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君を愛している  作者: シロガネ
EP5 意識と魅力と告白と
54/84

5-13

本日1/2話目となります。

 花火大会から数日後。夏休みはついに1週間を切っているということで、残り数少なくなった課題を終わらせていた。

 今は数学の公式を使った問題に集中しているためないが、ここ最近は気を抜くと衣里の顔がふと脳裏を横切るため、何かしていないと落ち着かない総司。


 良いことと言えば、すでに読書感想文は終え他の教科の課題も終えている。つまり数学の課題のみ。それも残り数ページ。十分余裕を持って課題を終わらせることが出来る。


 悪いことと言えば、残り少ない夏休みをどうやって変に衣里の顔を思い出さずに過ごすかであるか。振られたと言うことは分かっているが、言葉にできない感情に襲われていた。

 いや。言葉にできないことはなかった。振られたショックだ。


 別に振られたショックでやる気が起きないのは総司自身の問題。それよりも1番の問題がありその問題と言うのが夏休みがもう少しで明けるというもの。そうなれば必然的に顔を合わせるようになり――


「どんな顔して会えばいいんだよ……」


 そこが1番の問題だった。総司でも多少のアニメを見たりはする。その中には恋愛系のアニメもあり、主人公かヒロインどちらかが告白した際、確実に1発OKが出る。


 だが現実は非情でそんなことはない。そのため前にいた学園の友達が言っていた「いざとなればアニメを参考にしよう!」なんて無理である。


 本日何度目か分からないため息をつき、もう少しで終わる課題に取り組もうとした時、スマホからLENEに通知が来たことを知らせる音が鳴る。

 誰からだろうと思ってみて見ると玲奈からだった。


『ソウ君。課題どう? 終わりそう?』

『今日中には終わりそう』

『いい調子だね! 実は私はもう終わっていたりして』

『優秀!』

『と言ってもお姉ちゃんに教えてもらったりしたんだよね』


 文章ではあるが、玲奈と会話をしていると少しだけ気持ちが楽になったように感じた。だがそれが果たしていいことなのかどうかは総司に判断はできなかった。


 しばらく何気ない会話が続く。もう少しで夏休みが終わる話や2学期の話。そして来年からは受験勉強が始まる話。


『1つ尋ねたいことあるのだけどいいかな?』

『いいよ』


 総司がそう返す。既読はすぐについたが、しばらくたってもその質問が来ない。聞きずらい質問か尋ねようとした瞬間、玲奈から文章が送られてきた。


『衣里ちゃんと何かあったの?』


 文章はそれだけ。

 だがそんな短い文章に少しドキッとする。子供が母親に悪いことをしているのがバレた時のようなそんな感じ。何と返事をして良いか、どう書いて返せばいいか迷う総司。


 動揺からか『告白をした』と書いた総司。だが送る前に考え直して打ち込んだ文章を消す。続いて『あった』と書いたが、これも送る前にまた消した。そしてとりあえず無難な文章を打ちこんで送った。


『どうして?』


 僅か数秒で既読が付く。


『言おうか迷ったんだけど、祭りの日に2人とも車に戻ってきてから様子がおかしかったから』

『あった』


 バレないだろうとはさすがに思ってはいなかった。ただ突然に指摘されると思ったよりも動揺し、短い文章で送ってしまう。送ってから気が付いた総司だが、取り消せないので諦めた。


 返信を待っていたらしく、送信と同時に既読が付いた。返事が帰ってくる。そう思っていたが、しばらく待っても返ってこなかった。

 また何か来るだろう。そう思ってじっと待つ総司。部屋には時計の秒針の音が静かになる。


 どのくらい待ったか分からないがようやく玲奈から返事が帰ってきた。スマホを手にして文章を読む。


『もしかして告白したの?』


 読んだ瞬間驚きのあまり危うくスマホを落としそうになった。もう少しで指から完全にスマホが滑り落ちそうになったとこで、なんとか指先でつかむことに成功する。しっかりとスマホを持ち直した総司は、再びもう一度読もうとした時に再度連絡が来た。


『間違っていたらごめん。ただどうしても気になって』


 その文章を読み、正直に伝えるべきか悩む総司。

『告白した』と打ち込んだが消し、また別の言葉を打ち込むが消す。どのように返したらいいか分からず打ち込み消すを繰り返していると気が付けば5分経っていた。

 悩みぬいた末総司は――


『告白した。でも振られた』


 簡単にそう送った。

 すぐに既読が付く。だがしばらくしても返事は来なかった。


 勘違いだったら恥ずかしいが、玲奈からの好意は感じていた総司。だからなのか次に玲奈の送ってきた文章を読みたくないと思ってしまったため、残りの課題の消化に入った。


 もちろんそれが玲奈から目を背ける行為であることは総司自身しっかり分かっていた。






 約1時間後。総司は最後の課題を終わらせることが出来た。

 前からしっかりと確認しつつ消化していたため、課題のし忘れがないことは確か。だがそれでも最後の確認をする。


 確認する前から分かっていたことだが、改めて課題のやり忘れがないことを確認で来た総司はホッとする。まるでタイミングを計ったかのように、誰かから連絡が来たことの通知を知らせる音が鳴る。


総司が玲奈に送って以来久しぶりの通知音。恐る恐る画面を見れば稚奈からだった。内心少しほっとする総司。もちろんこのほっとした気持ちはいい物なのかはわからない。

 稚奈とのやり取りの画面を開く。


『突然ごめんなさい。今週の土曜日に吹奏楽部がコンサートを開くのだけど、一緒に見に行かない? 予定があればいいのだけれど』


 まさかコンサートを見に行くお誘いがあるとは思ってもいなかった総司。スマホに内蔵されているカレンダーを見ると3日後である。

 課題も終わり友達と遊ぶ予定も入っていない。なんならほとんどの友達は課題に終われていると思われる。そのため予定が入っているということはないため一緒に行く趣旨を伝える総司。


『ぜひご一緒させてください』

『そう。それじゃあ一緒に行きましょうか。今から玲奈と出かけるから、集合予定はまた決めましょ』


 全校生の憧れである稚奈と一緒にコンサートを見に行く。まだ当日まで時間はあるが、すでに待ち遠しかった。


 だがその待ち遠しいという気持ちは果たして本当に自分の気持ちなのか、それとも花火大会の日にあったことを忘れようとするため本当にそう思っているかのように自分に暗示を駆けているだけなのかは分からなかった。

 ただコンサートを開くと言うことを始めて聞いたため、学園のサイトをスマホで確認する。


 見た限り毎年開いているようで、今年も学園の部活であるギター・マンドリン部と吹奏楽部の演奏を18時から19時半と1時間半行うと書かれていた。

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