55-テンプレ異世界は僕にチートなスキルとかくれないので錬金術師になってチートの武器・道具を作る事にします。
葵は朝起きるとキッチンには既に柊が朝食の準備をしている。葵は柊に声をかける。
「おはようございます。柊さん。休みの日くらい朝食は自分達でテキトーにするから良いのに…」
「おはようございます。葵さん。職務と言うよりは習慣なので、作ることは苦でないのですよ、自分の分作るのも皆さんの分作るのも大して変わりませんから。それに今日はお手伝いいただいているので」
柊がそういうと萌がひょっこりと顔を出す。
「おはよう、萌」
「お、おはよう!葵くん」
「柊さんから料理教わってるのか?」
「ま、まぁね、お昼にみなさん来るんでしょ?わたしも仲間にいれてくれるって言うからさ~少しはお料理できるようにしてた方が良いかと思って…」
「今日の今日で何ができるのかね~?」
「うるさいな~!」
「旅に出る前に萌さんには、しっかりと自炊ができるように教えるので焦らなく良いですよ!」
「ありがとう!柊さん!どこかの性格悪い男とは大違い!」
葵と萌のやり取りを微笑ましくみていた柊が、葵に声をかける。
「葵さん、信治さんの件ありがとうございます賛同していただいて」
「そんな大袈裟な、俺は単純に信治が好きなことすれば良いと思っただけなので、団長の方が良いこと言ってましたよ!」
「白檀様にも感謝ですが葵さんにもです。信治さんがこれで前を向いて生活してくれれば良いんですけど…」
萌がつまみ食いをしながら柊の発言に感想を口にする。
「柊さん、なんか信治のお母さんみたい」
「萌!せめてお姉さんだろう!」
「いや!お母さんだね!姉はそこまでしない!」
「どうでも良いけど、断言するな…」
「わたしも弟いたけどそこまで親身にはならなかったから」
「朝飯くらい作ってやってもよかっかもな!萌の花嫁修業の為に」
「葵くん昭和の人?」
「別に男とか女で言ってるんじゃない!俺は主夫できるぜ!」
「葵くん性格に難ありな上に変態らしいから、マニーちゃん以外は貰い手いないわよ!」
柊がふたりがうるさいと思ったのか会話に口を挟む。
「おふたりともお口は勤勉ですが、手の方がお休みしていますよ!葵さん信治さんを起こしてきていただけますか?」
「あ、はい、じゃあ、起こしてきます」
葵は3階まで上がり信治の部屋の前へ行きドアをノックする。
「信治~起きろ!朝飯だぞ!入るぞ!」
「起きてるよ~」
中から信治の返答の声が聞こえたが、葵はドアを開ける。信治が着替え終わり、ブーツのヒモを結んでいる。
「なんだ、もう下に来れるよな?」
「うん、ブーツを履けば」
「じゃ、下で待っているから早く来いよ!」
「あ、葵くん…」
「どうした?」
「あの、こ、この前の街道の時は、ご、ごめん!」
「まぁ、みんな無事だったし、次はなしだぞ!」
「うん」
「今日みんな来るんだし、改めてみんなの前でちゃんと謝れよ!後、柊さんにもちゃんと謝れよ!仕事とはいえ、信治の世話役していてお前を制止できなかったんだから、罰与えられたっておかしくないだろう?誰より、柊さんに迷惑かけているのは信治も1番嫌なはずだよな」
「うん…」
「まあ、安心しな!環さんは柊さんを処罰するつもりはないから!それより朝飯にしよ」
「うん」
ふたりで階段を下りて1階に向かう。柊と萌の用意してくれた朝食を食べながら今日の予定を萌が葵に尋ねる。
「みなさんは今日は何時くらいに来るの?」
「10時くらいですよね?柊さん」
「はい、みなさん一緒に作るのも楽しみにしているので、葵さんは今日のメニュー決まってるんですか?」
「いや、今日は環さんに任せようかと思って、みんなの口に合うものを今日は作れれば…そうだ、萌と信治は久々に食べたい日本の料理あるか?」
「えー迷うな?わたしはえ~と煮物とか食べたいかも!」
「山田さん地味だね…」
「そういう信治は何が食べたいのよ!」
「ハンバーグ、唐揚げ!」
「ガキっ!」
「みんな来たらメニューは決めよ」
朝食を食べ終わると信治が葵に声をかけてくる。
「葵くんちょっと良いかな?」
「どうした?」
「柊さんにちゃんと謝りたいんだけどどうしたら良いと思う」
「さっき、俺に言ったのと一緒で良いと思うけど?」
「そ、そうかな?」
「フツーで良いの!フツーで!まぁ、それは良いとして!ちょっとだけ、前が向けるようになったな!錬金術師の技能を早く得るのが、柊さんへの償いにもなると思うぞ!柊さんは、魔法もそうだけど、稽古も錬金術の事も損得勘定無しに信治の為にしてくれたわけだからな!」
「う、うん。本当にいい人だよね。柊さん。」
信治が少し顔を赤くしている。既に柊へ恋心をいただいているのは確定の様子。葵が尋ねる。
「案外、悪くない世界だろ?」
「まあ、テンプレで良くある異世界だけどね。チートなスキルとか、そういうのがないのは、今でも不満だよ!けど、僕かやり直すには良い場所なのかもしれない…」
「少しは素直になって来たのかな?良くある異世界って、リアルで転移する異世界はそうそうないぞ!」
「確かに…」
葵がひとつ錬金術師の職業で、できるかわからないが思いついたことを信治に尋ねる。
「なぁ、信治!この世界の錬金術師って今無いものを材料とかイメージ力とかで作れるんだよな?確か咲と花の親父さんダガーの材料も環さんが作ったって言ってたからな」
「僕も、環さんからそう聞いているけど、人造人間とかを作らなければ、大丈夫みたいな話だった気がする。それがどうしたの?」
「俺良いこと思いついた!」
葵は悪巧みを考えたように笑い、信治に自分のアイデアを話す。
「お前の好きなチートな武器か道具を錬金術で造るんだよ!それを目標にすれば頑張れそうじゃん!」
「チート武器か…葵くん俺作ってみたい!」
「俺はテンプレでもフツーでもこの異世界は悪くないって思ってるけど、信治が造りたいなら作ってしまえ!チート武器!」
「オオー!燃えてきた!葵くんが張るよ!」
葵の本心は、そういう武器とか道具ができたらすごいよね。くらいでしか思っていない。しかし、咲と花のダガーを目にしているので、そこそこの物が造れるのかも?とも思うが、造れるかは知らない。あくまでもノリで言ってみただけだ。しかし、信治がこの葵のノリで言った言葉によって、あらゆる武器・道具を作り出し、葵達の危機を助けることに将来なるのであった。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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