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君を愛している  作者: シロガネ
EP4 出来ること出来ないこと
36/84

4-6

 突風により稚奈が海に落ちた。女子生徒がもたらせたその報告で周りが騒然とする。だがそれよりも早く冷静に先生は尋ねた。人の命にかかわる。さすがにここからは先生が介入するしかなかった。


「どこだ!?」

「こっちです……!!」


 そういうと女子生徒は答えるとビーチの方へと走る。男性教師が付いて行くのに続いて、その場にいた全員がビーチの方へ駆けた。もちろん総司も。

 人によってはごみを移動させていたらしく袋を持っていたが、それを地面に置いて付いてくる。


 海岸清掃をしたためにゴミ1つ落ちていない白く綺麗なビーチ。そんなビーチに降りて防波堤の方を見ると、確かに小さく誰かが水面で水しぶきをあげているのが見える。


「お、お姉ちゃん……!! お姉ちゃん、あれ溺れているよね……!!」

「――!!」


 玲奈のその言葉を聞いて誰かが息を飲む。それが誰なのかはわからない。


「俺が行く!」

「八重柱くん!?」

「おい、浩太!!」


 いつの間にか総司の隣に立っていた浩太が防波堤へ走っていった。それを追いかけるように男性教師と数人が走っていった。


 総司も続くように防波堤に走り寄る衝動に駆られた走り出したが、数歩足を進めたところで足を止めた。行ったとしても助ける手段がない。再度防波堤に走り寄る衝動に駆られたがグッと堪えて思考を巡らす。


 まずは稚奈のところまでたどり着く方法。これに関しては泳いでいけばどうにかなるはずである。

 ただ問題はそのあと。稚奈と思わしき人物は水しぶきを上げていた。あれは十中八九パニックを起こしている。たどり着いたとしても、パニックを起こして暴れている稚奈と共にどうやって岸まで戻るか。暴れる人をつかんだまま戻ってくるなど総司はやったことがない。


 落ち着かせたとしても抱きかかえたまま泳いで岸にたどり着くことはできないと思った方がいい。つまり海の上で救助を待つことになる。となれば――


「わ、私どうしたら……!! 早くしないとお姉ちゃんが!!」

「ごめんレーちゃん。付いてきて!!」

「でも!」

「大丈夫だ! 俺を信じろ!」


 玲奈の両肩を掴んで落ち着かせる。

 そのまま何かを思い出した総司は玲奈と共に、ごみの集積所へと向かった。改めて見るといろいろなゴミがある。場所はわからないが、目的の物があるのは分かっている。しっかりと見た。


「何でもいいから長いロープを急いで探して持ってきてくれないか?」

「わ、わかった……!」

「頼む!」


 玲奈と別れるように動き出した総司は、袋には入れられなかったり、燃えない大きなごみが集められている場所へと向かった。


 置かれているところに目を向けると、記憶にあった通り、形は様々あるがプラスチックブイと呼ばれる物が目につく。

 分かりやすく言うと、海に浮かんでいる直径30センチメートルほどの黒い球体。


 プラスチックブイは球体型のほかにもいくつかあるが、手ごろな大きさの物をいくつか選ぶと、近くにあった口紐付きのネット袋へと突っ込む。

 そして中に入っているブイが動かないように、力いっぱい口を縛ると、簡易的ではあるが大きな浮きが出来上がった。


「ソウ君、ロープあったよ!」

「それで十分だ! ありがとう!」


 綺麗にまとめられているので分からないが、十分そうな長さがありそうである。玲奈から紐を受け取った総司は、すぐさま袋の口を縛った時にできた結び目とロープをしっかり結ぶ。

