57-休日
食事の準備は、料理上手の女性陣が手際良く進め、日本の料理を模した料理が、次々とテーブルに並べられて行く。菅原にいたっては12年ぶりに見る日本の料理に感激している。咲と花がメニューの名前を片言に言いながら配膳している。
「これが、ハンバーグでこっちが唐揚げでしょ、で、こっちが、ぶり大根?で、花それはなんだっけ?」
「こっちが、お芋の煮物?で、サラダがポテトサラダとコールスローで、この揚げたお肉が、と、とんかつ?」
葵が配膳されたテーブルを見て
「肉が多いな…和食ではないな!」
「日本料理でなく日本の料理だからね…」
「柊さん、まだ魚何匹かいましたよね?」
「ええ、お魚とカニがあります。何か作りますか?」
「生でいけますか?」
「生ですか?生食をしたことないので…」
萌が葵に声をかける。
「さすがにお刺身は難しいかもよ?」
「だな…野菜も余ってるし、汁物作ってないから、あら汁だな~カニも入れば旨いだろう。」
「葵くん、なんであら汁なんて、そんな料理がぱっと思いつくの?」
「レベルはわからないけど、フツーに食べれるレベルなら作れるぞ!冬にバイクでツーリング行って、漁港の市場で売ってると、ついつい飲んじゃうよね~あら汁♪」
「寒いなら、ツーリング行くなよ!」
「さすがに真冬は行かないけどね。」
ふたりの会話にマノーリアと梔子が質問する。
「葵くんバイクって何?」
「あ、車輪が2つついた機械で動く乗り物って言えば良いかな?バイクは2人までしか乗れない、イメージはアリスに乗ってる感じかな?飛べないけどね。」
「葵くんみたいに好きな人じゃないと乗らないよね!ほとんどの人がクルマか電車でしょ」
「クルマ?電車?」
「クルマは車輪が4つついた馬車で電車は鉄の線路の上を人の乗れる箱をいくつも繋い電気で走るんだよ」
「電車はトロッコに似ているわね。こちらのは魔法具で動かすけど…」
「ほぼ、一緒かな?」
全て作り終わり、白檀の腹時計は電波時計並みの精度なのか、ちょうど良いタイミングで訪れた。柊が環と信治を呼びに行き、環と信治が何か言い合いをしながらこちらに来る。
「調合と合成をイメージでやるなら、素材から一気にイメージして、そこに条件を足していけば、早くできるじゃないですか?」
「それでは、完成後に漏れや不備が起こるのです。」
「漏れを起こすのは、完成イメージが足りないからですよね?一気にイメージすれば、魔力量も素材量も減らせるから、コスパが良いんですよ!」
「コスパ?何ですか?ひとつひとつ段階を積む必要があるのです。」
「それは、非効率ですよ。足し算ですむなら一気に掛け算して、作れば効率的ですよね?」
「非効率?効率ばかり気にしていたら、良いものは作れません!」
柊がひとまず。ふたりを制止する。
「環様、信治さん。せっかくのお料理が冷めてしまいます。」
葵もふたりに口を挟む。
「環さん、また信治が生意気な事、言ってるんですか?」
「いえ、信治さんは錬金術師としての素質は高いです。この数時間で基本素材の調合と合成をマスターしたので、菅原さんちょっと見ていただけますか?」
「こ、これを信治が覚えたてで?充分素材で使える!しかも、基本素材って言っても、この品質は素人のレベルじゃないぞ!」
「僕はイメージ力は高いですから!」
葵が信治の誇らしげな姿を見て、微妙な顔をし信治に尋ねる。
「イメージ力というか、妄想力に近いんじゃないか?妄想族っぼいもんな信治は、チート武器作るって言ってもあまり、破天荒な物造るなよ!」
「葵くん!僕は本気だからね!チート武器を造る為なら、禁忌だろうと倫理や自然の理だって破る覚悟だ!」
葵はノリで言ったが、信治はかなりの本気のようだ。これで本当に、とんでもない物を作り出せるなら、その方が良いのだか、少々めんどくさい。
「とりあえず、飯食え!お前のリクエストのハンバーグと唐揚げも作ったんだ!環さんもひとまず食べてください!」
