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俺、吸血鬼になったってマジ?  作者: 紅茄子
個人特訓編
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第25話 西宮咲良と

 



「夜来さん、最近みんなと仲良くなってきてるみたいですね」



 みんなが学校に行ってしばらく。

 共用ルームでする事も無くお茶を啜っていたのだが、西宮さんが気を利かせて話題を振ってくれた。



「そうだな。一緒に何かするってやっぱり大事なんだろうな」


「ふうん…。ちょっと羨ましいです」



 頰を膨らませて不機嫌を体で表している。

 そうは言っても美優は元から近いタイプだし、鏑矢さんとはみっちり数時間も練習に付き合ってもらった。

 ただこの謹慎期間を共に過ごすだけでは距離は縮まらなかったようにも思う。



「私も夜来さんと仲良くなりたいです!今日は頑張りますからね!」


「まるで仲が悪かったみたいだな」


「その言い方はイジワルです」



 腰に手を当ててムッとした西宮さんとしばらく顔を見合わせる。

 そして、2人して堪えきれなかったようなくすくすという笑い声をあげた。

 さすがにバーの店員をしているだけあってこの手の冗談のいなし方は上手い。…もしかしたらそこすらもただ純粋なだけかもしれないが。



「まあでも、そんなに気合入れて何するんだ?」


「ちゃんと考えてきたんですよ!まず、ここの寮の皆さんって可愛らしいじゃないですか」


「そうだな」


「そこで、です。私も可愛くなろう大作戦をやろうかと!」


「いや、西宮さんも十分可愛いけど」


「夜来さんはそう言ってくれるかもしれないですけど、私には自信がないんです。なので、夜来さんに可愛くイメチェンしてもらおうって作戦です!」



 俺は今のままでもかなり可愛い部類に入ると思っているのだがそれでは納得できないみたいだ。

 共同作業の理由付けみたいなところもあるとは思うが俺に任せて大丈夫なのだろうか?



「イメチェンって言われてもパッと思いつくのなんて髪型を変えるとか切るとかくらいしかないぞ」


「じゃあそれでいきましょう!私の髪を切ってください!」


「…自分で言っといて悪いんだけど荷が重くないか?」


「大丈夫です!万が一失敗しても髪ならまた挑戦できますから」



 もし失敗したらと考えるだけでもプレッシャーなのに再チャレンジが待っているらしい。

 ここまで言ってくれるんだったらやってみるしかない。

 セミロングの髪を切るとなると結構短いショートヘアじゃないとイメチェンにはならない気がする。

 ……いや、ここはボブくらいが可愛さを際立たせられそうだ。



「ちなみに俺が決めた髪型に美容室で切ってもらうわけにはいかないのか?」


「それでも良いんですけど、やっぱり夜来さんに可愛くしてもらったって自慢したいじゃないですか」


「それ自慢になるのか?頑張ってはみるけど」


「なるんです。さあ、お願いしますね!」



 西宮さんがハサミやらクシやらをどんどん洗面所に並べていく。

 俺は今日思っていたよりも彼女が自分の考えを曲げない事を知った。

 頑固だとまでは言わないが簡単な理由じゃビクともしなそうだった。



「準備できました!」



 …早いな。

 俺は少し緊張しながら洗面所に向かった。





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