 結び終えると、すぐさま隆盛を追うように全力で防波堤の先まで突っ走った。



「ち、稚奈!! これ届く!? これに捕まって!!」

「馬鹿!! そんな制服広げただけじゃあそこまで届くわけないでしょ!!」

「で、でも……!!」


 人をかき分けるようにして、何とか防波堤の1番端までたどり着いた総司と玲奈。

 思ったより潮の流れが速い。防波堤から稚奈のいる位置までの距離を見て、総司はすぐにそう感じた。


 防波堤のしかも1番先から落ちたのであろう。数年前までは泳いだことはあるが、完全に覚えているわけではない。それでも海面の深みのある色からして恐らく彼女の身長じゃ足はつかない。総司はそう判断した。


「お、おいこれ本格的にやばいだろ!! どうする!!」

「な、波でどんどん沖まで入っちゃってるよぉ!!」


 周りにいる生徒が騒ぐ。それでも誰も何も出来ないでいる。それは総司の近くに立っていた浩太も同じ。


「どいてくれ!!」

「止めろ! 八重柱、お前ろくに泳げないだろ!!」

「――ッ!!」


 総司の隣に立っていた浩太が、クラスメイトの男子に言われて悔しさをかみしめるような表情をする。泳げないやつが無理しても仕方がない。言い方は悪いが助ける人間が単純に2倍になるだけ。


 すぐに簡易的な救助用の浮きを握り、何も括られていない反対側のロープをそのまま玲奈に持っていてもらった。

 総司が手にしている即席の浮き輪。それを見て総司が何をしようとしているのか浩太は分かったらしく、肩を掴んで止めようとする。


「おい!! この時間の海なめんな!! お前が無茶しても流されるだけだぞ!!」

「わかってる!! でも今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」


 だが総司はそれを聞かず、全力で防波堤の先から海に飛び込んだ。波の抵抗が少ないようなるべく体を直線的にして泳ぐ。


 気まぐれで一度だけ見た遠泳選手のユニフォームを総司は真似してはみる。なるべく無駄な動きがないように意識するだけでそこは結局素人芸。

 がむしゃらにクロールしても体力だけなくなって結局前には進めない。素人芸だろうがなんだろうが、今はこの状態で進むのが1番確実である。


「アップっ……あ、んっ! ぷはっ! んぐっ……かはっ……んぷ!」

「頑張れ、稚奈先輩!! すぐに行く!!」


 数メートル先で必死に息をしようと頑張る稚奈。苦しそうに暴れているのを見ていると、浮き輪なしだったら総司も一緒に溺れていただろう状態。

 総司は下手にあれこれ考えるよりまず先に、今はとにかく前へ進むことだけを考える。


「はあ、はあ……!!」


 唾液と口に入った海水が混じり合い、総司の舌と喉の奥を海特有の塩気が嫌というほど絡みつく。それでもとにかく泳いだからか距離が縮まる。稚奈との距離は目算にして残りおよそ3メートル。

 ここまで来れば追いついたのも同然、あとはなんとかこの浮きに稚奈をつかませることが出来れば。そう思っていた矢先――


「――なっ!」


 突然、何かに体が引っ張られるようにして総司は止まった。振り返ると浮き輪から繋がったロープは完全に張った状態でこれ以上前には進めない状態。玲奈は防波堤から落ちるか落ちないかのギリギリのところに立っている。さらには少しでも距離を稼ごうとしているのか腕をめいいっぱい伸ばしている。もちろん落ちないように後ろでは玲奈を掴んでいる女子生徒がいる。


「ソ、ソウくん、駄目!! ロープの長さが足らない!!」

「俺、他にロープ探してくる!! 無理やり結んで長くすれば――!!」


 防波堤の方では叫ぶ玲奈と、状況を理解しすぐにロープを探しに行こうとする男子生徒の姿が見えた。すぐに何人か走り始める。足の速さから運動部――それも陸上部に所属している3年男子だと分かった。


