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君を愛している  作者: シロガネ
EP2 噂と演技
14/84

2-4

「昔もこんなことあったよな。その時どうしたっけ……」


 帰宅後、本日あった授業から出た宿題はなかったため軽く復習を行い、現在は部屋のベッドで仰向けに寝転がり天井を見上げながら考え事をしていた。


 考え事というより、記憶を思い出そうとしていると言った方が正しい。古い過去の記憶。小学校低学年の時の記憶である。



 総司が小学校低学年の時、母子家庭であった1人のクラスメイトがクラスメイト達からからかわれていた。玲奈である。クラスメイト達はからかっているつもりであったが、玲奈にとっては毎日が辛く、耐えがたがった。

 その時初めて、総司は動いた。


 ただ総司は当時知識もほとんどなく、どうすればいいか分からなかった。考えに考え抜いた結果、玲奈を背にしてからかっていたクラスメイトと言い争った。

 言い争いは気が付けば殴り合いに。


 その時は結局互いの両親が出てくることになったが、いろいろあってなんとかなった。その時の話はまたいずれ。


 その後もちょっとした出来事のたびに動いた総司だが、成長してもやり方がちょっと不器用だったためクラスの人からは変人扱いをされることに。


 ただ理由を知っている人は「またあいつ誰かのために動いているぞ」なんて思いながら陰から見守っていた。またどうしてもと言うときはクラスメイトに力を貸してもらうこともあった。



 100%役に立つわけではないが、その時のことを参考にすれば衣里がクラスになじめるのではないかと思って思い出そうとしている総司。だが――


「ああ、思いだせねぇ!!」


 ガシガシと頭を強く掻く総司。

 うるさくし過ぎたためか隣の人に壁を叩かれる。すでに顔を知っているため頭の中にぼんやりと顔が浮かんだ。


「……とりあえず飯にするか」


 冷蔵庫から適当に材料を出して料理をする。


 母親から「将来お父さんが海外に転勤するとなったらお父さんについていくから、今のうちに料理できるようになろうね」なんて言って小学校6年ぐらいの時から夕飯の手伝いをしていた。

 だがまさか本当に役立つなんて思ってもいなかった総司である。親孝行の1つとして手伝う気は小さいころからあったから別に気にしないことにしている。




「結局、思い出せなかったな」


 復習を終え、すでに寝る準備を終えていた総司はベッドに横になりながら、衣里をどうすればクラスになじますことが出来るか考えていた。

 だがさすがにベッドに横になりじっとしているとウトウトし始めた。気が付けばもう少しで眠りに着くだろう。そんな矢先。


「……あ!」


 ぱっといい方法を思いついた。物凄くシンプルな方法である。

 総司は上半身だけを勢いよく起こす。ベッドは壁にくっ付けるようにして配置してある。その壁に背中を預けてアイデアをさらにいい物へとするため考えを巡らせる総司。


 いろいろと考えるが、総司の思いついた方法を使うのは状況的に少し難しい。何より衣里の言動によって成功するかどうかが変わってくる。それでも少しでも成功率を上げるため、どうすればいいかを考えていく。


 アイデアが出た際に一度覚醒した脳。だがそれでもゆっくりと近づいてくる睡魔には結局勝てず、良い感じにまとまった時、総司は眠りに着いた。

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