59-デート後編
マノーリアのアンクルブーツは、いつもの物よりもコツコツと小気味良く音をたてている。騎士の魔装依も葵からしてみれば、戦闘服には見えず女性らしい服装に見えるが、マノーリアは新しい服を着て楽しそうに休日を楽しんでいるようだ。跳ねるように歩くマノーリアが葵に尋ねる。
「葵くんまずはどこに行きたい?」
「そうだな~俺も騎士服以外の服と靴と後は部屋着かな?」
葵は、旅の間は保護の身だったので、支給された衣類とビナスゲートで購入した衣類を着ていたが、ロスビナスに到着し、正式にロスビナス国民として騎士となり、しかも特務騎士の役職もついた。これは、加護を得ていることと、守星調査隊に選抜されたことによる。その為、葵は支度金と騎士としての給与を受け取った。ロスビナスの一般成人の平均月給が日本円で15万円程度になる。家族4人が充分暮らせる収入である。一般騎士が平均を超える金額をもらっており、葵は更に上回る給与を手にした。葵は施設で暮らしている為に、生活費は飲食代程度しか、かかっていないので、懐がかなり暖かい。
「そうね。男の子だっておしゃれしたいよね!まずお洋服をみましょう!」
マノーリアの案内で連れてこられた区画は、服飾や装飾品を扱う店が立ち並びでなんとなく、今まで歩いてきた区画とは違う雰囲気をしている。葵はこちらのトレンドを知らないので、マノーリアに提案する。
「マニー頼みがあるんだけど…」
「あらたまって、どうしたの?」
「こっちの世界オシャレとか流行りとか良くわからないから、マニーが選んでもらって良い?多少、色とかは選んでもらった物と別の物を選ぶかもしれないけど…基本はマニーが選んでよ!」
「わたしが選んで良いの?」
「まぁ~あまりに、あっちの世界の感性から駆け離れたら、ノーを言うかもだけどね。」
「けっこう、プレッシャーかも?」
「そこは、心配してないよ、今日のワンピもマニーの魔装依も俺はかわいいと思っているから!」
葵は、こちらのトレンドはわからないが、マノーリアの今日ワンピースやオーダーメイドの魔装依のセンスから見ると、とんでもない服を選ぶとは思わないので安心している。
「そう言ってくれると、少し自信が湧いてきたわ!じゃわたしが葵くんが素敵になるお洋服探してみる!」
マノーリアは、いつもより少し高めのテンションで了承する。好意ある男性を自分色に染めるのだから、楽しいのだろう。何店舗か周り、シャツ3枚、パンツ2着、ジャケットとブルゾンを購入した。その中からせっかくだからと、試着室で着替えてマノーリアコーディネートをフル装備して、デートをすることにした。その後靴屋に行くことにした。
「葵くん靴はどうする?」
「最低2足は欲しいかな?」
葵はスニーカーみたいな靴を1足欲しいと思いつつ、何て言えば良いのかわからないので、考えるてると梔子がそれっぽいのを履いていたのに気がつく。
「マニーさ、クーがいつも履いてる、布の靴何て言うの?」
「クーが履いているのはタビね。葵くんもタビ欲しいの?」
「軽くて、楽そうだし、あっちの世界だとスニーカーばかり履いていたから、案外近いような気がして…」
あっちの世界ではタビは足袋だが、こちらの世界のタビはスニーカーになるようだ。そういえばそんなドラマなかったっけと思う。これでブランドとか商品名で陸の王様があったら、ちょっと買ってみたい気がすると葵は思った。靴屋に行き葵は、ブーツとタビを2足購入する。こちらの靴は基本がブーツやハイカット多く、後は、女性物かサンダルのようなものが多い。この区画には荷物を自宅に宅配するサービスがあり、葵は荷物を預けて手ぶらで、マノーリアとのデートを続ける事にした。
「マニー、ありがとう!お昼過ぎてるし、そろそろお昼にする?」
「そうね♪葵くん食べたいものある?」
「俺は何でもいいけど、逆に、この前の花木蓮焼きみたいにロスビナスの美味しい物が食べたいな」
「それじゃ、うーん…昨日お肉多かったから、お魚なんてどう?」
「確かに昨日は我ながら肉料理ばかり作ったからな…美味しい魚食べに行こう!」
マノーリアに案内されて、コジャレたレストランに入る。
「ここのお魚のサンドイッチとスープがものすごく美味しいの!」
マノーリアのオススメするサンドイッチは、サバのような魚をハーブ焼きにし、バケットに挟んだサンドイッチとアクアパッツァのようなスープが出てきた。他にサラダとリゾットとデザートを頼んだ。デザートは、女神桜色の鮮やかなピンクのジェラードと、大樹木蓮を模したムースを頼んだ。お茶はカヒ茶があったので葵は迷わず選ぶ。食事を済ませた葵とマノーリアは街を散策し、街が一望できる女神桜の堤に上がり休憩する。
「もう、女神桜も見納めね。」
「本当に綺麗な花だね。」
葵は予想以上に人気がないことに気がつく、まだ女神桜は、散り始めているが綺麗に咲いている。マノーリアの話によると、葵達が帰国した日の前後がピークで花と香りが立つ時期を過ぎるとあまり人もまばらになり、香りがないこの時期は、遠くから花見をする人が多いそうだ。葵はチャンスと思いマノーリアを見つめる。マノーリアも葵がどうしたいか、察したようで目を閉じる。葵がマノーリアの唇に触れようとした瞬間、一番近い街の門の方から爆音が聞こえる。
「えっ?」
「何があったの?」
「マニー、門に向かお!」
「そうね。急ぎましょう!」
デートお約束のクライマックスは謎の爆発でお預けとなってしまったのであった。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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