83-眷属神サヨリの新代行者と束の間の休息
アネモネ姫が亡くなり2日が過ぎた。姫の葬儀も行われ、国全土が悲しみに包まれた。過去に各代行者が任期を全うできずに亡くなることはあった。オーシャンガーディアンは、最悪の状況である内乱を防ぐことはできたが、国の象徴であるアネモネ姫が、その犠牲となった。元政府が政府機能を停止し、新政府がポルトベッロシティを首都として、オーシャンガーディアンの再建を声高々に宣言する。新政府元老院議長にシーブリムが就任した。そして、眷属神サヨリの代行者が新たに神器によって示されたのだ。アネモネ姫がなくなって2日しか経っていないが、国民は新たな代行者の誕生に歓喜した。オーシャンガーディアンは代行者を姫として扱う。本来であれば任期を終了する前任より、引き継がれるが、今回はアネモネ姫が亡くなった事と、女神アマテウスの代行者の環が、滞在していたことにより、環から新たな眷属神サヨリの新代行者へ神器を渡すこととなった。アネモネ姫の喪に服す意味もあり、盛大な任命式は誰も望むところではないので、簡素なものとなったが、それでも新オーシャンガーディアンの象徴として、国民に希望を与えた。環が新しい姫に、銛の剣先に宝玉が刺さったような形状のワンドを渡す。
「共に守星の為に…… よろしくお願いしますね」
「まさか、わたしが選ばれるとは…てっきり海洋人種の方かと思っていたので…心の準備が…」
サヨリの代行者に選ばれるのは、海洋人種が多いが、確率が高いということで、人種が選ばれないわけではない、単純にサヨリとサヨリに創造された海洋人種の親和性が高いと言う程度だ。他の代行者でも同様だが、逆にデイトの代行者は、自身が創造したドワーフから選出していない、ドワーフは山を管理するために作られた人種の為、デイトとは行動を共にしていなかったからだ。
「誰もが、最初はそうですよ。マーレさん、いえマーレ姫とお呼びした方がよろしいですね」
「環様お戯れを…まだ、姫と呼ばれるのは…」
そう、アネモネの後任は、ポルトベッロ・マーレが選ばれたのだ。式典が終わり、守星調査隊の面々はつかの間の休息を取りに部屋へ戻る。ポルトベッロシティの宿屋をオーシャンガーディアン新政府が、守星調査隊の為に用意してくれた。内乱勃発の解決に大きく貢献したからだ。既に守星連盟を通じて大陸全土に通達されている。皆が集まっている部屋にマノーリアが戻ってきた。環がマノーリアに声をかける。
「マニーちゃん、お疲れ様。麻衣さんの様子はいかがでしたか?」
「今は、アマナさんが付き添っているので、大丈夫だと思いますが、まだ、憔悴しています。精神安定の魔法はほどこしているので、後は本人の気の持ちようでしょうね。アマナさんも精霊術を麻衣さんにかけていたので、少しは前向きになれるとは思います」
「麻衣さんの事は本人が落ち着いてからにしましょう」
葵が信治に尋ねる。
「なあ、信治」
「あの麻衣って娘見たことないか?」
「今風のリア充女子なだけじゃないの?良くいるでしょああいう娘」
「まあ、今っぽいって言えばそうだけど…」
葵が腕を組んで記憶をたどる。マノーリアが葵に尋ねる。
「麻衣さんに見覚えがあるの?」
「知り合いではないけど、なんとなく見覚えが…学校かなぁ?」
梔子が葵を茶化す。
「はは~ん、葵はあの娘がかわいいからそんな事言ってるんじゃない? マニー気をつけないと葵が浮気するよ!」
「確かにかわいいけど…マニーの方がかわいいだろ」
葵は、後が面倒なので明言しておく、確かに麻衣は美人でかわいいだろ、しかし、マノーリアのレベルは比が違う、ちなみにこれは全員に言える。ここにいる女性陣のレベルは高い。しかし、葵は、異世界と元の世界を比較するのは根本的に違う気がする。マノーリアや梔子は、全異世界美少女コンテストで間違いなく、上位にランクするレベルだと自負しているが、ここは公平を期する為に、専門家に尋ねるべきだと思い尋ねる。
「信治先生」
「せ、先生? 葵くんいきなり何? 」
「いろいろな異世界を目にしてきた先生なら、マニーやクーの美少女レベルが比でないことをわかると思いまして、ちなみに今回は柊さん除外です。先生の主観が入るので、マニーとクーと環さんでお願いします」
「えー、わたし達も~ 」
咲と花がノリノリでエントリーを希望する。
「咲と花はU-18枠だ。デイト様も見た目そっちなので、オーバーエイジ枠でそっち!」
信治が先生と呼ばれ少しエンジンがかかったようだ。
「先生よろしくお願いいたします」
「そうですね~ 確かにお三方は間違いなく美人ですね」
「はい、その通りです」
「しかし、これは主観が入るのは、やもえませんし、作品の人気にも影響を受けるでしょう」
「おっしゃる通りです」
「しかし、わたしの見立てでは、ベスト20にはお三方は入れるスペックであると断言いたします」
「おー」
「あっちの異世界の世間知らずのハーフエルフちゃんやこっちの異世界の狸耳の美少女剣士ちゃんにだって負けてませんね。そちらの異世界の主の為に貞操を守るサキュバス様にだって負けてません。はたまた…」
「はたまた…」
「異世界ではありませんが…」
「なんと異世界をこえますか?」
「VRMMOの世界の騎士団のあの副団長やその後に出てくる騎士ちゃんにだって負けてませんよ!」
「さすが先生いろいろ出てきますね…」
葵は信治が話を大きく拡大したのとそろそろ飽きてきたので閉めにはいる。
「先生ありがとうございます。という事でマニーとクーと環さんは、かなりの美人さんということがおわかりいただいたと思います」
咲と花は信治の話しに軽く食いつき信治に質問する
「信治さん、ぶいあーるえむえむおーって…?」
「信治さんはいろんな世界に行ってるんですか?」
最近、葵の誉め殺しに免疫がついていたが伏兵の信治が熱く語ったせいか、3人はだいぶ恥ずかしいようで頬を赤く染めている。信治は、まだひとりで語っているがつきあわされている、咲と花は引き気味な態度だ。するとドアがノックされる。
「休息中申し訳ありません。魔海島の結界が危険な状況との伝令が…」
予定よりも結界の破損が早い、対応しなければ湾岸エリアへの魔族の侵入を許すこととなる。
お読みいただきありがとうございます。
引き続き次話をお読みいただければ幸いです。
よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします




