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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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71-原生湿地

馬車は順調に街道を進み昼過ぎには、最初の目的地である湿地にたどり着く、湿地外周は高い城壁で囲われており、結界も張り巡らせている。葵が隣にいるマノーリアに尋ねる。


「この湿地は何なの?」

「ここは、他の土地を開墾した時にモンスター達の生息場所を残した場所よ、湿地入口の建物がモンスターの研究施設や増えすぎたモンスターを討伐する、冒険者組合と騎士団の施設それに治療院と魔術師組合ね。」


他に武具店や飲食店に宿等があり、小さな村程度の暮らしは、できるようになっている。人の手によって開墾され、田畑になった土地の分を管理された湿地にモンスターを放たれている。言わば国立の自然公園的な場所と葵は思ったが、続くマノーリアの話に考えをリセットする。


「ここにいるモンスターは、人になつかないし、狂暴なモンスターばかりで、毒や酸で食用にもならないモンスターばかりよ、モンスター討伐の時は、数人は命を落とす事があって、高額な報酬で冒険者が参加するの、騎士と合同で討伐するのよ、以前、わたし達も参加したけど、かなり手強いモンスターも生息しているから警戒は必要ね」

「なるほど…マニー達が討伐に参加したのは、どのくらい前なの?」

「約1年前になるわね。後、この湿地に生息する植物にも警戒してね」

「植物?」

「ここの植物は繁殖力や寄生能力が高い品種がいたり、狂暴な植物がいて、モンスターを食べる、植物が生息しているの。後は魔法とかを使える植物がいるわ」

「想像を超える危険地帯だ。」

「レンジャーのクーがいるし、誤って生息域に入ることはないわ、生息域を通らないと進めないことはあるけど」


邪神が現れ魔族を放たれた以降、食物連鎖の変化起きたことにより、この世界の生き物全ての生命力を女神が上げたことによって、動物と植物がモンスターに進化した。温厚なモンスターは人の手によって、家畜のように改良されたり、人の生活圏で共存さることなった。人の手に余る狂暴なモンスターは、人の生活を脅かす事がないように、生活圏から隔離するか、あえて生息地を開発せず管理するようにし、モンスターの数が増えないように年に1回、騎士団や冒険者によって討伐が実施されている。原生の生息地が管理されているところが多いわけではなく、人の生活圏から離れている生息地は、管理は行っていない、そういった生息地でも調査を目的として、騎士団や冒険者が入ることがあり、単独で入った冒険者のチームや身元不明の遺体が発見される。その中の一部が日本人の転移者の可能性があり、日本人と判断されるのは、御石を身につけていない、もしくは、遺体が白骨や腐乱していない状態で発見された場合は、魔力量を測定する。魔力量がゼロの場合は日本人と判断している。近年1年でそういった報告はないが、4年ほどさかのぼると、日本人の可能性のある遺体は数体発見されている。マノーリア達はごく当たり前の話として話しているが、葵や信治は異世界であることを再認識していると馬車が門の前で止まる。馬車からおりると各施設の長や常駐の騎士団が勢揃いしている。葵はちょっと仰々しいと思ったが、この国の象徴と騎士団トップがお揃いで訪問したのだから当然なのかと心中で納得する。白檀が一歩前に出ると、騎士団の隊長らしき人物も一歩前に出て敬礼をする。


「白檀団長!お待ちしておりました!」

「固いのは、最初だけで頼む!」

「承知しました!」

「世話をかけるがよろしく頼む」


隊長は白檀と対して年が変わらない容姿をしている。この湿地は持回りでマノーリアや梔子のような特務隊意外の隊で交代で管理している。マノーリアや梔子は白檀と当然ながら距離が近いが、一般の騎士は隊長であっても白檀には、緊張するんだなと葵は思いながら、ふたりのやり取りを見ている。次に環が白檀の隣に立ち話を続ける。


「急なお願いで申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。湿地で変わったことは起きておりませんか?」

「今のところ大きな異常はございません」


隊長は環にも緊張しているようだ。葵は同い年だし環も周りから何も言われてないが、馴れ馴れしいかと自分の環への立ち居振舞いを思い起こすが、頭にあんな柔らかい物を押し当てられた仲だから良いかと納得する。思考が良からぬ方向に行くと、隣のマノーリア気づかれるので、思考をもとに戻し、環達の会話に集中する。


「直近で遭難者はおりますか?」


環が尋ねる。遭難者とは腕試しの為に冒険者が湿地に入ったり、研究施設の依頼で騎士や冒険者が入ることがある為に門で管理している。湿地への門は南北に1つずつあり、南北の門の距離は15キロある。南北に騎士団と冒険者組合の施設があり、研究施設と魔術師組合は北門のみとなる。冒険者組合と魔術師組合の長が前に出て環に返答する。


「皇女様。1週間前に湿地へ入った冒険者チームがまだ帰って来ておりません。最初の予定では2日でしたが…経験豊富なチームなのですが…」

「その冒険者チームに同行要請で魔術師を1人同行させたのですが…同じく戻って来ておりません」


この世界では神官と魔術師はもっとも魔力量が多く人口比率で考えるとかなり専業で行う人数が少ない為、個人的に契約すると破格の報酬になる為、必要な時に魔術師組合へ要請して、同行してもらうのが一般的である。葵は、ビナスゲートでロゼッタが、加わってくれたのも稀なことなのだと認識する。まぁ今の調査隊は稀の稀なのだが白檀が返答する。


「1週間か…生存は期待できないだろう。もし亡骸があれば、南門に預けるでかまわないか?」

「はい、よろしくお願いいたします。」


冒険者チームが単独で入る場合は、戻って来なくても捜索は行われない、その代わりに次に入るチームへ、託されるのが一般的な冒険者のルールだ。騎士達も同様にそのルールを受け入れている。白檀が皆に声をかける。


「みんな、今から湿地内に入る。準備を進めてくれ!今回はモンスター討伐なので通常陣形だが経験値を積むのが目的だ。葵は前衛に入れ!デイト様が後衛に入るのから、柊は中衛で頼む」

「了解!」


各々白檀の指示に返事をして門の前で陣形のならびに変更し、自身の支獣も出現させる。


前衛に葵・梔子・咲

中衛に白檀・マノーリア・柊・花

後衛に環・デイト・信治


デイトと環は馬車の御者台に乗る。馬車の前に信治が立つ、湿地の門が開かれ湿地内に入る。湿地と言っても外壁周辺は、道を通しており馬車も問題なく通れる。鳥形態の3匹の支獣が、先行し状況の確認をする。葵の支獣エールと咲の支獣のミィが、前衛の前を警戒しながら歩く、進むにつれて湿地内は霞がかっており、視界は良くない。経験を積む目的の原生湿地でのモンスター討伐が今始まる。

お読みいただきありがとうございます。

引き続き次話をお読みいただければ幸いです。

よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。


冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。

本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。


【短編】姉妹のさがしもの

https://ncode.syosetu.com/n0703gs/

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