8-1-手紙と日記
本日2/2話目となります。
○○衣里の両親からの手紙○○
間宮総司君へ
まずは、娘の衣里をありがとう。
私達夫婦だときっとあの子をあんなにも笑う子にできなかったと思う。
君とのクリスマスデート前に帰省した娘だが、あんなにも楽しそうに君との思い出を話すとは思ってもいなかったよ。
君が転校してきて出会ったときの話から、夏休みの話。付き合い始めてデートしたときの話。いろいろと聞かせてもらった。夕食の時も寝る前も、娘はずっと話していた。すごく楽しそうに。
だから君にはすごく感謝している。
それと済まないと思っている。きっと私達が気を付けていれば、この先もずっと2人は恋人でいられたかもしれないのに。
これは担当の先生から聞いた話なのだけれど、衣里は鎮痛薬をたくさん処方してもらっていたらしい。自分のためではなく、間宮君が気が付かないようにするため。
そこまで君は衣里に愛されていたと言うことだ。それだけは忘れないで欲しい。
他にいろいろと書きたいことはあるが、まとまらない。だからこれで締めさせてもらう。
本当にありがとう。
P.S.
一緒に入れている衣里の日記は君にあげる。本当は手元に残しておきたいが、衣里が君との思いを書いているから。
もしいらなくなったら捨てて構わない。
衣里の両親より
○○衣里の日記○○
△/〇
クラスに変な男が転校してきた。間宮とかいう奴。席は隣。
まあ、オレには関係ないのだけど。
〇/□
モールで男に絡まれてたら間宮ってやつが助けてくれた。確かクラスの奴。
助けてくれたのはいいが、脅してきて一緒に行動することになった。いやだった。
□/☆
ああムカつく。あの男いったい何なんだよ。1人で昼食食べたいって言っているのに今日もまた無理やり一緒に食べてきて。こっちは1人で食べたいんだよ。
☆/△
1人で食べたいとか言っていたけど、なんだかんだ一緒に食べるのが楽しく感じている自分に若干腹立たしく感じている。でもいざ昼食まじかになるとそんな腹立たしさを忘れてソワソワする自分が。あいついったい何なんだ?
△/〇
なんかクラスの女子が一緒に食べようと言ってきた。オレとしては別に一緒でもいいから食べることにした。
にしても不思議だ。前まであんなにクラス中から無視されてたのに。一体何が……って間宮か。
〇/□
ついに学園祭が始まった。
準備期間中に間宮と玲奈との間に何かあったみたい。まああの2人なら何かあってもおかしくはなさそうだ。聞けば総司に対して気があるみたい。
□/☆
熱い中海岸清掃があった。ちょっとした事故はあったもののオレの方は問題はなかった。しいて言えば暑かった。
そういえば間宮のやつ、栗生元生徒会長を助けに行くときの動きがすごかったな。他の奴は手ぶらだったのにあいつだけ浮きを作ってたし。
☆/△
夏休みが始まった。
節電と称して間宮の家に遊びに行った。あいつの困っている顔を見るのが案外楽しかった。夏休み中も遊びに行くか。
△/〇
ああもう! なんで雷鳴るんだよ! よし、間宮の家に行こう!
追記。間宮に寝顔見られた。まあオレが悪いんだけどな? でも泊めてくれたことには感謝しかない。あと間宮の寝顔案外可愛かった。
〇/□
またモールで間宮に助けられた。カッコよかった。
あと前とは違ってこう、変な気持ちになった。……まさかな。
□/☆
なんで!? なんでなんでなんで!? なんで私に告白してきたの? 嬉しいのだけど、無理。玲奈と約束してしまった。応援するって。だから無理。それに再発症したから長く持たない。
☆/△
間宮とついに恋人になった。玲奈が応援してくれたから。
それに総司は私の病気も分かっていて恋人になろうって言ってくれた。私がどれだけ生きれるか分からないのに。
いっぱい書きたいことはあるけど、とりあえずこれだけ。頑張れ私!
あと、間宮と付き合うことになったって昔の私に言ったら驚くだろうなぁ。
あとあと、これからよろしくな、総司!!
△/〇
総司が私達が付き合い始めたってクラスの人達にばらした!
いろいろ言われたけれどすごくうれしかった。総司かっこいい!! 大好き!!
〇/□
総司が彼女の手作り弁当を食べたそうにしていたから練習し始めた。お母さんに作りやすい物を聞いたり、あとはネットで調べながら。もちろん全部自分で食べた。やっぱりうまくなった料理を食べて欲しいから。
でも料理って難しいな。手が傷だらけになった。総司も心配していたし。
□/☆
ああもう! ばか総司!! 全校生プラス職員プラス保護者のの前でお姫様抱っこはダメだろ! 戻ったら戻ったで案の定クラスの奴に遊ばれた。親にも見られていたし! もう嫌!
ああ駄目だ。顔がにやける。こんな顔、総司に絶対見せられない。
☆/△
間宮と水族館デートに行った。子供の時以来の水族館。大きくなってから行くのではやっぱり感じ方が全然違った。あと隣にカッコいい彼氏がいるからかな。すっごく楽しかった。また行きたいな。水族館デート。
△/〇
病院に行った。検査のため。やっぱり病気は進行していっているみたい。それに予想より早い。新年越せないかもって医者に言われた。入院をおすすめされたが、とりあえず考えると言った。でも私としては入院は考えられない。
入院するより、例え短くなってもいいから総司と一緒にいたい。
治る可能性があるのと一緒で、『もし』もある。そのもしがあった時に後悔しないように、少しでも総司と一緒にいたい。総司が私を愛してくれているように楽しませてくれているように、私も総司を愛して、一緒にいて楽しませてあげたい。できることが少なかったとしても全力で。
あと最近薬の効きが悪い。しょっちゅう痛む。総司にバレていないよね? 一応一段階強い痛み止めの薬を処方してもらった。
〇/□
なんで私だけ病気になったのだろう。何したんだろう。総司と一緒にいたい。一緒に生きたい。
こんなことなら恋なんてするんじゃなかった。総司を好きになるんじゃなかった。
ああ、体が少し痛み始めた。薬飲まないとな。
□/☆
総司に壁ドンしてしまった! あとされてしまった! すっごく恥ずかしい! でもかっこよかった!
☆/△
また痛み止めの効果が薄くなってきた。また強めた方がいいのかな。総司ってああ見えて感がいい時あるからな。騙せていると良いけど。
お願い。もう少しだけ持ちこたえて。せめて、せめてクリスマスのデートまでには。
ああ駄目だ。また痛み始めた。薬飲まないと。
△/〇
明日は総司とデート。多分だけどこれが最後の日記になると思う。なんかこう、分かる? 自分でも何を言っているのか分からないのだけれど、なんとなくもう無理ってわかる。でももう少しだけ持ちこたえて欲しい。せめて明日1日だけ。もし持ちこたえてくれたら、病院に入院するから。だからもう少しだけ。
お願い。