーナさんの魔力を測定致します」
「んん!?」
「んん……♡ くちゅ……あん」
えええぇぇ!? いきなり顎をクイッとされたと思えば今度はレティさんが私の唇にキスを!? わ、わたし……まだキスするの初めてなのに……レティさんの柔らかい唇。
「んん……シーナさん。舌をもっと絡めて下さい。そうして頂けないと魔力が正確に測れません」
「え、そんな……僕、んん!?」
「怖がらなくて大丈夫です。私に全て身体を委ねて下さい」
「あ、そこは……だめ」
「シーナさんたら……もう、こんなにも濡れているではありませんか。やはり、シーナさんは可愛い女の子。生えていません。むしろ立派なえっ〇な穴があるではありませんか♪」
「あ、あの……お願い、やめ……んん!?」
「私の好み……ごほん。シーナさん、貴方素質ありますよ」
何の素質ですか!? こ、これが冒険者ギルドに登録する時の洗礼ですか!? 女性冒険者はみんなこうやってこの試練を乗り切ると言うの!?
「あらあら、替えのパンツはご用意致しますのでご心配なさらずに」
「こ、これが冒険者ギルド登録……な、何と言う」
「少し失礼致します」
「はひ!?」
今度はレティさんが私の口の中に指を挿れて来ました。私の舌がレティさんの指で弄ばれるような感じで……んん♡ 細くて白い綺麗な指……レティさんの顔がやばい事に。
「も、う……だめ」
「私が受け付け嬢として、しっかりと手厚いサポートをさせて頂きます。安心して下さい」
「あ、あぁ……♡」
「あらあら、若い女の子の汁が……魔力が漏れて居ますね」
や、やめて……ついにレティさんにパンツの中に手を突っ込まれてしまい私のあそこに白くて綺麗な指が……入ってくる!?
「レティさん、私もう……ああああああああああ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「悪い魔力が溜まっております。大丈夫です。私が全て出し切って差し上げます」
お、お願いやめて! これ以上されたら、私おかしくなっちゃうよおおおぉぉおおおおおお!!! 漏れちゃう……漏れちゃうよおおおぉぉおおお!!!!!
「あ♡ そ、そんな……そこはらめぇえええ!!!!」
「シーナさんはえっ〇な女の子ですね。後もう少しで登録が終わりますので」
「出ちゃう♡ 何か出ちゃうよおおお!! んん!?」
「あむっ……んん♡」
レティは唇でシーナの唇を強引に奪い、物理的に喘ぎ声が出ないようにキスで塞いだ。更衣室にくちゅくちゅとイヤらしい音が鳴り響く。
「静かにしないと外にシーナさんの声が漏れちゃいますよ? 一応、念の為に遮音結界を使用しているとは言え……こんなにも乱れるとは……じゅるり♡」
「ほ、本当に……これが冒険者ギルドの登録なんれすかぁ?」
「そうです。私は受け付け嬢として、しっかりと貴方の素質や魔力を見極めないと行けません。それにどの職業に向いているのかどうか」
こんな経験は初めて……脳が蕩けそう。身体が熱い……こんな美しい人に犯されるなら……
「た、溜まりません♡ 私も受け付け嬢として仕事をして来ましたが、ストレスが凄く溜まるのです! ソフィア様は私を抱いてくれないし、アヤメ先輩に媚薬を盛って犯すだけでは私の欲は満たされません!」
「レティさん、落ち着いてくだはい! んん!?」
えええぇぇ……どゆこと!? やっぱりこれは冒険者登録じゃ……あん♡ そんな奥まで……
「久しぶりに私好みの女の子が来たのです。逃がしません。冒険者登録料やその他手続きに掛かる費用や装備の代金も全て私が払いますから、シーナさんの身体を下さいまし!」
「レ、レティさん……お願い、指を抜いて……下さい。もう耐えれない……」
「その表情♡ はぁ……はぁ……そそられてしまいます♡ ここで起きた事は他言無用。良いですね!?」
「は、はひ!!!」
レティがシーナの上着を器用に脱がして、シーナの胸に巻いてあるサラシを外した。しかし、その時1人の女性が更衣室に入って来たのである。
「ちょっとレティ!? 貴方何してるの!!!」