熱くなっていた環も柊やマノーリアに諭され席に着く。白檀と菅原は既に酒を注ぎあっている。
「団長!フライングっすよ!」
「いいじゃね~か!哲さんとたまにしか飲めないんだぞ」
「じゃあ~みんな好きに食って飲んで楽しんで下さい!」
今回の食事会も大絶賛だった。特に日本人の面々からも旨いと評価を受けた。環と信治は、またもやふたりで談話室に行って、錬金術の議論を交わしている。案外、環と信治は、似ている部分があるのかもしれないと、葵は思った。白檀と菅原は飲みすぎて横になっている。残った面々でのんびりと談笑していると、マノーリアがみんなに尋ねる。
「みんな明日はどうするの?デイト様はご予定ありますか?」
「わたしは、環さんの研究の助力を頼まれていますが、あの様子だとどうなるか…時間があけばデータのメンテナンス行います。」
「あたしは咲と花の家におよばれしてるのよ、ふたりのママが是非って」
「斥候隊に入隊できたのも凄いんですけど、花がこんな早く見習い終わって、しかもふたり揃って調査隊に選抜されましたからね。母がクーさんに感謝したいって」
「柊さんは明日は?」
「わたしは、こちらでのんびりしようかと信治さんもこの様子だと、生活が乱れるかもしれませんので…」
柊の発言に葵が返す。
「柊さん休みなんだから自宅帰っても良いんじゃないですか?」
「実はわたしは、神殿で育ったので…養母である前任の神殿長も亡くなり、家族と言える人もおりませんので…」
「あ、すいません。知らなかったとは言え…」
「葵さん、お気遣いなく、気にしていませんので」
若干気まずくなった空気を萌がフォローする。
「柊さん、それなら明日は、わたしに料理3食とも教えてもらって良いですか?」
「ええ、喜んで!」
梔子がマノーリアに尋ねる。
「マニーは明日は?」
「お母様はお仕事だし…どうしようかしら?葵くんは?」
「俺は、全く予定なんてないからな、マニー予定ないなら、街を案内してくれない?まだ行っていない区画もあるし」
「葵くんが予定ないなら」
梔子がニヤニヤとマノーリアを茶化す。
「ふたりとも~明日はデートですね~♪」
「クーそんなんじゃなくて、葵くんに街を案内するだけよ!」
「マニーむきになるから、茶化されるんだよ!デートでも俺は良いと思うよ」
デイトが葵に尋ねる。
「民の男女がふたりで出かける事が、デートかそうでないと何か変わるのですか?興味があります。」
「気持ちの問題ってだけじゃないですかね?」
「感情に起因すると…興味深いですね…デートを回数を重ねるとどうなりますか?」
「まぁ~、交際に発展するかしないかお互い判断するんじゃないかな?」
「交際ということは、葵さんとマノーリアさんがプラグインする確率が高くなるということですね。」
「確率で言うとそうですけど…デイト様あまりストレートに言うのは、マニーが耐えられないと思いますよ?」
隣で聞いているマノーリアは顔を真っ赤にしてフリーズしている。
「失礼しましたマノーリアさん。この状況が苦痛であれば、眷属神としてサポート可能ですが、先日梔子さんにも聞いたのですが、サポート不要との返事でしたが…」
葵がデイトの暴走を制止する
「このもどかしいのも含めて恋愛なので、デイト様これ以上は大丈夫ですよ。」
葵はおそらくビナスゲートで梔子にデイトが耳打ちして梔子が真っ赤になって口止めしていた時の事だと思う。案の定、平然としていた梔子も真っ赤になってデイトに抗議する。
「デイト様言わないでって言ったのに!」
こうして休日初日が終わって言った。
お読みいただきありがとうございます。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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