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君を愛している  作者: シロガネ
EP1 出会いは突然に
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1-8

 お互い心身共に成長し、昔と全く同じ距離間にはさすがに戻せなかったが、それでもかなり近い距離まで戻すことが出来た日の翌日。

 つまり日曜。


 部屋の掃除でもしようかと思って計画し、いつも学校に行く時間と同じ時間に起床した総司のスマホに1件の通知が来た。相手は浩太。


 要約すれば、昔みたいに遊ぼうぜという誘い。せっかく誘ってくれているし、総司はまた今度でいいか。そんなことを思った総司は了承したが、思っていたのと少し違っていることに気が付いたのは集合場所に着いてからだった。




「よし、とりあえず交流しつつゲーセンで遊ぶぞ!」

「絶対バラバラになるよな」


 総司は浩太に連れられ、ゲームセンターに来ていた。ただ2人だけでと言うわけでもなく、男子学生らしくグループでだった。その中には清司もいる。


 遊ぶ名目は、他クラスとの交流会というもの。

 すでに1週間たち、まだ完全ではないがクラスメイトとは打ち解けてきた総司だが、他のクラスの男子生徒とはまだほとんど面識がない。あっても合同体育で少し話したぐらい。


 そのためそれに何か思ったことでもあったのか、浩太が間を取り持つ形でこのような場が設けられた。そして意外にも総司合わせて全員で15人ほどが参加することとなった。


 ただ他クラスとの交流会と言っても、浩太と特に仲のいい男友達が集まった感じ。そのためか同じクラスメイトも何人かいる。


 ちなみにだが、場所は学校から少し離れた隣町。ゲームセンターといっても、建物全体がゲームセンターと言うわけではなく、ショッピングセンター内のとある区画に存在しているだけでの場所。

 幸いと言っていいのか近くにはカラオケ店もあるため、飽きたらそこへ行くことも可能だ。


  ゲームセンターについて早々、浩太は張り切るが総司がつっこむ。だがそのツッコミも遅く、すでにバラけ始めているのが現状。

 これを見ていると、ただゲーセンに遊びに来る名目が欲しかっただけに見えるのだった。




 ゲームセンターで遊ぶにしてもコインゲームやシューティングゲーム、レースゲームとたくさんあり、集まった15人はほとんどバラバラに散っていく。


 今更どこか別のところに遊びに行くかなんて言えない。

 結局どうにか交流しつつ遊ぶか。そんなことを考えながらとりあえず見て回ることにした総司だったが、さすがに浩太は放って置くつもりはなかった。

 そのため一緒に見て回る。


「そう言えば総司ってどういうゲームが好きなんだ? 昔とはやっぱり変わったか?」

「しばらくゲーセンなんて来たことないからな。いろいろ変わっててびっくりしてる」

「まあ確かにな」


 そんな会話を2人はしつつ、グルッとゲームセンターの区画を見て回った。

 総司がゲームセンターに来なくなりすでに数年たっている。だがその数年の間にも技術進歩があったようだ。


 大きさは二畳ほどで座っている座席が動く可動式の筐体で、アトラクションのようなゲーム体験と高い没入感を味わいつつ、ロボットを操作するゲーム。

 ここにあるのはカードゲームではあるが、有名なブラウザゲームに出てくるキャラクターを操舵輪と船速レバーで自由に操作して戦闘するゲームなど、いろいろなものが総司の目に飛び込んでくる。


「簡単に自己紹介し合ったが、とりあえず片っ端から声かけてみるか?」


 遊ぶ前に浩太に紹介された総司。その時は少しだけ浩太の友達達と話したが、全員と話すことはなかった。そのための提案だろう。

 ふと1人の少年に総司は目が行った。


 黒髪ならば誰なのかは判断はできないが、その少年は髪が金色。顔合わせの際に1人だけいた男子生徒の顔がすぐに浮かんでくる。


 伎根多摩学園では髪の色を変えることは禁止されており、事情がない限りは黒色。


 事情というのは、元から茶髪や金髪であればという物。以前ニュースで遺伝により茶髪の生徒が黒く染めるよう先生から注意されたなど世間を騒がせたが、伎根多摩学園ではそれは行われていない。


