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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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542-狂気の四面魔神

「本当に見た目はメフィストだね」


 信治が目の前の魔人を見て感想を漏らす。元は同じ日本人であったメフィストのカラダはメフィストが自身を強化していくに連れ魔族独特の肌や瞳の色が変わり、肉体的な部分で日本人いや人間であったと思えない。さらに、今では体内に宿る精神はメフィストではなく、四面魔神のひとりであるアガリアレプトだと言うから理解が追いつかない。いっそうの事メフィストが多重人格者で別の人格が表面に出てきたと言われたを方が納得がいくほどに、見た目はメフィストその者なのだ。遠巻きにみた邪神となった柴崎も葵たちからすれば同様なのだ。メフィストは人間であった時の交流がなく、初対面から魔人としての風貌であるからかそこまでの躊躇を葵も信治もすることはないが、今後柴崎、いや、邪神と戦うとなると自身に躊躇なくやれるかと思う部分葵にはあるのも事実だ。しかし、躊躇をすれば、自分だけでなく仲間をも危険に晒す事になるとわかっている分悩ましいと思うのだ。精神は違えど、ふっ切れて知人であった者を簡単に刃を向けられるほど、魔族を殺すことには慣れたわけではないのだ。


「信治、援護を頼む距離はとってくれ…… 何かあってカバーできるほど容易い相手じゃないからな…… 」

「了解、葵くん無の力は継続してるの? 」

「ああ、この前線に入る時にかけているし、まだ発動している…… 」


 葵は無の力を発動はさせている。しかし、皆に伝えていない事がある。邪神との戦いや勝利への条件では無の力は発動しない。今回は前線で仲間が生き延びる条件でしか発動しなかったのだ。だからこそ不安であった。生き延びたとしても重度の呪いや身体の一部の欠損での生存もあり得るからだ。そして今もアガリアレプトとの戦いで生き延びることはできるかもしれないが、葵自身だけでなく信治にも命だけは助かるものの望まぬかたちになり得るかもしれないのだ。しかし、生存さえしていれば、眷属神なり環の力で回復させられる可能性があるがゆえに葵は無の力が無発動よりも良いと判断した。さすがに何度も最大限の望むかたちを選べないのであれば、少なくとも環や白檀だけにでも話しておくべきかとは思うのだが、今は地の底である。まずは地上に上がることが先決である。


「わかった。援護は任せて」


 信治はそう言ってアガリアレプトから距離をとるように後方へと下がりビットを展開すると、葵は逆にアガリアレプトとの間合いを詰めるように歩み出し、口角を上げて挑発的に口を開いた。


「逃げるつもりはなかったが、姿がなかったからな水が怖くて逃げたしたかと思ったよ」

「小僧まだそんな口がきけるか、そろそろ死んでもらうぞ」

「そう言われても、やることたくさんあるからね。死んでる暇がありません」

「ふんっ! 黙らせるほかないようだな」


 アガリアレプトが槍を構えて葵へと走り出す。信治のビットが攻撃をはじめるが、アガリアレプトは槍で弾く手間が葵への速度を遅れさせる。


「後衛の小僧の攻撃か? 面倒だな」

「もらった! 」


 葵がその隙にアガリアレプトの懐へ飛び込む。


「甘いは! 」

「くっ! 」


 アガリアレプトがビットの攻撃を弾いた槍を握りを滑らせての槍の柄を葵の方向に突き出し葵の攻撃を防御する。葵は致命傷にはならないものの突き出された柄の打撃を受ける義理もないので、咄嗟に身体を右に傾けて交わし、グラビティコントロールで身軽にして傾けた方向へと回避する。葵が回避する間を作るためにエールが続き様にアガリアレプトに攻撃をしかけ、信治がマイクロミサイルのシャワーを浴びせる。


「鬱陶し真似を! 」


 アガリアレプトは黒い炎を纏いマイクロミサイルの攻撃を防いだが、ダメージを受けたようで血を吐き捨てた。


「次はオレだ! 」


 弾幕の影から葵が連撃を繰り出し、アガリアレプトに攻撃を封じさせ防御の姿勢をとらせる。


「人間風情がふざけおって! 我はアガリアレプトだぞぉ! 」

「四面魔神なんてひとりで充分だ! 」

「ぬぅうぅぅ! うぉぉぉ! 」


 アガリアレプトは強引に葵の剣を払い除けるが、葵はその懐のあいたアガリアレプトへとブロードソードを払う。


「ぬぉう! ふっ ふざけおって…… ぶはぁっ!」


 アガリアレプトの腹に葵が刻んだ傷から青黒い血が衣服を染めていき、蓄積したダメージによってアガリアレプトは吐血する。


「お、おのれぇ~~!! 」


 アガリアレプトは狂気したように吠えると黒い炎を濃くさせる。


「我も迂闊だったか…… しかし小僧たち道連れにしてやる」

「自爆でもするつもりか? こんなとこで爆発させたら生き埋めだぞ! 」

「麻衣さんにも強運者の手発動させてもらって正解だったよ! 」

「葵くん準備できるまでなんとかして! 」

「なんとかってなぁ接近できなくて、物理攻撃主体のオレたちだけでどうするんだよ! 環さんか麻衣でもいないと厳しくないか? 」

「その辺は僕がどうにかするから! 時間稼いでよ! 」


 信治と葵はアガリアレプトが自爆する前にとどめをさすべく行動に出るが、アガリアレプトの纏う黒い炎ががなくまるで、火災旋風のように周囲に嵐を巻き起こす。


「うまくいってくれよ、表の正面! 」


 信治はSUVの攻撃をオートに切り替え手元に本型の魔法具を装備しペラペラとページをめくりながら、行動成功率向上の女神の力を発動させさらに叫んだ。


「ヒーローズエンサイクロペディア! 」


 信治はまたもやキャラクター召喚魔法を唱えるのであった。

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