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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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576-邪神の闇

 アマテウスが顕現した結界は、アマテウスと共に消滅し、それまで結界に阻まれ結界前に群がって魔族が濁流のように東門へと雪崩れ込んできた。結界顕現前の魔族進攻で、東門の防衛技能は既に瓦解寸前である。守星調査隊と後退した精鋭部隊が加勢した事で、なんとか維持している状況だ。


「魔族の後続が雪崩れ込んできます! 」

「も、もう無理だよ…… 耐えきれない…… 」

「泣き言を言うな! この要塞が落ちらた後がない! 死にたくなければ動け! 自分にやれる事でいいから動け! 」


 後続の魔族進攻の報告に泣き言を言う兵を叱咤する上官の表情も硬い。一般の兵はほとんど後方支援に後退し、負傷兵や物資搬送をしている。東門の石橋上では、群がる魔族を守星調査隊を中心に斬り倒していく。そこに堀の水面から声がかかる。


「白檀殿! 魔族を堀に落とすだけでもいい後はこちらで対応する。陸の方がキツイでしょうから体力を温存してください」

「助かる! みんな聞いたか? 堀に落としてカトラス隊にも手伝ってもらえ! 」


 白檀に声をかけたのはアクアノイドを指揮する。カトラスだった。堀の中にはオーシャンガーディアンのアクアノイドや人魚の騎士達がおり、得意とする水中に魔族を引きずり込み倒している。


「一度一掃しましょう。アマテウス様の意思を無駄にするつもりはありませんよ。デイト一度門前まで皆さんを後退させてください」


 デイトに声をかけたのは、海創成神眷属神サヨリであった。デイトが全面の魔族を岩壁で押し退け皆を後退させるとサヨリが堀の水で大津波を発生させて、魔族の群れを堀へと引きずり込んだ。


「サヨリ助かった。邪神がもう来る警戒を…… 」

「ええ、把握してます。いよいよですね。我々だけで倒すしかありませんね」

「アマテウス様とウルイド様の攻撃で邪神も万全ではない。必ず倒す」


 アマテウスが捨て身の攻撃の負傷も気にせず邪神は星形要塞へとたどり着く、そこにはアマテウスの眷属である4人の女神の結界が阻むが、邪神は力業でこじ開けて見せた。1枚また1枚とアメ細工でも割るかのごとく容易く、そしてとうとう邪神の魔の手が直接星形要塞の騎士や兵士たちへと振り下ろされた。


「させない! 」


 邪神に投げ飛ばされ堀に落ちていた。咲、花、アイ、ナズナの4人が化けたヴァリアブル・モンスターが水中に潜伏し、邪神へと低い姿勢でタックルを浴びせるが、邪神は微動だにしない。


「図体だけの見かけ倒しが! どけっ! 」


 邪神は両拳を頭上で組んで、ヴァリアブル・モンスターの背中へ振り下ろし、そのまま水中へと沈み、邪神は続けざまに足で踏みつける。


「羽虫が見た目だけでかくなろうが、かさ増ししただけのこと…… だが、人間どもにはこのカラダも脅威となるか? 」


 邪神は水中に手を突っ込んで、ヴァリアブル・モンスターの首を掴んで引き上た。そしてその体制のままヴァリアブル・モンスターを星形要塞内へと投げ込んだ。要塞内の施設がヴァリアブル・モンスターによって潰される。


「遊びのつもりか! 」

「どうにかして止めてみせる! 」


 白檀とデイトが邪神へと斬りかかり、カーラス、梔子も上空から続き、ベルーフとチョウノスケと前衛が一糸乱れぬ攻撃で邪神の進攻を食い止める。


「瑞希さんわたしたちも」

「うん いいよマニー」


 マノーリアと瑞希も息を合わせて斬りかかる。前衛の後に麻衣、ジンジャー、信治が更に攻撃を浴びせる。


「わたしも前に出ます! 」

「えっ? 」


 最後衛から声が聞こえジンジャーと麻衣が声の方を振り向くと環の金剛杵が槍へと形を変えていた。


「アマテウス様力を無駄にはしません」


 環が麻衣たちを追い越して邪神へと斬りかかる。環がマノーリアへと声をかける。


「マニーちゃん感じるでしょう? アマテウス様の思いがわたしたちの中に存在することを…… 」


 環は手を胸に当ててマノーリアへと感じろと伝え更に続ける。


「わたし以上にマルチパープルのあなたの方がアマテウス様との親和性は高いはずです。行きましょうこの戦いを終わらせましょう」


 マノーリアの瞳に力が宿る。


「ふたりだけにカッコいいところ持って行かせないからね。この為にわたし来たんだから! 」


 瑞希がふたりと共に並ぶ、環の光輝く金剛の槍とマノーリアと瑞希の淡く赤紫に輝く薙刀をかまえて更に攻撃をしかける。


「あきらめが悪いなゴミども、そろそろあきらめを知るがよい」


 邪神がそう言うと邪神のカラダを構成していた黒い霧が星形要塞へと立ち込めはじめる。白檀が声を張り上げる。


「警戒を! 環精神結界を! 防御結界をできるヤツは全員だ! 」


 気づけば要塞内は夜の闇のように視界を奪われた。


「貴様らの結界がどこまで効果があるのか見ものだな 」


 邪神の不適な笑いと共に嘲笑う声が聞こえ、ややあってから、周囲から悲鳴や絶叫が聞こえはじめる。


「精神汚染か? 」


 白檀が見えない視界に神経を研ぎ澄ませる。


「卑怯だとか言うなよ人間」


 皆周囲を注意を払い警戒を強めるが、闇に紛れて次々と襲われる。


「マニー平気? 」

「ええ」

「わたしの結界がまだ破られていないですが注意してください」


 瑞希、マノーリア、環は互いに背を任せかまえるが、その表情も読み取れないほどに視界が悪い。


「どこから来る? 」


 マノーリアは薙刀を握る手に力が入るが、ふと気がつくと、瑞希と環の気配がない。


「瑞希さん? 環さん? 」


 声をかけるが返事がない。次の瞬間マノーリアの意識が一瞬にして刈り取られた。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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