75-隣国の内情
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STRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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馬車はゆっくりと湿地の城壁沿いを南下する。ウィッチイーター以降は、それを超えるモンスターは現れず、それほど苦労せず倒すことができた。その為、かなり順調に馬車は進んでいる。守星調査隊特注のこの馬車は、通常の馬車より揺れが少ない、葵のアイデアで信治にサスペンションを作ってもらい、組み込んでいる。車輪も通常は木製の車輪に金属で補強しているが、魔装衣の生地で補強し、この世界にもゴムが存在していたので、信治にタイヤの代用としてゴムを作成してもらった。葵と信治の異世界の知識により、この馬車は、格段に安定性と走行性の向上されている。走行時の走行音も減ることとなった。更に車内もいろいろと工夫がされている。これも、葵があちらの世界でキャンピングカーを、父親がレンタルして家族旅行をしたことがあった。その為2両目は荷物置場と簡易治療スペースが備えつけられていた。治療環境は最低限必要なものをマノーリアの監修の元作成された。今はその治療用簡易ベッドには、救出した魔導師の少女が横になっている。
「うーん…あ…あれ…」
「環さん、彼女目が覚めたようです」
「安心してください。ここは馬車の中です。どこも痛くないですか?」
「あっ、はい、ありがとうございます。記憶も寄生された後もうっすらと記憶にあるので…」
「ヒールもかけたし、魔力量半分まで回復したようだから、起きても平気ですよ。念の為、ポーションも飲んでおきましょう。携帯食のお食事ですけど、食べますか?」
「何から何までありがとうございます。わたしはオーシャンガーディアンの港町を拠点に魔導師をしています。ポルトベッロ・マーレと言います。助けていただいてありがとうございます。」
「わたしは、皇国の皇女をしています。環です。」
マーレは両手を口に当て驚いている。
「確かに、良くお顔を拝見したら、皇女様でした。気がつかず、申し訳ありません。」
「気にしないで、皇女でなく環と読んで下さい。マーレさんも、3年前に結界魔法隊に参加されてましたよね?ごめんなさい、お顔に見覚えがあったのですが、お名前まではね」
「えっ、はい、当時は魔法師でしたので、環様とは何度かお話させていただいた事があったと思いますので…」
「そう、改めてよろしくお願いいたします。こちらがあなたの治療にあたった。マノーリアさんです。」
「マーレさんはじめまして、如月マノーリアと申します。本業は騎士になります。騎士団の騎士長をしております。よろしくお願いいたしますね。わたしの事もマノーリアかマニーと呼んでくださいね。ところで、マーレさんは何故こちらに?」
「どうしても、もっと強くなりいのとお金を貯めなければならない事情があって、近隣で報酬の高い協会の斡旋先が、こちらの原生湿地だったんです。あの、誠に勝手なお願いなんですが、わたし達を助けていただけませんか? 他国とは言え皇女様なら、元老院議長を止められるかもしれません。このままだとオーシャンガーディアンが、邪神が目覚める前に滅んでしまいます」
「マーレさん落ち着いて、ずいぶんと物騒なお話ですね。まずは、お食事済ませてから、南門に着いたらお話を聞かせてください。お食事終わったら前の馬車に来て下さい。わたし達の仲間を紹介しますね。マニーちゃん先に行ってるので、マーレさんよろしくね。」
「わかりました」
環はそういって1両目の馬車へ移動する。マノーリアがマーレに諭すように声をかける。
「マーレさん安心してください。わたし達は皇国騎士団で新設され、皇女を隊長とした守星調査隊なんです。詳しく、お話を聞いてお役に立てるなら、環さんもお力添えをしてくれます。環さんはそういう人ですから」
「ありがとうございます。」
マーレが食事を終え、マノーリアと1両目の馬車へ訪れた。
「みなさん、はじめまして!ポルトベッロ・マーレと言います。よろしくお願いいたします。」
「マーレさんは環さんと葵くんと同い年みたいです。」
