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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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525-後衛前進

 邪神の目的はいったいなんなのか、それは星に生息する生命体を一定数までに減らし、家畜や奴隷として飼い冷遇する。星を壊滅的な状況で維持させ、魔族の住まう環境へと変簿させる。そう神々からの言葉として言い伝えられてきた。星の破壊ではなく、苦しむ生命を玩具のようにもてあそび、必死成長しようとする木々や植物は立ち枯れていくそんな世界、いっそう破壊してしまった方が良いのではと思う程の地獄のような星に変えるのが目的とされる。魔族たちの殺意には迷いがなく、その為に生まれたと納得出来るほどのためらいのなさだ。


「守星調査隊前へ! 」

「みんなあたしの歌を聴きなさい! 」


 馬車の上から環が号令を声高々にあげ金剛杵を前方へとかざす。平行して走る馬車の麻衣が歌を歌う。麻衣はフライトバイクを馬車に接続させて馬車とフライトバイクのユニットを全て展開して、麻衣の力を増幅させている。その麻衣と環の回りには、麻衣の眷属であるダンサーたちが10人程が護衛する。その場所の上をロボット掃除機型コミューターのSUVに乗る萌が追い越し麻衣に声をかける。


「わたしも一緒に行くからね! ずっと後ろにいるなんてつまらないもん! 」

「萌は案外言い出したら聞かないわね」

「麻衣さんには言われたくない! 」


 麻衣が呆れるように肩をすくめるがそれを見て、萌が口を尖らせ抗議している。萌は守星調査隊の母艦であるWBHを後方に残し、単身で守星調査隊後衛に加わったが、萌の乗るSUVは萌専用でWBHの操舵を行うメインユニットであり、信治によってWBH装備武器のミニチュアが周囲に武装されている。


「危険になったら必ずWBHに搭乗してくださいね。お約束ですよ! 」


 環が萌に念を押すように声をかける。その環の脇から萌と似たSUVに乗る信治が馬車に並走し声をかける。


「環さんその辺は萌さんが気にしなくてもWBHが萌さんを守りに来るし勝手に回収されるから」

「信治! そんなの聞いてないよ!」


 萌がWBHのシステムにそんな安全装置があったとは知らなかったようで開発した信治に抗議する。


「団長にも環さんにも念を押されたし、それに葵くんや麻衣さんからもね。萌さんが運動神経が良いって行ってもこっちの人には遠くおよばないんだよね~ だから引き際は肝心だよ」

「そんな~ わたしだって戦いたいのに~ 」


 萌がしょぼんと肩を落とすが麻衣が萌を諭すように声をかける。


「当然戦ってもらうわよ! 後衛としてね♪ けど、萌は加護授かったわけではないんだから、あたしたちよりも危険な行為は絶対にさせない! それが約束よ! 」

「わかってるよ~! 」

「萌さん前衛が止まりました。中衛と合流します。前線の戦場になります! 」

「りょ、了解! 」


 環が萌に声をかけるその表情は今までと違い硬い、萌は麻衣と信治の表情を見ると同じような真剣な表情をしている。WBHから声を聞いていただけでは感じとれなかった皆の緊張感に萌は自身の甘さを叱咤するように両頬を両手でパシッと叩いてから返答する。


「いきますわよ! 契約の元に顕現せよ! 召喚獣たちよ! 」


 中衛の馬車には咲、花、ジンジャーがのり前衛を援護していた。ジンジャーがタイミング見計らい召喚銃によって、ワルキューレとイフリートとパシュラーマが顕現する。麻衣がそれに合わせて歌う曲を変化させ眷属たちも咲たちの乗る馬車の周囲まで護衛対象を広げて攻撃してくる魔族をダンスのような動きをしながら攻撃し倒していく。


「動きが止まった! 花! 右お願い! 」

「了解! そこっ! 」


 魔族たちがジンジャーによって召喚された戦士たちを警戒したり、麻衣の眷属に気をとられている間に、咲がマジックアローで花がロングレンジマジックライフルで仕止める。


「S級出てくる前にできるだけ倒すよ! 」

「クーさんたちだけに良いかっこさせられないしね! 」


 咲の弓技の命中と花の必中が次々と魔族を貫き絶命させる。


「咲さん花さんさすがですね。さらに腕を上げたようでユーオズさんも誇らしいでしょうね」


 合流した環がふたりに声をかける。ふたりは視線を合わせると環に向いて頷きで返答する。環が後方にいた騎士に声をかける。


「さらに我々は押し上げます。後お願いいたします」

「御意! 魔導師隊と補給部隊前へ! 領域結界を速やかに! 前衛の補給路を絶やすなよ! 」


 騎士の指揮を聞いた周辺の部隊が隊列を組んで魔導師隊と補給部隊を守るように周囲に配置する。


「では、お願いいたします! 」

「御武運を! 」


 環がそれを見て騎士に声をかけ、さらに前線の近くまで馬車を進める。肉眼でも前衛の皆が見分けられる数十メートルの距離まで近づく。


「萌さん一掃するよ! 」

「了解! 」


 信治と萌のSUVから無数のマイクロミサイルが発射され前衛が対峙する魔族たちに撃ち込まれる。


「後ろも追いついたようだな」


 その攻撃から白檀が後衛の環たちが追いついたことを気づく。


「環たちが追いついた出し惜しみなしだ! 魔力切れや負傷したら一度下がり回復を順番にする! 一掃する! スターマイン! 」


 白檀が剣技を放ち周囲の魔族が絶命する。


「負けてられないわねぇ~♪ 」


 アイが白檀に負けじとふわふわとした声音をしているが、その剣筋は今まで以上に力が入っている。


「アイさんも案外脳筋だよね~ 」

「あらそう♪ クーちゃん」


 梔子が空から魔族の群れに飛び込み剣技を放ち、おまけとばかりに近くにいた魔族を蹴り飛ばし、アイに背中を預けるように立つ。その近くにはベルーフとナズナも連携して魔族と対峙する。


「葵くんわたしたちも! 」

「ああ」


 魔族の群れに飛び込んだ葵とマノーリアが周囲を囲む魔族を一掃したその後方に他の魔族とは明らかに違う魔族の気配を感じる。


「待たせたな神無月! 如月! 」

「サタナキア! 」


 とうとう現れたS級魔族はサタナキアだった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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