表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/589

91-荒ぶる神の渾身の爪

 その嵐は大陸に向かって、どんどん成長しているのが目視できた。海から海水を餌に巨大化し、大暴れしながら向かってくる。いつも穏やかな海が荒波をたてている。温暖化の影響で、最近日本でもスーパー台風なんて言われ方をするようになったが、気象に詳しくない、葵にだって、あれが経験したことのない嵐だとわかる。それは、兵士達も同じで、各隊で指示がいたるところで飛び交っている。その声が怒号で、あの嵐が未曾有の大嵐だと知らしめている。


「結界準備!魔導師隊を集結させろ!」

「地竜と飛竜達を竜舎へ連れていけ!吹き飛ばされるぞ!」

「気象文官にすぐに来させろ!ぶん殴ってやる!」


 気象担当の文官らしき人物達が数名やってきて、海上を確認して息をのみ、ひとりが声を荒げた。


「あれは異常です。こんな時季に嵐がくるなんて!この辺りの海水温だってまだ低い!」

「現に嵐が迫って来ている!嵐が来ているのが分ければ、この作戦の日程だってずらせただろうが!」


  気象担当の文官の言うとおり季節外れの嵐だ。しかもかなりの大きい嵐だ。今は5月の半ばで、晴れれば、初夏を思わせる日差しが降り注ぐが、真夏のような暑さは夕方にはどこかに行き、心地よい風吹いてくる、1年で一番気持ちいい季節なのだ。嵐が来るシーズンは、後2ヶ月先くらいだ。


「後、10時間もすれば、ここに上陸するぞ!」


 この世界の嵐の中でも最強クラスの嵐が迫ってくるようだ。今から退避しても逃げられない為、防風対策でしのぐしかない。葵達がその嵐を見ていたそばで、デイトが駆け寄ってきて、嵐を凝視したままたっている。葵が声をかける。


「デイト様?」


 デイトは葵を手で制止して嵐の観察を続けひとつの答えをだす。


「あれは自然現象ではありません。民の防災対策では、甚大な被害が出ます」

「デイト様あの嵐の正体がお分かりなんですか?」


 環がデイトに尋ねる。


「あれは、眷属神カーラステノーグが最後に放った大技の代償です」


  デイトの説明によると、守星大戦時末期に、大気創成した眷属神のカーラステノーグが、放った大技であるという、カーラスは魔族と闘うために、自身の創造した眷属と翼有人種エンゼル鳥人人種ハーピーを引き連れ戦い全滅した。カーラステノーグは、自身の命と引き換えに、荒ぶる神となり、あの大嵐を生み出し邪神へ立ち向かったが、邪神はダメージを受けたものの倒すことはできなかった。しかし、荒ぶる神が生み出した大嵐は消滅することなく、この星を彷徨さまよい続けている。デイトが当時を思い出すように語り締めくくる。


「カーラスは荒ぶる神となる前に、『わたしの作る嵐からデイトと鳳凰で民を守ってくれよ』とアマテウス様の制止を無視して邪神に挑み犠牲になりました」


 白檀の表情が代わり鳳凰となり口を開く。


「カーラスの思いを無駄にするわけにはいかんな、デイトよ」

「そうだな!鳳凰!」


 眷属神ふたりは決心したようでデイトが指示をだす。


「あざみさん、葵さん、マノーリアさん、わたしと防壁を作るのを手伝って下さい」

「了解!」

「環さん、女神の代行者としてカーラス…いえ、荒ぶる神を鎮めるのはあなたです。あなたが力を見せる時です」


 デイトはいつもとは違い、少し強い口調で環に伝える。環もデイトに強い意志を目に宿しうなずく。デイトとデイトの力を有する、葵、あざみ、マノーリアが岸沿いに石の壁を築く、土魔法を使える者が魔導師を中心に、大雨に備え、水害を防ぐ為水路を確保する。国、隊関係なく、嵐に備えここにいる全ての者が、協力して防災準備に力を使った。そして、大嵐を確認してから、6時間が経過した。皆に疲れが表情に出てきた頃、準備がほぼ完了している為、1度全体で食事と休憩とした。陣の上空も黒い雲に覆われ、嵐が近づいていることを認識できる、しかし、嵐がくる時は湿った南風が吹きはじめるが、今は無風である。それは、南側に高さ50メートル幅1キロ厚さ10メートルの城壁がたった6時間で完成された。その場にいる者は神の偉業と称えた。実際に神のひとりである、デイトが中心に作ったので、間違いではない。皆が順に食事をとり、仮眠をして疲れを回復させる。大本営のテントもなんとなくくらい、準備はしているものの、これであの大嵐をしのぐ事ができるのか、誰もが不安なのである。嵐の力を知る、デイトの指示で準備をしたので、しのげると信じたいのだが、未曾有の大嵐なので不安になるのは仕方がない。葵はふと奇策を思いつき、葵は魔法でどうにかならないか思考する。ここには、15万人規模軍があり、そのほとんどが、何かしらの魔法を使える。しかも、魔法を専門とする魔導師や魔法師も万単位でいるのだ。葵は日本の9月辺りの天気図を思い浮かべ、思考が口から漏れる。


「太平洋高気圧が弱まり…大陸からの空気が流れて日本の上空辺りが境で…日本に向かう台風の進路になる…だったか?」


 思考する葵にマノーリアが気づいて声をかける。


「葵くんどうしたの?」


 葵が自身の中で納得したにか、デイトに声をかける。


「デイト様あの嵐を魔海島に軌道を反らせないですかね?」

「軌道を反らす?」

「神の作った嵐でも、そのエネルギーの源が水温の高い海水だから、あまり大陸に接近してなかったと思うんです。今は海から嵐が進路を進みやすい、でも、過去に経験がないということは、季節的気圧変動で進路を決めているわけではない、基本的には水温の高い地域を移動していた、嵐自身の意志で……。今回、ここに向かってきたのは…」

「カーラスの意志…荒ぶる神となったやつが手を貸すと…」

「そこまではわからない。けど大気によって生み出された、嵐なら軌道を変えることは、この世界ならできるかな?くらいなので確証はないですけどね。嵐への準備はしたから、後は、軌道を変える為の準備すれば、ダメ元です」


 魔族との戦いを目前にして、元眷属神カーラスが守星の為に放った、荒ぶる神の爪と対峙することとなった。

お読みいただきありがとうございます。

引き続き次話をお読みいただければ幸いです。

よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