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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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88-戦地に赴く歌姫

 各国軍は陣の隣の草原で順番に訓練を行うが、各国の騎士団の中でも精鋭部隊と冒険者のトップランカーのみが選抜され、別部隊として合同訓練を行っている。最前線を担う者達は国ごとでなく、状況によっては見知らぬ者とも連携をとることになる為、合同訓練を行い、合図やサインなどをズレがない様にする。さらに、この連合軍精鋭部隊が実質の先行攻撃部隊となり白檀が指揮を取る。他の攻撃部隊は、長弓やバリスタでの遠距離攻撃を行う弓兵隊の各隊や魔導師の攻撃部隊である。15万の兵数のほとんどは、物資補給や警備、伝令などの後方支援で前線が圧しきられない限り戦うことはない。反対の草原では魔導師の攻撃部隊が合同訓練をしている。今回、魔法師以上が派兵されている。魔法師でも第2攻撃部隊があるのだが、状況に応じて治療師の補助にまわる。今回、魔導師部隊の指揮はロゼッタが行う。治療師でもある彼女が適任とされた。海上からの攻撃はオーシャンガーディアンの海上騎士団が全権を与えられた。海上騎士団団長は船より全体を把握する為、攻撃部隊は騎士長であるカトラスが指揮を取る。短い期間ではあったが、人々はこの作戦が、長い歴史の中で数少ない、魔族からの襲撃ではなく、自分達から仕掛ける者として、士気を上げていた。この場にいる誰もが後ろ向きな者はいない。そんな陣へと、馬車が1台到着してふたりの少女が降り立った。


「麻衣! 着いたよ! 」

「うん」


 麻衣とアマナであった。アマナは1度は、騎士団に合流しようとしたが、麻衣の警護を名目にそのまま残るように指示され、アマナも麻衣が心配なので残っている。しかし、麻衣の強い要望により、これから戦場となるこの場に訪れたのだ。1度ここに来てから説得すれば、麻衣も安全な街へ戻ってくれるだろうと判断した。アマナは麻衣に念を押すように声をかける。


「麻衣さぁ~ 開戦すればここは戦場になるから、いたいって言っても断られて、追い出されると思うから、その時はあきらめて、ポルトベッロシティに帰ろうね」

「わかってる! でも、わたしはもう平気! わたしはここにいる必要があるの! アネモネの為にも! 」

「うーん、とりあえず。大本営のテントに行けば、皇国の皇女とか、新しいここの姫もいると思うから、聞いてみようか、うちの女王もいると思うけど…… 」


 アマナはそう言って、麻衣を東方国連合の総指令部である、大本営のテントへ向かおうとすると、声をかけられる。


「アマナさんと麻衣さん? 」

「あ、マノーリア! 」


 訓練を終えた、守星調査隊の面々がアマナと麻衣のところへやってきた。マノーリアが麻衣に声をかける。


「麻衣さんかなり顔を色も良くなったわね」


 麻衣がペコリとして、みんなにお礼をする。


「この前は助けてくれてありがとう。いろいろあって、お礼言えなかったから」

「気にしなくて良いわよ! 葵くん、信治くん来て! 麻衣さん、改めて紹介するわね。神無月葵くんと長月信治くん彼らもあなたと同じ日本人よ」

「あっ、信治ね。よろしく! 」

「よ、よろしく、お、お願いゴニョゴニョ…… 」


 麻衣が挨拶すると、信治は麻衣から目を反らして、ゴニョゴニョ言っている。麻衣は話す時に、相手の目を見て話す。麻衣の美人顔は整いすぎた顔の為、真面目な顔をすると、怒っていると勘違いされる程に瞳の力を感じる。信治も勘違いをした。後は、あちらの世界でヒエラルキーの頂点の麻衣が本能的に怖いようだ。葵が麻衣に声をかける。


「神無月葵です。よろしく、麻衣って呼んで良い? 俺の事は葵って呼んでもらえれば、ところで、あっちの世界で、会ったことある? 麻衣の事を見覚えがあるんだけど思い出せなくて…… 」

「ええ、良いわよ! 葵よろしくね。他人のそら似ってヤツじゃないかしら? あたしも葵の事は会った事は記憶にないから、もし、思い出したら教えて」


 麻衣は少し小悪魔的に笑い葵に答える。麻衣はあちらの世界で有名人であったことを自分からしゃべるつもりはなかった。隠すつもりもないが、相手が記憶にないなら、そのままにしておこうと思ったのだ。マノーリアがアマナと麻衣に尋ねる。


「ここにはどうしてきたの? 」

「麻衣がどうしてもって言うから、一応、皇女様とかに言って滞在させてもらおうかと思って…… 開戦になったら、連れて帰るから」

「アマナ! わたしはここで最後まで見届けるわよ! そのつもりで来たんだから! 」

「でも、危険だよ!」

「2人とも、まずは大本営に行こうか!」


 葵達はアマナと麻衣を連れて行く。テントの中に入ると、白檀、デイト、環と眷属神代行者が集まって話し合っていた。環が気づいて麻衣に尋ねる。


「麻衣さん、顔色が良くなりましたね。どうしてここに? 」


 環に尋ねられて、麻衣は答える。


「自分でも良くわからないんですけど、ここにいないといけないって思うし、アネモネがそう言っている気がするんです。覚悟はできています。いさせてください! 」

「麻衣さん、ここは戦場になります」

「わかってます。でも、いなきゃいけないんです」

「何故? 」

「あたしもわからない! でも、アネモネがそう言っているの! 」


 デイトが仲裁に入る。


「環さん。麻衣さんは何かを感じているのでしょうが、それがわからない様子、本人も覚悟できているようなので、護衛を着けるのと我々の近くにいてもらいましょう」


 一緒にいた眷属神エーテルの代行者のフォレストダンジョン王国女王のマンテマが声をかける。


「アマネも護衛で着いています。何かあれば守るでしょうから環様ご安心下さい。ねぇアマネ」

「できることと、できないことあるけどね! 」


 マノーリアがアマナに小声で声をかける


「アマネ、女王陛下にその態度で良いの? 」


 アマネが腕を組んで鼻息をひとつ


「良いのよ! だって女王はわたしの姉だもの! 」

「えっー」


 そこにいた皆が驚くが、よくよくふたりの顔を見ると似ているので納得する。葵が麻衣に声をかける。


「良かったな! 麻衣! 」

「うん! じゃあ 騎士や兵士のみんなが盛り上げる為に歌ってこよう! 行こう! アマネ」

「麻衣! 勝手すぎるー」


 ふたりはテント飛び出し、仮設の食事処の方へ向かって行った。葵はまたもや思う。


「やっぱり、どこかで会ってるような? 」


お読みいただきありがとうございます。

引き続き次話をお読みいただければ幸いです。

よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。

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