守星調査隊の面々が自己紹介する。梔子がマーレに尋ねる。
「マーレさん、ポルトベッロって港町がありましたよね?」
「あ、はい、実はわたしの家は、ポルトベッロの統治を先祖代々してきた家になります。」
白檀が続けて質問する。
「いろいろ、事情があるようだが、重い方の話は南門に着いたらで頼む後、15分もすれば着くからな、それまでは、ウィッチイーターに寄生されたまでの話を聞かせてくれないか?南門で報告が必要だからな」
「はい、わかりました」
マーレの話によると、冒険者チームから同行を依頼され入門して2日後に大蛇に襲われた時にトラブルが起きた。大蛇を見て冒険者チームの意見が別れて、戦うべきと離脱する意見でぶつかり、連携が乱れ大蛇に完敗した。マーレともう一人の男性が命からがら逃げられたが、他のモンスターに襲われたそうだ。マーレは魔法駆使してなんとか城壁沿いの道までたどり着いたが、そこで意識を失ったという。そこで寄生されたようだ。うっすらと記憶にあるのは、植物の中に閉じ込められ、魔力を吸われている事だけらしい。マーレの話を聞いている間に南門に到着した。騎士団の施設の部屋を借りてマーレの話を全員で聞くことにした。環がマーレに尋ねる。
「マーレさん。わたし達がご協力できることならお手伝いいたしますが、わたし、そして隣の白檀さんは皇国を代表するものになります。隣国として関係が悪化するのは避けたいのも本音です。政治的理由からお断りする可能性があることもご理解下さいね」
「はい、承知しております」
オーシャンガーディアンでは元老院議長が独裁をするのではと噂されている。そして、もっとも目障りな相手として、海の創造した眷属神サヨリの代行者である、オーシャンガーディアンの象徴である姫アネモネを1ヶ月前から軟禁している。元老院議長の言い分としては、海洋人種上位の国家体質を改善し人種も平等の政治を行い陸上都市の開発を進めるとしている、しかし、海洋に多くの国家予算を費やしているのは、海洋人種の為でなく、魔族防衛と自然災害に対する防災の観点からであり、海洋都市はそこまで開発が進んでいる訳でもない、もっとも発展を遂げているのは首都と海洋人種と人種が共存できる湾岸の街の一部である。元老院議長の暴走を止めるために、元老院議員のシーブリムとマーレの父親のポルトベッロ氏がポルトベッロシティでレジスタンスを立ち上げたが、反政府組織として対立する事となった。まだ、大きな紛争は起きてないが、元老院議長派の陸軍・陸上騎士団の9割と海軍・海上騎士団、そして、陸軍と陸上騎士団の1割でにらみ合いが続いている。比率では五分五分だが、海軍・海上騎士団側の3割の海洋人種の人魚なので、陸上での戦いは不利である為、人種の傭兵を雇う事にしたとので多額の金銭を用意する事になった。マーレの説明を聞いた環がマーレに尋ねる。
「かなり、大きな問題になっているようですが、隣国であるこちらにはまだ情報が入ってきてませんが?」
「政府側の策略で情報統制・操作がされていると聞いています。現に街道の至るところに関所が作られて、国民は国外への移動は規制されてますし、国外の方は首都へは許可がないと入れないと聞いてます。わたしは海洋ルートでロスビナスへ入国しました」
「そうですか、一応情報はこちらでも調べましょう。クーちゃん、咲さん、花さんお願いできますか?」
梔子が胸をポンっと叩いて返事する。
「タマちゃん任しといて~咲、花行くよ~」
「りょうかーい!」
「クーさん、お姉ちゃん待ってよ~」
梔子と咲、花がすぐに準備して部屋を出ていく。環は次に柊に指示を出す。
「柊さん、シルドビナスへ外交文官に来ていただくように、こちらの騎士の方に伝えてロスビナスシティへ向かってもらってください。」
「かしこまりました」
柊も部屋を出て南門騎士団の隊のところへ行く。環がデイトに尋ねる。
「デイト様更に迂回しますがよろしいですか?」
「かまいません。それに、ポルトベッロさんは虚偽の様子はありません。場合によってはサヨリに先に会うでも良いかもしれませんね」
「ありがとうございます。では、予定を変更して、城塞都市シルドビナスへ向かいます」
守星調査隊は予定を変更し、ロスビナスの第二都市でもっとも南東にあるオーシャンガーディアン国境にある。城塞都市シルドビナスへ向かう事となった。




