54-好きこそ物の上手なれ
翌日、二度目の会議となるが、今回は正式に守星調査隊設立後の公式会議となる。守星調査隊の部屋はマノーリアが隊長を務めていた。近衛騎士隊の部屋があてがわれたが、その理由は単純で実際は白檀が指揮をとるが、環が便宜的に隊長の職位に着くことと環が国外に出る為、近衛騎士隊が解散になった為に部屋が不要になったからだ。その上3週間後にはこの街を離れてしまうこの隊には部屋が不要である為、環と白檀の意向もあり、準備に手間のかからない部屋が用意された。全員が揃い環が口を開く。
「では、今回の調査隊の主な目的となりますが、先日も話したと思いますが、まず、眷属神と会い加護もしくは助力をいただくこと、加護は適正者が別にいるかも知れませんので、適正者が他にいる事が明確になれば適正者の発見と適正者の試練の援助もこの隊の任務と致します。ですので、必要な場合は状況や任務に応じて数チームに分けることも検討しましょう。後、どうしても、わたしや白檀さんが都に戻らざるおえない事情が発生した場合は、隊長代理をマニーちゃん副隊長代理をクーちゃんにお願いしますね。まぁ本来はわたしよりもお二人の方が適任なんですけどね。」
「皇女様のタマちゃんが国外に出るには仕方ないよね~前例がないんだもん」
梔子が言うとおり過去の皇女が任期の間で皇女の公務以外で国外に出ることはなかった。今回は例外に例外が続くことで、元老院も認めざるおえなかった。何しろ転移者である葵がロスビナスに来るまでに加護を授かり、その加護授けたデイトが少女の姿でこの国に現れたのだ。更にマノーリアのマルチパープルを解明し、デイトの助力まで得ている。白檀が大笑いしながら思い出し笑いをする。
「環が元老院議長に報告しに行った時の議長の顔はサイコーだったぜ!」
「白檀お兄様!ご本人がいなくても議長に失礼ですよ!」
「わりぃわりぃ!別に議長をバカにしているとかじゃないんだ…ククク…」
「まったく…ビャク兄は…まぁでも、あの強面の議長のそんな顔は見たいかもぉ?…ふふふ…」
「クーまで…兄妹共々…」
マノーリアがこめかみを指で押さえ呆れている。柊が環へ声をかける。
「環様よろしいでしょうか?」
「どうされましたか?」
「昨日、白檀様から信治さんに何か技能を身につけてみるのはどうかとご助言いただきまして、信治さんが得意なことを活かせる物がないかと思いまして、信治さんとお話しをさせていただきました。」
「確かに剣技を身につけるにしても時間がかかりますしね。」
「はい、護身術と基礎体力向上を目的して道中も信治さんには稽古をつけることはしますが、信治さん自身がカラダを動かす事が苦手なようなので、自信を持つ前に心が折れる傾向におります。」
「信治さんはどうなんですか?」
「昔から、運動全般が苦手で…正直嫌いですね。」
「環様、信治さんに錬金術の手解きをしていただけませんか?」
「錬金術ですか?」
「はい、信治さんは読書は好きなようで施設の書物は既に全て読み終わっています。特に歴史書、魔法書、魔法工学書や武器書がお好きなようです。ですので、錬金術書も興味があるのではないかと昨日信治さんと話したら、かなり興味を持たれたので、環様が教えていただければ道中の間でも学ぶことができますし、信治さんが最低限の魔法も使用できますので、錬金術師を目指すことも可能かと思いまして、記憶力も信治さんは高い方かと思います。」
葵が柊の話を聞いて信治に尋ねる。
「なんだ、信治はアニメとかゲーム以外にも興味をもてるんじゃん?」
信治が葵の問いに返答する。
「いや、その延長線って言い方が正解かな…この世界の歴史はファンタジー物を読んでる感じだし、他は設定書とかゲームの攻略本的な感じかな…」
「なるほど…そもそもこの世界の成り立ち自体が信治にすれば、アニメとかゲームの異世界な訳だから、のめり込めるわけだな」
「信治さん錬金術師に興味をがおありですか?」
「環さん!教えて下さい!めちゃくちゃ興味があります!」
「本人が興味があるならちょうど良いかもな」
白檀が賛同し葵も同意の意思を口にする。
「環さん!他の職を俺は知らないですけど、問題なければ柊さんの提案は悪くないと思います。信治もその気ですし、俺達の世界では比喩表現くらいか創作物でしかない職なので信治がなってみたいとも思えるんだと思います。」
環がテーブルを囲む面々の顔見て全員の反対意見がないのを確認して口を開く。
「相違はないようですね。わかりました。信治さんが錬金術師になれるように、指導しましょう。信治さん約束として出発日までは午前が錬金術の勉強をし午後が訓練としてください。指導は柊さんだけでなく、他の方も予定が合う日は一緒に稽古をお願いいたします。」
「ありがとうございます!」
葵が環に尋ねる。
「環さん、錬金術師って戦闘時はどんな事ができるんですか?あまり戦いに参加するイメージがわかないんですが…」
「そうですね。錬金術師って言っても個人差がかなりあります。攻撃を可能とする武器を作る方もいれば魔法の効果を増幅する物や防御特化の方もいますね。錬金術師にとって1番大切なのは、イメージ力と材料の知識の豊富さ、そしてそれを魔力と調合・合成できるかなのです。」
「なるほど…面白そうですね。信治さぁ信治が覚えたら俺にも教えてくれ」
「わたしが信治さんと葵さんお教えするでもかまいませんけど?」
「いや、俺が覚えるのが目的でなく、誰かに話すとかそういった機会が多い方が、信治も覚えるのが早いと思ったので、本当に学びたければその時は環さんお願いしますね!」
「そういうことなら」
その他改めて旅で想定される課題を話し合い会議は終わりとなった。環から最後に提案がされた。
「長旅から帰って来た人ばかりなので明日明後日はお休みとします。それで皆さんが良ければ明日は懇親会を兼ねて食事をしませんか?」
咲が環に手を上げアピールする。
「葵さんと前約束した。日本の料理食べたいです!」
梔子がニヤリと笑う。
「あたし達もう食べたんだよね~!あ~カレー美味しかったなぁ~」
「ズルッ!わたし達も食べたいです!」
「じゃあ!明日はまた日本の料理を皆で作って食べましょう」
「都合が合えば、萌さんや菅原さんも来てもらえるように施設の方でやりましょう」
葵はまた環の柔らかい最強武器を感じられると期待したが、前回のブレイントレースで料理に関するレシピかなり得たようで、今回はしないようだ。マノーリアが少しイラッとしている。
「今、少し環さんのブレイントレース期待したでしょ!」
「してません。」
「ウソっ!わたしわかるもん!」
「じゃあ、また上書きもお願いしますね!」
「バカ!」
この後、葵は稽古でみっちりとマノーリアにしごかれたのであった。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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