「ぷはっ! んぐっ……あっぷっ……あ、んっ! ……んぷっ……かはっ!」

「先輩!」


 稚奈が一瞬ではあったが頭のてっぺんまで完全に沈みかける。すでに一刻を争う自体で、今からロープを探していたらおそらく彼女は助からない。

 出来れば帰る手段を残しておきたかった総司だが、まずは助けることを最優先することを判断する。


「レーちゃん、離してくれ!」

「え!? で、でも……!!」

「いいからロープを離してくれ!! あともう少しなんだ!! とにかく浮きさえつかませればなんとかなる!!」

「わ、分かった!!」


 玲奈が返事すると同時に、引っ張られていた感覚がすぐに消えるのを感じた総司。

 それと同時に、少し無茶な泳ぎ方をしたために残り少なくなった体力をすべて吐き出すかのように、一気に残りの距離を縮め稚奈の元に泳ぎ切る。


「大丈夫ですか!? 落ち付いてください、稚奈先輩! 浮き! 浮きあるから!」

「あっぷっ……かはっ! んぐっ…んぷっ……ぷはっ!」


 叫ぶが、稚奈は浮きを掴もうとしない。完全にパニックを起こしているのが見て取れた。

 自分の呼吸を確保するのに精一杯で、総司に体を掴まれても無意識に手足を動かして抵抗してしまう稚奈。


「稚奈先輩!! 聞こえますか!? もう大丈夫だからとにかくこの浮きに捕まってください!!」

「んぐっ……あっぷっ……かはっ……! んぐっ……!!」

「稚奈!!」


 総司は稚奈の顎を掴むと強引に顔を自分に向かせ、正面から目を合わせて言う総司。稚奈が暴れて自分も沈まないように踏ん張りつつ声をかける。


「もう大丈夫です!! 大丈夫だから!! とにかく浮きに捕まってください!!」

「……は、はぷっ!!」


 一瞬、「はい」と返事のようなものが総司は聞こえた気がした。助けに来たことと浮きがあることを理解してもらえたと判断する。


「よし!!」

「げほっ……! げほっ……げほっ、んぐっ……」


 総司の声に少し落ち着いたのか、次第に全身から力が抜けていく稚奈。浮きを思い切り海水の中へと引っ張り、浮力を利用して稚奈の上半身を浮きの上に何とか乗せる。


「ごほっ! けほっ!! ぜぇ……ぜぇ……んっ……! けほっ……!はぁ、はぁ……!」

「だ、大丈夫ですか?」

「……? んぐっ、ぜぇ……ぜぇ……! けほっ、んくっ……。ま、まみやく……ん?」

「とりあえずこうして浮きにつかまっていれば沈むことはありませんから大丈夫です。まずはしっかりと落ち付いてください」

「わ、わかっ……けほっ、ごほっ……」


 海水をたくさん飲んだのかせき込む稚奈。そんな様子を見つつ次の行動について総司は思考を巡らす。元のプランではロープを引っ張ってもらって無事に戻るという物。だがそれも今では使えなくなった。


 代わりの方法としては、浮きに捕まっている稚奈を浮きごとロープを使って引っ張って岸まで泳ぐ。もしくはおとなしくこの場で助けを待つか。


 ただ、海に実際に入って分かったが思ったより潮の流れが速い。視線を防波堤から沖へと向ける総司。優雅に波立つ沖合のうねりに思わず視線を奪われた。


 2人がこうしている間にも、潮の流れはどんどん自分たちの体を岸から話していくのが実感できる。

 こうなると岸まで泳いで戻るのは得策じゃないことは分かる。単純な話、泳いでバテたらそれで終わり。再び波にもまれて同じ位置まで戻されるのは目に見えている。


 テレビでやっていた離岸流について思い出す。離岸流と呼ばれる流れは、岸に向かって平行に泳いでいたら抜けれると知っているが、どのくらい泳げば抜けることができるなんてわからない。

 それに――


「だ、大丈夫ー!?」

「な、なんとか平気だ!! とりあえず大丈夫!」


 心配しているようで、玲奈が大声で尋ねてきたので、総司は心配させないように返事をしつつ手を振る。遠くからではあったが玲奈が人安心したような表情を見せたのが分かった。


