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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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524-カーラスの合流

 今時季のロスビナス皇国特有である盛夏の晴天である高い空が広がる。戦時でなければ夏の大祭の準備に各街は賑わいをしている頃であろう。しかし、国、いや、大陸の未来を左右する邪神軍進攻によって、民たちが楽しみにしていた大祭はなくなり、最高神アマテウスと各眷属神への信仰の為の最低限の装飾だけが各神殿にされている。街を行き交う人々の表情は険しいが、後方で生活する者たちは祈る事しかできない。眷属神を奉る神殿や女神の大社には、戦地で戦う者たちの無事を願い祈る者たちが持ち寄った供物や花で飾られている。人々は不安を拭う最大の材料は、自身たちが信仰する神たちが復活したことだ。デイト・ア・ボットやカーラス・テノーグの目覚めは人々に勇気を与えているのだ。


「民たちと共に魔族の殲滅を…… 」

「御意! 」


 カーラス・テノーグは自身最強の眷属であるクラウドナイトに指示を出し地上へと降り立つ。クラウドナイトたちカーラス・テノーグの眷属たちは騎士や冒険者たちのもとへと飛んでいった。カーラス・テノーグはデイト・ア・ボットに歩みより肩を貸す。


「遅くなりましたデイト…… 」

「危うくこんなところで討ち死にするところだったぞ! 葵さんに笑われるところだった…… 」


 デイトは苦笑しながら軽口を叩く。カーラスが目元を仮面で隠しているが、その仮面越しでもわかる笑みを浮かべてデイトに返答する。


「そうですね。葵さんにはやることをやってからでなければ何を言われるかわかりません」


 デイトはポーションのアンプルを取り出し飲みほし回復している。


「時期にエーテルも追いつきます。それまで回復は自分たちで、ポーションの数は? 」

「ああわかっている。問題ない」


 カーラスがデイトを護るように立っていたが、デイトがそのとなりに並び大剣を構える。婀娜が険しい表情を浮かべて口を開く。


「ブスガラス! わらわのカラダを返すでありんす! 」

「何を勘違いしている? このカラダを奪いきれなかったのはあなた自身です」


 カーラスは自身の胸に左手をおいて少しだけ目を伏せる。そして改めて婀娜に強い視線を向けて話を続けた。


「決してあなたのような者に屈することはありません! わたしはそれを信治さんからいただき、そして学びました…… 」


 その言葉はカーラスでなく柊の言葉だった。カーラスと柊がひとりとなり、今のカーラス・テノーグが存在する。家族を魔族に殺され、自身さえも魔族に操られた柊の抗う強い思いがその言葉からは感じられた。


「ふんっ! 結局人間との愛などとくだらないものを信じるなど…… 哀れでしかたないでありんすね~ そんな者が神を名乗るなど滑稽にもほどがありんす。そなたは泥人形と違ってそのカラダなら醜い殿方…… ああ、そなたはあの醜い小僧が好みでありんしたかでは、醜い者ではただの快楽になってしまうでありんすね♪ まぁそなたに与える快楽と憎悪は勝敗の後で決めるでありんす」


 婀娜がカーラスを挑発するように扇子で口元を隠して笑みを浮かべる。


「婀娜嬢、相手が決まったようだがわたしがデイト・ア・ボットで良いのだな? 」

「ええ、泥人形との相性は、わらわはあまり良くないでありんすからね~ サーベラス殿におまかせするでありんす」

「わかった」


 サーベラスが肩に乗せたハルバートを構えて婀娜から離れデイトに視線を向ける。それに応じるようにデイトも大剣を構えたままカーラスから離れていく。カーラスもまた腰の刀を抜いて構える。


「推して参る! 」

「ブスガラスが! 」


 カーラスの黒い刀身の刀と婀娜のエストックが弾き合う、互いに軽い剣筋で素早い間合いを得意とする為か、相性が良いが似ている分勝敗の行く末は見えて来ない。強いて言えばカーラスが空中戦を得意とするので、婀娜が空中へと回避するようなことがあれば、婀娜に勝ち目はない。カーラスは婀娜が空へと回避するような攻撃をしかけ、婀娜はカーラスの思い通りにならないよう、回避しながら攻撃に転じ、互いの意図反する攻防が繰り返される。一方で技量と力を併せ持ち大技の多いデイトとサーベラスは、ハルバートと大剣の鍔迫り合いになる度に周囲に衝撃波をもたらす。その衝撃波だけでも致命傷になりかねない。通常の人間が近づけるような環境ではない。実際の神々と悪魔の戦いを点のように見える距離の後方でハリーやベルガモットは見ながら隊を指揮するのであった。


「つくづく自分が不甲斐ないと思うよ…… マノーリアや葵は神々と共に戦えると言うのに…… 」

「何を言っているベルガモット。お前が平気でも部下たちが耐えられると思うか? オレたちにはオレたちの仕事がある。だろう? 王国騎士団長殿! 指揮を頼む! 」


 ハリーがベルガモットの背中をパンと戦う。マノーリアや葵の前では絶対に見せないベルガモットの顔だ。ハリーも梔子や白檀に環が最前線で戦っているところで共に戦いたいと思っているが、守星連盟本部に加わった今、自身の仕事は別にあると誓った。ベルガモットは自身の長髪を結い直し槍を構え声高々に命令を下す。


「これより向かい来る魔族を殲滅する! 全員かまえ! 前へー 突撃! 」

「おー!! 」


 騎士や冒険者がベルガモットの号令に声をあげて魔族へと突進する。魔族たちの前に空からの攻撃が加わる。


「我は大気創成の神眷属神カーラス・テノーグ様が眷属クラウドナイトである我々眷属が共に戦う」

「心強い助っ人だ! 」

「これで勝てるぞ! 」


 デイトの眷属の数が減っていた分カーラスの眷属の合流で気運が高まるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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