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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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528-からかい上手のアイズさん

 邪神軍幹部であるS級魔族が主戦場へと現れたことにより、守星連盟軍の動きも変わった。騎士、兵士の強者と高ランク冒険者で構成された部隊が守星調査隊と入れ替わり前線を担当し、守星調査隊はS級魔族に専念する。守星調査隊でなければ被害が拡大するのが容易に想定できるからだ。他の上位魔族であれば、一般の強者でも相手にできるが、サタナキア一体で、簡単に部隊が全滅させられる。守星調査隊の援護には遠方から攻撃できる魔導師と補給・医療混成部隊それを護衛する最低限の騎士部隊のみで構成されている最低限の数だ。しかもこの部隊の本来の任務は最悪の有事に後方にある星形砦に邪神軍を誘き寄せ、残存する周囲全部隊よりかき集めた魔法適正者によって砦ごと魔族を殲滅する。それでも邪神軍進攻が抑えきれない場合は、ロスビナス皇国領土の大半をストロングスピア同様に完全結界で封印する最終手段を取る。


「前線にS級魔族の四面魔神サタナキアと未確認の新たな魔族2体が皇国守星調査隊の如月騎士長と神無月特務騎士と戦闘が開始されたとのことです」


 伝令の騎士が混成部隊部隊長の乗る馬車へ並走するように馬を横につけ報告する。


「承知しました。部隊はこのままもう少し、500メートルほど前へ、到着後医療隊は受け入れ準備をはじめてください。守星調査隊の方も受け入れてかまいません。魔導師隊は部隊全面へ周囲の結界と攻撃準備を」


 それを聞いた伝令の騎士が耳を疑うように部隊長へと返答する。


「500メートルって、もっと近づかなければ、前線の負傷者を救出できなくなるかもしれませんよ! 魔女クローバー! 」

「サタナキアが現れたのでしょう。ここが限界ギリギリなんです。あなたは守星調査隊がS級魔族と闘う戦場を見たことありますか? マノーリアや葵の闘いをご覧になったことは? 」

「いえ…… ありません」

「本格的な戦闘になれば、我々後方が近づけるギリギリです。おそらく守星調査隊以外の部隊は後退せざるおえないので、時期に前線が後退します」

「ロゼッタそれくらいに! 報告感謝するまた頼む! 」


 伝令の騎士と馬車の間にアイズが割って入るように馬を進め、ロゼッタと騎士の仲裁をし、伝令の騎士を前線へと戻らせた。魔導師と治療師として優秀であるロゼッタは、各眷属神の代行者に並ぶ逸材であり、この部隊の指揮を任せられている。その護衛を婚約者であるアイズが選抜された騎士を率いている。ビナスゲートの騎士団は北部部隊に展開しているが、騎士団長のアイズだが、騎士団は副騎士団長に一任しこの任に着いている。その際、副騎士団長に騎士団長の役職もアイズは引き継ぐつもりであったが、副騎士団長から断られた。生きて帰ったら騎士団を返すと言われ、アイズもロゼッタを護りきり、帰ってこいと言われた。苦楽を共にした親友の言葉にアイズは甘えさせてもらうことにした。アイズにとってもビナスゲートの騎士団は大切な存在だが、それと同じ、もしくはそれ以上に、守星調査隊には感謝と尊敬を抱いているし、ロゼッタも同様である。だからこそ守星調査隊に何かがあれば、力になりたいのだが、不用意に近づけば、彼らの戦いの支障になることをアイズもロゼッタも理解している。これは共に戦い、彼らとS級魔族の強さを知っているからこそ、距離を取る必要があるのだ。先程の伝令の騎士の言っていることは間違いではないが、それは普通の戦場であればの話である。ロゼッタは冷静を装うが、親友のマノーリアの事が気がかりであるのだう。後方で見守る事しかできず、最悪の場合は自分たちが完全結界の指揮を取る。それは、守星調査隊の全滅、もしくは誰かが犠牲になって起こりうる話だ。ロゼッタ言葉の端々に苛立ちをアイズは感じた。アイズはわざとらしく声をあげて笑った。


「アイズ様どうされたのですか? 」


 ロゼッタがアイズの笑い声にキョトンとして、素の表情でアイズに尋ねる。


「ただの思い出し笑いです。ロゼッタ」


 アイズはわざとらしく笑い理由を隠し返答する。


「気になるではありませんか! 教えてくれないのですか? 」


 ロゼッタが口を尖らせ甘えるようにすねる。かわいい婚約者に隠す理由はないが、嫌われたくないだけだ。


「いえ、隠すつもりはないですが…… ロゼッタが今みたいな時は、いつも神無月殿がロゼッタにちょっかいを出していたなと思いまして、あれは神無月殿なりにロゼッタの不安取り除いていたのだと気づきました。今後は神無月殿でなく夫となるわたしの役目かと」

「葵がそんなつもりがあるわけないじゃないですか! アイズ様は葵に騙されています! アイズ様がそんな葵みたいないじわるしないでください! 」

「ロゼッタも神無月殿も素直じゃないですからね~ 以前にもそんな話ありましたがやはり似た者同士なんですね」


 アイズが肩をすくめて苦笑する。


「アイズ様~ 」


 ロゼッタが口を膨らませて怒ってみせるが、それはそれでアイズにはかわいいだけなのだが、またアイズが口を抑えて笑い。


「す、すまない。ロゼッタの怒った顔もかわいらしいくて、これでわたしもリラックスできたので護衛がんばります! 」


 アイズの声に周りの魔導師や治療師もクスクスと笑っている。ロゼッタは恥ずかしいのとからかわれているので顔を真っ赤にしている。ロゼッタが立ち去るアイズの背に叫ぶ。


「わたしは怒っているんですー!! 」


 アイズは振り向きロゼッタに投げキッスをして手を振って部隊全面へと指揮を出しに言ってしまった。残されたロゼッタは周囲の魔導師と治療師にひやかされるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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