「君、無理はしないで!! 今、ボートがそちらに行くから!」

「下手に戻ろうなんて考えるな!! ボートが行くまでその場で静かに浮いてろ!!」

「稚奈のこと頼んだよ!」


 名前がわからない同級生や先輩が岸から叫ぶ。

 他にも必死に声を上げる後輩や同級生、先輩。そんな中に心配そうにこちらを見つめる衣里の姿も総司は見つけた。

 ボートが来るのであれば、無理に動かない方がいい。いくら総司でもそれぐらいわかっている。


「助けが来るみたいなので、ここは皆の言う通りボートがくるまで大人しく浮いていましょう。こういう時は下手に動くとかえって危ないですし」

「そ、そうね……」


 そう言って掴んでいた浮き輪のロープを手に巻きつけ、体を大の字にして水面に浮かぶ総司。真水と違って海水は塩分を含んでいる分、体はこうすると浮きやすいと離岸流の特集を番組でやっていたのを思い出した。

 何をしているのか不思議に思ったのだろう。じっと見てくる稚奈に総司は笑顔を向ける。


「ちょっと前に、夜に放送していた離岸流の特集を組んだ番組やってたんですよ。そのときに一緒に説明にあったのですが、川とか湖みたいな真水と違って、海だとこうすれば結構体浮くみたいですね」

「ほ、本当かしら?」

「はい」


 とか言いつつ試したら全力で沈みかける総司。稚奈を励まそうとしたが、逆に自分がパニックを起こしそうになり、真面目に焦った。


「ちょ、ちょっと……間宮君も浮きにつかまって」

「あ、平気、平気です。これくらい全然余裕ですよ」


 全く平気でも余裕でもなかったがさすがにそれを言うと稚奈が不安がるかもしれない。だからそんなことを言いつつ、少しでも不安にならないよう何とか頑張って話しかける。

 岸から2人の位置は見えるだろうし、今は素直にボートが来るまでこの場から動かないようにすることが総司にできるベストだった。


 こんな海の真ん中で何を話していいか分からなくなってしまった総司。

 昔読んだ男性向け雑誌にはデート中とか初めての合コンでとかそう言うときの会話について書いていたことはあった。それでも海の真ん中で会話に詰まった時の対処法なんてものは乗っていなかった。

 とりあえず無難な会話をする。


「先輩、寒くないですか?」

「え、ええ……大丈夫よ」

「そうですか」


 会話をする目的で言ったが、稚奈の今の体調を聞くには良かった会話だった。ここで寒いなんて言われてもそれはそれで困ることになっただろう総司だが。


「間宮君こそ寒くない? 大丈夫?」

「ええ、俺は平気ですし心配しなくても大丈夫ですよ。むしろ浜辺が暑くてゴミ拾ってる最中も海に入りたくて仕方なかったぐらいですから」

「そ、そう……」

「……」


 そのまま2人、特に話すこともなくしばらく黙り込む。何度か稚奈と2人で話す機会はあったが、こんな海の上でも話すなんて思いもしなかった総司。

 岸の方ではモーターボートのエンジンをかける人影が見え、ここにきてやっと総司も緊張の糸が緩む。


「本当にごめんなさい……。私の不注意でこんな大変なことになるなんて……」

「突風が吹いて、落ちたんですよね? 大丈夫ですよ、そんなの先輩のせいじゃないですよ」

「でも、それだけじゃないわ。防波堤のギリギリを歩いていたのがいけなかったし、それに……その……」

「どうしました?」


 何て言おうかしらと呟いて黙る稚奈。総司は焦らないで黙って次の言葉を待つ。時間なんてたくさんなるから。


「……正直びっくりしたの。間宮君が私を助けに来てくれるなんて……」

「それは、すいません。もっと水泳が得意でシックスパックに割れた日焼けの似合うイケメン男子の方が良かったですよね。もしくは野球部のイケメンキャプテンとか。この学校の3年男子ってレベル高いって聞きますし」

