573-巨大な邪神の足を止めよ
大蛇のように宙を漂っていた黒い霧は、勢いよく邪神に引っ張られるかのように集約して邪神に集まり、邪神の身体に覆っていく、邪神の身体は黒い霧に覆われ見えなくなっていく、そしてその霧が人の形を形成しながら膨張していく。
「何をするつもりだ? 」
「でかくなるつもりか? 」
誰かがうめくように声を漏らす。邪神を覆った黒い霧から、腕が伸び、足が伸びる。そしてその身体はどんどんと膨張し巨大化していき、星形要塞の城壁を越える背丈となり、東門めがけて走り出した。
「ただでさえ厄介者がでかくなりやがって! 東門に近づかせるな! 」
白檀が舌打ちをしながら口を開き、巨大化邪神へと大太刀をかまえ、皆へと指示を出す。そこにアマテウスが白檀へと声をかける。
「わたしが斬り込む。文月白檀とデイトは、後に続いてくれ、他の者たちには陽動を頼みたい」
「わかりましたよアマテウス様。ただでさえ強敵だから可能性高い方法を取りましょうや! 」
白檀は返答しながら左手の腕は炎が強まり、大太刀にまで炎が絡みつく。デイトも大剣をかまえてアマテウスへとコクりと頷いて3人が走り出すと、それに続くように皆が左右に展開し、環とエーテルたち後衛もそれに続く。
「やはり、邪神を成敗するのは、このチョウノスケですな! 」
「チョウノスケ! 合わせなさいよ!」
上空から攻撃をしかける梔子を凄い勢いでチョウノスケが追い抜いていく。
「ああ見えて周りが以前より見えてるから大丈夫です」
「カーラス様あっちは大丈夫ですか? 」
「クラウドナイト指揮で問題ないと判断しました」
梔子の隣にカーラスも現れ、邪神に対する戦力が増えるが、余裕を感じられる相手ではない。さらに皆へと念話が入る。
「後方からWBHの主砲を撃つからカウント入ったら退避してよね! 」
「萌頼んだ! 当たらなくても至近弾でも隙を作ってくれ! 」
後方のWBHの萌からの通信だ。それに白檀が返答する。
「了解! 30秒後に発射するからね! 」
巨大化した邪神がどんどんと近づいてくる。萌のカウントが進み、邪神との直接対決の2章が開幕する。
「発射! 」
星形要塞上空のWBHの主砲が邪神へと一直線に放たれた。邪神は足をとめて防御体制とり、WBHの主砲を耐えしのぐ、さすがの邪神もこれだけの質量の魔弾を無防備に受けることはできないようだ。
「一斉に攻撃をしかけろ! 」
白檀の声に皆が一斉に剣技を輝かせ巨大化した邪神へと迫るが、その刹那、防御体制をほどいた邪神の黒い霧の巨大な顔の表情に不適な笑みを浮かべ口が開かれた。
「だろうよ♪ 」
そう言って邪神の巨大な手のひらがまるで、羽虫を払うかのように素早く払った。
「うぁ! 」
「キャ! 」
「ちっ! 」
陽動の皆がその一振に吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
「あんな一直線の魔弾をわざわざ避けなかったのを理解しろゴミども」
邪神の声は明らかに蔑みと小馬鹿にするものだったが、その顔の正面にアマテウスが槍を持って現れる。
「まだだ! 」
「喰らいやがれ! 」
そのアマテウスに続くように白檀とデイトが現れ、3人が邪神の顔へと斬りかかるが、邪神は巨大な顔を首を傾げるだけで交わして見せた。
「なっ?! 」
「クソッ! 」
皆がなんとも言えない苦い顔をする。アマテウスも白檀もデイトも、今までにないほどの渾身の一撃だったが、邪神はつまらなそうに嘆息をひとつ吐いて口を開く。
「最高神女神アマテウス…… 弱い…… そろそろ飽きたな」
「羽虫をなめるな 」
チョウノスケが邪神の直上からハンマーを振り下ろし、刹那、カーラスと梔子が連携して斬り込む。
「エーテル今だ! 」
カーラスが斬り込みながら後方のエーテルへと声をかける。
「みんな少しの時間だけでも、邪神を拘束するからね。プラントネット」
エーテルが植物を一気に成長させて巨大な邪神を拘束する。
「エーテル様わたしも援護を」
環もそこへ光の帯で拘束する。
「足を止めれば良いのよね。わたしの歌を聴きなさい! 」
麻衣も歌を歌いはじめ邪神の周囲に結界で包み込む。邪神はされるがままだが、その表情は余裕だ。アイが咲と花に声をかける。
「あれだけじゃ足りなそうねぇ~ 咲ちゃん、花ちゃんヴァリアブル使ってちょうだい! 力を貸すわぁ ナズナちゃんいくわぁよ」
「アイさん、ナズナお願いします! 」
「4人の力で邪神を抑え込みましょう」
「4人ではじめてだけど絶対成功させる! 」
4人が横並びになると、咲と花が父親の形見のダガーを合わせる。さらにアイとナズナが環に急遽作成を依頼したダガーににた魔法具をかまえ4人が声を揃えた。
「ヴァリアブル! 」
赤と青の高圧スチームが4人を瞬時に隠して周囲に広がった。
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