61-妄想族参上!
意識がもうろうとして、意識が遠退いて行く、自分の力を過信していたのか?さっさとリンクで、デイトを呼ぶべきだったのか?沈む意識が、暖かい温もりととも浮上する。マノーリアが葵を抱き抱えてヒールを何度かかけ、回復した事で意識が戻った。しかし、傷は深く完治はしておらず、背中は激痛と焼けるような熱を感じる。
「良かった!葵くん、ほ、本当に良かった…」
「あ、ありがとう、ま、マニー…」
葵が微かに目を開け周囲を見ると、騎士達が必死に葵とマノーリアを守ってくれている。葵がマノーリアへ囁く。
「お、俺は大丈夫…だ、だから、騎士の人達を…」
「うん、ありがとね…守ってくれて…」
マノーリアは葵に感謝を伝え涙をぬぐい立ち上がり、アンクルブーツを脱ぎ裸足になり槍をかまえ紫炎をまとう。
「絶対におまえを許さない!」
3犬頭の悪魔に魔法を連発しながら距離をつめる。飛び上がり、アリスにまたがる。
「アリス、エール!お願い力を貸して!」
エールが先行し陽動をかけ、マノーリアが剣技の連撃をくりだし、アリスが魔法を連発する。
「紫炎!乱舞!花吹雪!月光!五月雨!」
3犬頭の悪魔が腕でガードし剣技をかわすが、マノーリアがアリスから飛び降り、裏をとり剣技の連撃を更に浴びせる。
「紫炎!乱舞!月虹!月華!」
マノーリアは確実に攻撃を与える為に、普段使用しない剣技を放つ、3犬頭の悪魔にダメージを負わすが、紫炎をまとった槍は折れる。マノーリアは着地し折れた槍を捨てて、落ちている剣を2本拾い、本来得意とする薙刀の剣技を放つ、慣れない剣を使用しての剣技は、無謀でしかないが、マノーリアに迷いはなかった。
「紫炎!乱舞!鏡花水月!」
マノーリアの放った剣技は同時に、闇魔法のデコイを顕現させて、3犬頭の悪魔の足元を斬りつけて、深いダメージを与えたが、マノーリアの剣も折れる。3犬頭の悪魔が怒り露にマノーリアに襲いかかる。
「ちょこまかと!ダニが!」
マノーリアは距離をつめすぎており、3犬頭の悪魔の懐に入りすぎていた。爪の猛攻を武器も防具がない為にエスケープで回避するが、壁に追い詰められる。3犬頭の悪魔が薄ら笑いながら、マノーリアに吐き捨てる。
「フフフ…これで終わりだな!しーねー!」
「させるか!」
マノーリアの前に再び葵が両手に盾を持ち爪を防ぐ。
「無理しやがって!」
「あ、葵くん!ケガが…」
葵のケガはまだ完治はしていない、神官にヒールをかけてもらい、立てるようになった程度で、背中の傷からはまだ、血がにじんでいる。その葵が爪を防ぎながら、マニーに口を開く。
「バカ!ケガなんていい!マニーに何かあったら!デートの続きできないだろ!」
「あ、葵くん…は、はい…」
マノーリアが瞳に涙を浮かべ返事をする。
「何とか回避するぞ!」
「この状況で何ができる?貴様らは死あるのみだ!」
葵とマノーリアは魔法と盾のみでしのぐが、状況を一変させることができずに防戦となる。体力と魔力が尽きれば、この悪魔の攻撃を防ぐことは不可能で限界は近い。
「クソ!」
「ごめんね…葵くん…」
「マニー!諦めるな!」
「う、うん…」
葵に手傷を負わせ、感情に任せ攻撃した自分に、不甲斐なさを感じたマノーリアの心が折れかけている。その時、3犬頭の悪魔の頭へ後方から、新たな攻撃が放たれる。エールでもアリスでも騎士達でもない人物が加勢した。その攻撃した者が葵とマノーリアに声をかける。
「葵くん!如月さん!今だ下がれ!」
「信治!」
そこに現れたのは信治だった。先日、梔子が選んだ武具をまとい、手にはライフルのような武器を持っている、ライフルのようだが、その口径は大きくグレネードランチャーのような形状に近い。3犬頭の悪魔が信治を睨み付ける。その隙に葵とマノーリアをエールとアリスが救出する。
「次は貴様か?ダニども!わたしに攻撃して生きて帰れるとでも思っているのか?小僧」
「いくらでも相手になってやる!」
3犬頭の悪魔が信治に爪で襲いかかるが、信治の手前に長方形の黒色のシフォン生地のような長方形の布が2枚現れ、宙に浮き板状になり、爪の猛攻を防ぐ。葵とマノーリアが信治の近くに下ろされる。葵が信治に尋ねる。
「信治!ありがとう!けど、無理するな!」
信治が前を向いたまま葵に返答する。
「葵くん!この前の僕とは違うよ!ふたりを助ける為に来た!」
「けど、この前のヤツより強敵だ!」
「葵くん!今はふたりの方が無謀だよ!デート中だったんだろ!リア充と違って、僕は完全武装だ!くらえ!マジックグレネード!」
信治はグレネードランチャーをかまえ引き金を引く、すると弾が発射され、光魔法が顕現し悪魔を撹乱する。信治は次に土魔法を顕現させる。
「ファーストトレンチ!セカンドトレンチ!サードトレンチ!」
塹壕が3つ作られる。3人は塹壕にこもる。マノーリアが葵にヒールをかけるが、まだ完治はしない。信治が葵とマノーリアに提案する。
「ふたりに頼みがある。僕の武器はまだ試作品で弾を込める時間が必要になる。だから陽動と遊撃をお願いしたい、ふたりにこれをつけるから」
すると、信治の羽織ってるマントから、先程の長方形の布が現れ、葵とマノーリアに一枚ずつ宙に浮いてついてくる。信治が更に錬金術でふたりに武器を作成して渡す。
「ふたりの武器ほどのレベルはまだ僕には作れないけど、普通の武器ほどもろくないと思うから使って」
葵には、自身のブロードソードに近い形状の剣、マノーリアには薙刀が渡された。葵が信治に尋ねる。
「お前、昨日の今日で武器まで作れるようになったのか?」
「妄想族をなめるなよ!」
信治は親指を立てふたりに笑いかけ、葵に更に声をかける。
「葵くん!ケガしてるから無理はしなくていい!今日は僕が主役だ!」
「ありがたく、楽させてもらうよ!スゲー痛いし!」
「じゃ、反撃行くよ!」
信治が信じられないスピードで錬金術の技能を身につけ、救援に駆けつけた。3人となり再度、悪魔に挑むこととなった。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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