「そ、ソフィア様!?」
普段冷静なレティが、ソフィアを認識した途端に冷や汗をかいて激しく動揺しているのであった。
――――――――――――
―――冒険者ギルド・女子更衣室―――
「それで? レティ......何か言い分は?」
「はい......シーナさん、とても良い身体してました」
「うむ、素直でよろしい......じゃないよ馬鹿レティ! はぁ......まさか、こんな事になるとは。レティみたいな変態を野放しするとまた第2、第3の犠牲者が出てしまうわ。何か考えないと......」
「えっへん」
「いや、褒めて無いからね!?」
ま、また綺麗な金髪の女の人だ。美しい青髪のレティさんとはまた違う方向の美人さん……名は受け付け嬢のソフィアさんと言うらしい。ギルドの受け付け嬢は美人さんが多くてレベルが高い......にしてもまだ身体が少し熱い。正直言うとレティさんに触られた感触が気持ち良かったと言うのが本音。今でも下着が濡れて少々不味い事に。
「シーナさん、本当にごめんなさいね。うちの馬鹿が......」
「いえいえ! 登録料や指導料等を無料にして頂き助かります!」
「しかし、シーナさんは何故男として偽ろうとしてるのです?」
「あはは......そんな大した理由ではありませんよ。女だと舐められてしまうかなぁ〜何て。まあ、僕と自分の呼び方変えただけで男と言うのは無理がありますよね」
私は母親の病気を治す為にこの街へやって来たと言う事と冒険者になりお金を稼ぐのだと言う事をレティさんとソフィアさんに話しました。
―――――――――
「何と......お母様がご病気でしたか。それは大変ですね......」
「シーナさん......そんなご事情がお有だったのですか」
「ソフィアさん、レティさん、親身に聞いて下さりありがとうございます。ですので、今日から私は......」
「シーナさん、こんな事を言うのはお節介かもしれませんが......冒険者になるのは個人的には反対です。それに冒険者の稼げると言うのは、上位の僅かな人達ですよ? せめて冒険者ランクがD級くらいにはならないと稼げそうな実入りの良い依頼はありません。初心者が受けれる依頼は主に、薬草採集、荷物持ち、おつかい、ギルドのヘルプ、ドブさらい、街の人のお手伝い等の報酬の低い依頼しか受けれません。魔物の討伐等は実力が無ければ自分の命を落とすだけですし」
「それは......現実は甘くない事は分かっています。それでも! お母さんの病気治す為なら私は!」
悪魔にだって魂を売る覚悟を決めている。もう、私には後が無い。早くお金を稼いで、お薬を買わないとお母さんが......昔、冒険者の方に聞いた事があるのですが、神秘の泉と言うハイエルフの里で取れる全ての病を癒す伝説のポーション、【女神の祝福】と呼ばれる物があるらしいのです。可能であればそれが1つ欲しいのですが、私には一生手に入れる事が出来ない代物。この国の王族ですら手に入れる事は難しい代物だと聞きます。
「レティ、貴方あれ無かったけ? 確か......エリクサーだっけ? ポーションの品質が少し良いやつだったけ? それを使えばどうかな?」
「はい、何本か持ち合わせております」
「ふぁい!?」
えええええええええぇぇ......!? 今サラッと聞き流しそうになったけど、今レティさんエリクサーを持ってると言ったよね!? レティさん一体何者!? ポーションじゃなくてエリクサー!? ソフィアさんは、エリクサーの価値を分かっていらっしゃるのですか!? それ1つで莫大の富を築く事が出来るのですよ!?
「シーナさんもお母様がご病気で、さぞご心配でしょう。私が持ってるエリクサーを1つお譲りしても構いませんよ」
「え、レティさん......ほ、ホントですか!?」
「ふふ......はい」
いやいや!? しかし、流石にそんな国宝級の物を頂いてもレティさんに何もお返し出来ないよぉ。お母さんが助かるなら……今すぐにでもエリクサーを貰って村に戻りたい。だけど、私の中の貧相な罪悪感と言うか良心が......
