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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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544-アガリアレプト討伐

 漆黒のボディスーツにフードを身に纏った少女たちが、アガリアレプトの前と立ち睨みあっている。葵はこの期に少女たちの後方へと移動しつつ、ポーションと回復魔法で完全回復を行い、少し休ませてもらうことにした。信治が葵の隣に歩み寄り声をかける。


「葵くん大丈夫そうだね? 」

「なんとかな…… でも、彼女たち信治が召喚したんだろう? ずいぶんと介入するのに時間がかかったよな? 」

「あー それは…… 」


 信治が珍しく言いにくそうに、口ごもる声をあげる。葵は半眼で信治を見て口を開いた。


「それは? 」

「おそらく介入するのに条件が足りなかったからかなぁ…… と…… 」

「条件? 」

「葵くんと僕が手こずって危機的状況になること? 」

「そんな条件いらんだろう! 」

「そうなんだけど、必要な演出条件だからねぇ。召喚はできたし、ちょうどいい感じで介入したし」

「召喚するキャラクターを信治が吟味すればいいんじゃないか? 」

「そうとも言うかも」


 信治は感心するように腕組みウンウンと頷く、葵と信治のところへ少女が歩み寄る。前方を見ると、この世界でいうところの犬耳としっぽ持つ少女と銀髪ショートボブに、左目したの泣きほくろが印象的なエルフの少女が、アガリアレプトへと攻撃を仕掛け、葵のそばに歩み寄る少女は、先ほどからリーダー的存在であった金髪碧眼のエルフで、その少女に葵が声をかける。


「さっきはありがとう助かったよ」

「礼は不要よ。わたしたちはわたしたちの成すべき事をするために来たのだから」

「成すべき事ね…… 」


 葵はエルフの少女の発言に苦笑混じりにおうむ返しをすると少女が冷ややかな笑みで葵に言葉を返す。


「あなたたちが知る必要はないわ…… 」

「そう言われてもなぁ…… 」


 葵は信治の召喚した少女たちがなんのキャラクターなのかを知らない為、話を合わせるにも元ネタがわからないので対応に困る。少女は少しだけ笑みを深めて葵へと改めて声をかける。


「まぁいいわ わたしたちの邪魔をしないのであればあなたの好きにすればいいわ。忠告は素直に聞き入れる方が身のためよ、観客は演者になれないのだから…… せっかく拾った命を失うことになるわよ」

「そこは上手くやるとしてだ。なぁ信治元ネタわからんからお前が対応した方がよくないか? 」


 葵が信治に声をかけるが、信治の推しキャラは銀髪エルフのようで彼女に目がいっており、葵たちのやり取りは蚊帳の外のようだ。葵はそんな信治を見て軽く呆れて口を開いた。


「はぁ 信治は見境ねぇーな」


 よくよく見れば銀髪エルフは、現れた少女たちの中で最もふくよかな胸元をしており、環と同等のヘヴィウェポンを装備している。葵は仕方なくアドリブで対応することにする。


「キミたちの邪魔をするつもりはないが、オレも戦力として加わるからオレの邪魔もしないでくれ」


 金髪碧眼のエルフの少女が無言のままふっと笑う、そこへ長い黒髪の最年長と思われる大人びた少女が金髪少女へと歩み寄り声をかける。


主人(あるじ)様もおいでのようですが別行動をされているようで」

「彼は彼にしかできないことをしようとしているのよ。今回の相手はあの子たちだけでは厳しいようね」


 金髪のエルフ少女が返答して戦闘へと介入するようだ。戦闘はまだ継続しており、犬耳の少女が自身の数十倍はある大剣をアガリアレプトに振りかざしているが、すでに見切っているようで避けている。さすがに受け止める余裕はないようだ。葵もブロードソードをかまえ信治に声をかける。


「信治楽しんでるところあれなんだけどそろそろ戦闘に戻るぞ」

「あ、うんいいよ」

「しかし、意外だな完全ロリっ子好きかと思っていたが、お姉さん系キャラも好きなんだな信治は? 」

「うん? 」

「うん? って あのリーダーっぽい娘とかそこの黒髪お姉さんとかはオレと同い年か上だろ? 」

「いや 16とか17歳じゃないかな設定は…… 」

「え? 」


 葵は今回で一番の驚きであった。咲と花やナズナあたりと同い年で、そうなれば当然マノーリアや梔子は年上で、葵と同い年の麻衣からすれば、彼女たちが17歳ならば4歳も下になる事に気がつくが葵は頭を横に振る。


「そもそもがアニメのキャラだ年齢設定と見た目にギャップがあって当たり前だろう。リアルに現れるからフツーに驚いてしまった」

「実写のドラマや映画じゃ無理あるもんね」


 信治がアニメってサイコーとか言いながらケラケラ笑い更に続ける。


「けど、デイト様だって数千歳生きているロリ神様だからこの世界も大概だけどね。異世界サイコー」

「信治が楽しそうで何よりだよ」


 葵はいろいろなモヤモヤを魔力に込めて、エルフの少女たちに後れ馳せながらアガリアレプトへと攻撃を仕掛ける。


「よってたかって鬱陶しガキどもが~! 」


 アガリアレプトの槍さばきが雑になる。そこへ銀髪エルフ少女が魔弾を撃ち込み、犬耳少女が爪をたて、金髪エルフ少女が漆黒の剣でアガリアレプトに斬りかかる。


「ぐはっ! まだまだまだぁー!! 」

「アガリアレプト! もらった! ディっ!?」


 葵が急所突きでアガリアレプトを狙おうと懐へと飛び込む瞬間、後方から膨大な魔力を感じ、咄嗟に無理やり身体をよじりかわすと、漆黒の剣が葵の目の前を霞め飛んできて、アガリアレプトの腕へと突き刺さる。漆黒の剣の飛んできた後方見ると先程の黒髪のお姉さんエルフが転んでいる。葵は意味がわからず


「どんな技なんだよ! 」

「小僧だけでも! 」

「させるか! ディスピア! 」


 葵はアガリアレプトの槍をスレスレでかわしながら改めて急所突きを放った。


「ふざけるなぁ! 」

「もうアイツに身体を返してやれって」


 葵はアガリアレプトからブロードソードを抜いてもう一度アガリアレプトに斬りつけるとアガリアレプトは糸が切れるように倒れ伏せた。


「これで地上に戻れるな…… 」


 葵は深く息を吐いて安堵するが、どこからともなくコツコツと靴音が近づくのであった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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