 そういうこともあり彼が外国人である、もしくは外国人の血を引いていることは出会ってすぐに分かった。日本人よりも白い肌に堀の深い顔をして目が青色であったことも要因ではあったが。


 話しかけるタイミングを見ていたところ、すぐにゲームが終了した。そのため声を掛ける総司。


「ジョージはシューティングゲーム得意なんだな」


 総司にジョージと呼ばれた男子生徒――ジョージ・スペンサーが筐体にケーブルで接続されたガンコントローラーを両手にして振り返る。


「んん? 確かソージ……だったな?」

「ああ、合っている。総司だ」


 自己紹介の時に、両親はアメリカ人ではあるが、ジョージは日本生まれ。それでも幼いころは海外で暮らしており、最近になってこちらに引っ越しをしてきていたと言っていた。


 外国人の血を引き、幼いころは海外で暮らしていたためなのかイントネーションに若干違いがある。

 それが原因なのか大半の生徒はイントネーションに違和感を感じたり、雰囲気の違いもあって声を掛けにくい生徒であるようだ。


 総司にとっては、以前通っていた学園でもクラスに海外から来た生徒がいたため、そこまで強い違和感は感じなかった。


「ジョージってそういうゲーム得意なのか?」

「得意か不得意かで言ったら得意だな! ソージはどうだ?」

「俺は苦手だな。こういうのって途中で一気に出てくるだろ? そうするとお手上げだ」

「ハーッハッハッハ! ソージ、そこが面白いのだよ!」


 そう言ってニヒルに笑うジョージ。そんなジョージを見て、カウボーイハットが似合いそうだ。そんなどうでもいいことを総司は考えてしまった。


「それよりもどうだね? いっしょにやるか? 援護するぜ!」

「そうだな。それじゃあいっしょにやらせてもらおうか」

「オオ! いいね! じゃあ早速やろうぜ!」


 そう言うな否や、総司に2つあるうちの1つのガンコントローラを渡し、100円玉を投入するジョージ。

 シューティングゲームであるのは分かっていたが、特に観察していなかったため、これが博物館の中を進んでいく話であるとは気が付かなかった。


「あぁ、これか」

「んん? ソージはプレイしたことがあるのか?」


プレイのところだけやけに英語っぽく発音するジョージ。それについては何もいわず、総司は頷く。


「やったことはあるが、苦手なんだよなこれ。目の前で急に鎧が動き出したりするだろ?」

「怖いのか?」

「違う違う。驚くんだよ。ホラーとかそういうのは大丈夫だけど、ドッキリとか苦手なタイプの人間」

「なるほど!」


 そんな話をしているうちに、ステージが始まった。

 次々と襲ってくるモンスター――鎧であったりミイラであったり蝙蝠を総司とジョージは協力しながら倒していく。総司1人だと途中でゲームオーバーになっていたが、ジョージの手助けもあり、最後のボスも倒してクリアとなった。


「やっぱりジョージ上手いな」

「ありがとう! でも、ソージもいい腕をしていたぜ!」

「お! 2人ともやっているな!」

「浩太。どうした?」


お互いたたえ合っていると浩太がやってきた。その表情はどこか嬉しそうなものだった。


「いや、みんなバラバラになって心配していたが、横のつながりが増えてよかったなって思ってただけだ」

「まあ確かに初期の目的がそれだったからな」

「ということで総司とジョージ、俺も混ぜろ!」

「イイゼ!」


 サムズアップしながらジョージはそういうと再びシューティングゲームへと100円玉を入れる。さすがに2回もするきになれなかった総司は、浩太と交代した。


 その後、他のメンバーと合流したり別れたりを繰り返し、結局夕方になるまで総司達は遊んだ。

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