78-引き離された少女達
葵達がシルドビナスからオーシャンガーディアン首都に向かう事になった日から、一週間前にさかのぼる。アマナと麻衣は、この国の陸上騎士団と共に首都に着く、麻衣を安全にロスビナスシティへ連れていく為に、この国も手を貸してくれるとの話だった。アマナと麻衣は、元老院議事堂に到着し、元老院議長室へ通される。元老院議長がふたりを労う。
「ようこそ、オーシャンガーディアンへ、はるばるフォレストダンジョンから参られてお疲れでしょう。エルフ殿、名をなんと申されましたかな?」
「お初にお目にかかります。わたしはフォレストダンジョン騎士団のアマナと申します。この度はご配慮いただき誠にありがとうございます。」
「アマナ殿、もう、ご安心下さい。我が国で彼女を保護し、皇国へお連れいたしましょう。アマナ殿は国に戻られてかまいませんぞ、彼女の名は…」
「霜月麻衣と言います。」
「霜月殿でしたな…」
「元老院議長、ご配慮はありがたいのですが、皇国の施設に送り届けるまでが、わたしの任務となっております。最後まで同行させていただきます。」
「そ、それは大変だろうから、我が国で…」
「いや、連盟法でも転移者の意志を尊重し、自国保護、皇国保護を選択し、発見国の責で皇国へ身柄を受け渡すとありますでしょ?それに麻衣とせっかく仲良くなったから、もう少し一緒にいたいし、ねぇ麻衣?」
「そうね、いきなり知らない人ばかりになるのは…」
「そうですか、では、宿泊施設はあいにくと2部屋が同じ場所を用意できないので、アマナ殿は騎士宿舎で霜月殿は迎賓館に泊まっていただくがよろしいか?」
「泊まるところは別でもかまわないけど」
こうして、ふたりはオーシャンガーディアンの保護を受けて、首都に泊まることとなった。翌日、アマナは麻衣と朝食をとろうと迎賓館を訪れ、門の兵士に声をかける。
「おはようございます。麻衣に会いに来たんですけど」
「あいにく悪いんだが、上からの命令で許可がない者を通すわけにいかないんだよ」
「えっ、じゃ麻衣とはいつ会えるんですか?」
「我々に聞かれても、いち、門番では答えようがない、申し訳ないな、エルフ殿」
「わかりました。元老院議長のところへ行ってきます。」
アマナは元老院議事堂へ向かい、元老院議長に面会を申し込むと、予定が立て込んでいると、面会を断られる。
「これは明らかにわたしが厄介者ってことよね?そんなにわたしを引き離したい理由って何?エルフをなめるなよ~」
アマナは町外れまで行き、木々や草木が生い茂る場所を探す。アマナは精霊術で精霊を呼び出す。
「元老院議長が何を企んでいるのか暴きたいから、よろしくね。」
小さな光の粒子がフワフワと街の方へ飛んでいく
「これで少しすれば、元老院議長がなんでわたしを麻衣から引き離したいかわかるだろう」
アマナは木々と草木の匂いを思いきり吸い込み鋭気を養う。すると後ろから男性に声をかけられる。
「オーシャンガーディアンでエルフとは珍しい!」
「誰?」
「おっと失礼!フォレストダンジョンの騎士さんかい?」
「はい、アマナって言います。あなたは…帝国の人ですか?」
「すまん、すまん名乗りもしないで、俺は守星連盟で諜報担当しているハリーだ。よろしくな!出身は隣のロスビナスだ。」
「守星連盟…じゃ、あの、わたしロスビナスシティに日本人の女の子を連れていくところだったんですが、この国の元老院議長が助けてくれるって言うから、首都に来たら、どうも、わたしが厄介者のようで、怪しくないですか?」
「日本人?フォレストダンジョンで保護したのか?」
「はい、10日位前に森で発見して、元老院の命令でロスビナスで保護してもらうことになったので、本来であれば、わたしが、ロスビナスまで連れていくのが筋ですよね?それをオーシャンガーディアンが保護して連れていきたいみたいで…今、精霊に情報収集お願いしたところです」
「やっぱり、あの元老院議長何か企んでるな…アマナで良いかい?俺達は利害が一致しそうだ。協力しないか?」
「と、言いますと?」
「この国の元老院議長が何か企んでる。ここに来るまで関所があったろ?」
「はい、最初は港町に向かうように言われて、反政府運動が活発化しているとかで、向かっていたら、後からここの騎士団が追いかけてきて、手を貸すから首都に来いと」
「なるほどな、転移者の日本人を何かしらの企てに使いたいんだろ、それでアマナが邪魔になったってことだ。それに、ここの国のアネモネ姫も軟禁しているようだ」
「軟禁?自国の姫をですか?」
「怪しいだろ?」
「かなり…あ、ハリーさん精霊達が」
精霊達が戻って来てフワフワとアマナの周りを浮遊する。アマナが精霊から聞き出し顔が青ざめる。
「アマナ、精霊はなんと?」
「ハリーさん、この国の元老院議長は最低です。麻衣を殺害して、反政府組織の仕業にするみたいです。早く助けないと!」
「まて!まだ、計画段階で何もしていないから、容疑はかけられない!それに、こちらの動きを察知されれば、さらに警戒されるだけだ。」
「じゃ、どうすればいいの!」
「まず、ここを離れよう。本当に反政府組織が不当なのかも確認して、反政府組織が正当な組織なら、そちらと共闘して救出しよう。」
「ハリーさん、あまり余裕無さそうです。」
「どうした?」
「ここの姫、体調良くないみたいです。確かマーメイドでしたよね?」
「そうだな、アネモネ姫はマーメイドだ。おそらく迎賓館の水槽が併設された部屋に軟禁されていると思うが…既に、3週間軟禁されているようだからな。」
「ひどい…眷属神の代行者をそんな扱いするなんて」
「結界はどうしてるだ…アマナすぐに、ポルトベッロシティに向かおう!」
「でも、麻衣は…」
「俺の支獣をつけておく、ダニー、アネモネ姫と麻衣という日本人を守れ」
「にゃ~!」
黒猫いやミニチュアサーベルのダニーが街の中に消えていく、ハリーとアマナはポルトベッロへと向かうのであった。
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