「そんなことないわ。こうして誰よりも真っ先に私のことを助けてくれて……私、本当に感謝してるのよ」


 微笑みながら「ありがとう」と言う稚奈に、場所が海の上で現在進行形で漂流中であることを忘れて総司はドキッとした。

 何度かお礼を言われたことはあるが、今までのお礼の感じとどこか違った。


 総司がドキッとしたのが、どうやら稚奈には分かったようだ。稚奈の微笑みが、少し変化するが総司は気が付かなかった。


「でも驚いたわね」

「……え?」

「間宮くんったら、私のこと『稚奈』って呼ぶんですもの」


 何かマズイことになり始めていることに、総司がようやく気が付く。だが稚奈はこうなると手が付けられないことを総司は知らない。


「同性はともかく、異性からそんな風に呼ばれるなんて初めてで驚いたわ」

「本当にすいませんでした! 焦りすぎていたとはいえ、本当にすいませんでした!!」

「ええぇ……どうしようかな」


 目を細め迷いを見せる稚奈に総司はどうすればいいのかと焦る。だが稚奈をよく知る人が見れば、彼女がいたずらを思いついたことぐらいすぐに見抜けただろう。


「許してください、なんでもしますから!!」

「あら、いいの?」

「……出来る範囲なら」


 稚奈の確認に目を逸らす総司。

「それじゃあ……」と言った稚奈が体を支えるために浮きへ置いていた右腕を離すと、そのまま総司の顔へと伸ばす。突然のことに固まる総司。


「えいっ」

「ッ!?」


 白く細い綺麗な人差し指で総司の頬をつつく。突然すぎて固まる総司をだがそんなことお構いなしに稚奈が総司の頬をつつく。


「えいえいっ。ぷにぷにっ」

「うぇぇぇっ!? なんだこれ、うぉぉぉっ!?」

「つんつんつん」


 再起動するが、それでも困惑する総司とは対照に、稚奈はどこか楽しそうに総司の頬をつつき続ける。


「私、親が再婚するまで1人っ子だったの。それで妹と弟が欲しくて。今は妹がいるからあとは弟が欲しいなって。それでこんな風に頬っぺたを突くのが夢で」

「だ、だからって……」

「だから……ねえ間宮くん。私は玲奈をおすすめするわよ? だったら私の義理の弟になるじゃない」


 そういって稚奈は笑った。そんな稚奈を見て苦笑いする総司。それでも内心では、緊張も不安もようやくここで消えてくれたのか、稚奈のの表情を見て少しだけ安心する。




「へーイッ! ソージ! 大丈夫かー!?」

「ジョージ?」


 少し離れたところからジョージの大きな声と船のモーター音が聞こえてくる。そのまま離れ過ぎず、かといって近すぎない絶妙な位置に船をとめる。


「大丈夫か? ほら捕まるんだ」

「あ、ああ……」


 とりあえず先に自分が船に乗り込み、続いて総司は稚奈を抱きかかえてそのまま船に乗せる。


「きゃ……!」

「す、すいません! 変なとこ触っちゃっいましたか?」

「い、いいえ。大丈夫よ」


 とはいうものの、すごい勢いで顔を赤く染める稚奈に総司は困惑した。それでも怪我もなく喋る元気もあるみたいで何よりだと感じた。


「ありがとなジョージ。これ、お前んちの船?」

「そのとーり!。急いで父さんの所から借りてきたぜ! 手伝いで休日ぐらいにしか乗らないがな!」

「そっか、本当にありがとな」

「ありがとう、ジョージくん」

「お安い御用!」


 片方の口角を上に上げてサムズアップしたジョージは、そのまま陸へと顔を向けボートを運転し始めた。

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