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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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70-守星調査隊出発式

 その日の朝は、大樹木蓮の広場に大勢の人だかりができていた。この国の象徴である皇女環率いる。新設の守星調査隊の出発式を見に来た人で賑わっていたのだ。広場には既に馬車が用意されており、その馬車は調査隊専用に新たに作られた。馬車は連結の2台が連なる仕様になっている。10名分の荷物と状況に応じて2チームに別れる為である。環と花の支獣であるロータスとユニが馬車に繋がれている。2体とも一角馬ユニコーンなのと環と花が後衛であることから都合が良かった。他の支獣達も式典では、戦闘体型の大型化して広場に並んでいる。今まであまり出てこなかったが、柊の支獣はカラスのような黒い鳥だ。市民からすると支獣は非常に珍しく、騎士でも選ばれた者しか作成を許されていないし、そもそも作成できないケースも多い。今、世界で作成できるのは環だけなので、絶対数が多くない。調査隊の面々が仮説の壇上へとあがる。環が代表して民衆の前で演説をする。いつも、聖女のような服を着た環が、今日は新調した魔装衣と軽武装した姿で壇上に立っている。そして、調査隊の面々も白檀、マノーリア、梔子、咲は騎士団の中でも、民衆にも名が通る強者だ。この守星調査隊が皇女の公務でなく、騎士団の強者を率いていることから、事情がわからなくても、危険な行動をするのは民衆にも伝わる。環が演説の締めに入る。


「ですので、この守星調査隊を新設致しました。先日の高位魔族によって、この街が初めて襲われました。現在世界で異変が起きています。そして…転移者で初めて眷属神の加護を得た方も現れました。今こそ各眷属神の覚醒と加護得ること!そして、女神アマテウス様の復活の為に動く時なのです!国民のみなさんが、このわたしの考えに賛同いただけると嬉しく思います!」


  環が演説が終わると民衆から拍手喝采が起こる。女神の復活と言うと、狂信的にも葵は感じたが、デイトが目覚め、鳳凰が白檀に憑依している事が事実である以上、この世界ではあり得る事で、それを世界が望んでいる事を理解する。環が民衆に向けて壇上から祝福を与え、金粉のような淡い光がロスビナスシティに降り注ぐ。


「みなさんに女神の加護がありますように!では、行って参ります。」


  皇女環は過去の皇女の中でも人気が高いと言う、その柔らかな言葉づかいと、一見幼くも見える顔立ちに反して大人びたスタイル。そして、歴史学、錬金術の博識の高さと国の象徴として、これ以上にない存在である。葵からすれば、環の計算高さもあるだろうと思う。皆が馬車へ乗り込む、支獣が引く馬車なので、全員が馬車内に乗り込んでも良いのだが、顔を見せながら街を出発した方が良いとの事で、御者席に斥候の3人の梔子、咲、花が座り、馬車1両目に環、デイト、白檀、柊、信治が乗り込み窓から手を降る。通常の馬車よりも全長が長く、側面の前後にドアが付き、御者席と後ろからも出入りができる特別仕様だ。2両目の行き来も電車のようにできる。葵とマノーリアは、自身の支獣エールとアリスに乗り、馬車を先導する騎士をする。葵は新たに新調した騎士服を身にまとい騎士っぽくエールに騎乗するが、マノーリアのアリスは、ペガサスなのでカッコいいが、果たして翼の生えた、巨大なアメリカンコッカースパニエルのエールに乗る自分は、民衆からどう見えるのかが気になりだした。エールは可愛いが別問題である。しかし、民衆の声に聞き耳を立てて安堵する。


「特務騎士様の支獣は勇ましいく美しい!」

「日本人で加護持ちだろう!あんな美しい支獣見たことない!」

「皇女様が言うとおり、守星には転移者の日本人の人が必要なんだ!」


 こちらの人達には、エールは勇ましく美しい支獣に見えるらしい、葵は少し嬉しくなり、民衆へ手を振る。


「神無月様行ってらっしゃい!」

「特務騎士様素敵!」

「葵様~お気をつけて~!」


 次は、民衆の中の妙齢の女性陣から声がかかる。この国に到着した時に、環が言っていたがあれは嘘ではないようだ。この3週間で葵の加護持ちはロスビナスシティへ広く公表された。そして、ロスビナス皇国の国民になったこと、特務騎士であることも公表されたのだ。案外悪くないとも思いながら、にやける顔を必死で自身最高の爽やかな笑顔を貼り付け手を振る。


「キャー、葵様と目があったわ!」

「葵様~素敵~!」


 葵が女性陣の黄色い声に人生最大のモテキ来たかと考えていると、隣から低い鋭い小声で釘を刺される。


「鼻の下伸ばさないの!」


 マノーリアから釘を刺される。上司として律すると言うよりも、どちらかというと嫉妬しているようにも葵には聞こえた。しかし、女性陣の次の会話で一変する。


「葵様は意中の人がいらっしゃるのかしら?」

「お隣のマノーリア様とふたりで歩く姿が何度か目撃されているわよ!」

「マノーリア様ならお似合いのおふたりね!」


 マノーリアが一気に頬を赤く染める。気持ちアリスの速度があがる、早くこの場から立ち去りたいようだ。ロスビナスシティの門を出て南東へ向かう、本来であればフォレストダンジョンに向かう最短は、南西に向かうのだが、経験値を積むことも課題となり、目的地が増えたためである。葵とマノーリアが馬車へ乗り込む、街道の間は、結界の亀裂のホールがなければ問題ないので梔子達も馬車の室内に入る。念の為、梔子と白檀と柊の支獣が上空から偵察する。環が全員揃い口を開く。


「では、最初の目的地はここに向かいます!」


 環が指さした地図の目的地はロスビナス国内の湿地だった。

お読みいただきありがとうございます。

引き続き次話をお読みいただければ幸いです。

よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。


冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。

本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。

【短編】姉妹のさがしもの

https://ncode.syosetu.com/n0703gs/

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