「じーっ......」
「ソ、ソフィア様? どうしましたか? 人をまるで穢れた蛆虫でも見るかのような目で」
「レティ、シーナさんに何する気なの?」
「い、いえ......何もしませんよ? シーナさんは大変えっ〇......ごほん。ま、魔力や剣の素質があるのです! エリクサーを渡す条件として、私の奴隷......いえ配下? ごほん。私の専属の冒険者になって貰い、私が一からシーナさんを鍛え上げて、一人前の冒険者にしようと思っております!」
「ふ〜ん。本音は?」
「シーナさんと濃厚で濃密なひと時を過ごしてみたいだけです......ポっ♡」
「うん、やっぱりレティは駄目! 却下!」
「いえ! 私が一番お慕いしているのはソフィア様です! 決して浮気をしようと言う訳ではありません!」
「レティ、貴方は少し黙ろうね」
えええぇぇ......レティさん、女性だよね? 何で私の貧相な身体が好きなのかな? ま、またあんな事やこんな事を......ごくりっ。レティさんの美しい指に、私のあそこが激しく掻き乱されて、頭が真っ白になるくらいに気持ち良くしてくれるのかな。
「ソフィアさ〜ん! 馬鹿レティ! 冒険者の方々が列を並んで待って居るわよ! 早く対応してちょーだい!」
「はーい! アヤメさん、今行きます! レティ、シーナさんに迷惑掛けたんだから、エリクサーを渡すのよ? じゃあ私は先に行ってるから、レティもシーナさんとの話しが終わったら手伝ってよ!」
「はい、了解です」
あらま、ソフィアさんが行っちゃいました。やっぱりギルドの受け付け嬢のお仕事も大変何ですね。
「ふふ......シーナさん、エリクサーを渡す条件として、貴方の全てを私に捧げなさい。私の配下となれば、身の安全やお給金を得る事も出来る上に冒険者としての実力も確実に身に付ける事も出来るでしょう。剣の修行は私が指導致します」
「ごくりっ......ほ、本当にエリクサーでお母さんの病気が治るのですか?」
「必ず治ります。断言致しましょう......エリクサーはそれほどまでに強力かつ、希少性が非常に高いマジックアイテム。もし、シーナさんが本当にエリクサーが欲しいと言うのなら、今日の夕刻にシトレーゼ通りの裏通り3番区にある【風格楼】に来なさい。この事は他言無用です。では、良い返事を期待しています」
「レ、レティさん!」
ううっ......レティさん私にはそう告げると直ぐにソフィアさんの後を追うかのように行ってしまいました。【風格楼】って、一体どう言う場所なのでしょうか?
「ううん......手段を選んでる場合じゃない」
これは最早私に残された選択肢は1つしかありません。何と罵られようが、必ずや伝説のエリクサーを手に入れて見せる。それで大好きなお母さんの病気を治すんだ! それにレティさんが、私に剣術を教えて下さる上に立派冒険者にしてくれると仰ったのです。お給金も手に入る......このチャンスは二度と訪れる事は無いかもしれません。
「お母さん......もうすぐだからね。エリクサーを必ず!」
シーナは決意を新たに冒険者ギルドを後にしたのであった。
―――夕刻・風格楼にて―――
「えっと……風格楼は何処かな?」
風格楼......道を行く人やお店の人に聞いても【そんなお店は知らないな】と言われるばかりでした。隠れたマイナーなお店と言う事なのかな? 地元の方が知らないお店と言うのは少し怖いですが、僕......私は決めたんだ。もう、男として演技をするのはやめる。
「貴様がシーナと言う女か?」
「はひ!? そ、そうですけど......」
「ふむ、私はレティお姉様にお仕えする【薔薇の百合園】、第3の柱......クラリス・フォーネット。レティお姉様から、道に迷うであろう貴様を連れて来いと命じられた者だ」
軍人さんなのかな? 真っ白な軍服に腰にレイピアを携えていますね。クラリスさん......白くて絹の様な細くて美しい長い髪、雪国に住まうお姫様みたいな方ですね。性格は結構辛辣そうなタイプ? てか、出会う先の女性が美人さんばかりって! レティさんの周りが特別なだけなのかな? 美人の周りには美人が集まるの?
「チッ......こいつがレティお姉様のお気に入りだと? 私の方が魅力は上だろう。こんな小娘如きが......」
ううっ......ぐすん。クラリスさんが怖い......私、何か怒らせる様な事してしまったのかな?
「ここに来たと言う事は、貴様の答えは決まったようだな」
「はい......レティさんの元に是非案内をお願い致し......ぐふ!?」
クラリスは刀の鞘で、シーナを気絶させて片手で担いでレティの元へと連れて行くのであった。
―――――――――
「ううっ......」
「おはようございます。目覚めは良好でしょうか?」
「え、ここは何処? へ? レティさん!?」
あれ、私......何で横になってるの? 確か、レティさんの指定された場所に向かって、綺麗な女の人と出会ってからの記憶が無い。私……何かされたのかな?
「シーナさん......いえ、シーナ。貴方は今日から私の配下となり、今後組織の為に尽くす事になるでしょう」
「配下……? 組織?」
「細かい事はまた後程......」
レティはシーナをお姫様抱っこをして、ベッドの方へと運んだ。シーナは困惑しながら身体を硬直させている。不安気な表情で辺りをチラチラと見渡した。
「さあ、これをお呑みなさい……」
「へ? レティさん、これは一体……わぷっ!?」
「はい、ごっくんして下さいまし……大丈夫、ただのお手製の媚薬です」
「媚薬!?」
今さらっと媚薬と言ったよね!? もう飲んじゃったけども! え、何……私、今から何されちゃうの!?




