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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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523-デイトの誤算

「来たかデイト・ア・ボット」

「サーベラス貴様は後だ! 」

「ん? 」


 地面を滑るように走るデイトは、三犬頭の悪魔サーベラスと剣を交える振りをして、サーベラスの一歩手前で剣を地面に突き刺し爆煙を放つ。


「まずは貴様だ! 婀娜! 」

「やれやれ、小娘のブスどもどころかブス女神の泥人形とは…… わらわが相手にする理由がないでありんすね~ サーベラス殿~ その醜い人形をとっとと倒してこの泥人形の相手してくませかんえ~ 」


 デイトが砂埃から飛び出し、大剣で婀娜へと斬りかかる。婀娜はとっさに扇子で受け流し、後方に回避すると胸の谷間にしまいこんでいたキセルを取り出し、一口吸ってからくるりとキセルを回して火皿側を握り吸い口を伸ばしエストックのような突剣へと変化させる。さすがの婀娜もデイトの攻撃を弾く程の技量はないようで、受け流し回避するのがやっとといったところだ。デイトが爆煙を起こしたのは婀娜への急襲の他に理由があった。それはサーベラスを足止めする必要があるからだ。デイトが婀娜を相手にするとなれば婀娜以上に強者の魔族であるサーベラスを相手に出来るのは、ここには眷属であるダイアモンドナイトしかいない。ダイアモンドナイト2体がサーベラスを相手にかまえている。その周囲にスティールナイトとチタンゴーレムも2体ずつサーベラスにつける。6体でサーベラスの相手をさせるがそれでも倒すことは難しいとデイトは見ている。


「婀娜嬢そうわがままを言うな、このデイト・ア・ボットの眷属、人形のわりになかなか悪くない。少々時間潰しにはなろう。それまではうまくやってくれ、しかし、デイト・ア・ボット良いのか? 我々の相手にこれだけ眷属を当てて…… 大切な人間どもたちだけで耐えきれるか? 」

「なーに心配無用だ。まだわたしの眷属は残っている。それに民たちもそうそうやられるつもりもないからな」

「ほう…… それは頼もしい…… 」


 デイトが婀娜と睨み合いつつ、サーベラスへと返答する。サーベラスは6体を相手にまだ余裕があるようだ。サーベラスはデイトに向けた顔に悪意ある笑みを浮かべ、反対の頭を振り合図をすると後方の魔艇から魔族たちが一斉に出てくる。


「ちっ! 」


 思わずデイトが無表情のまま舌打ちをひとつする。それを見た婀娜が扇子で口を隠し笑う。


「泥人形が舌打ちとは…… 言う程余裕がないようでありんすね~ わらわも楽しませてもらうでありんすね~ 」


 婀娜は口を隠していた扇子をピシャリとたたみ、その腕を前に差し出し、あらためて扇子を開いた。これが婀娜の命令なのであろう、婀娜の配下のサキュバスやオノケリスが魔艇から現れる。


「人間どもを快楽と混沌と憎悪で狂わせるでありんす! 」


 魔族たちはデイトとデイトの眷属たちを無視して後方の部隊目掛けて進軍する。デイトが数体の魔族を斬るが、そこへ婀娜が割って入る。


「相手が違いますえ! 泥人形! 」


 婀娜の高速の突きがデイトを襲う。


「聞いていたが想像以上に手練れだったか…… 民たちよ耐え忍んでくれ…… サーベラスを頼む! 眷属たちよ! 」


 デイトが一瞬の隙をつき、婀娜から距離をとり大剣を構え直す。


「今は、貴様だ…… 婀娜…… 」

「あらたまって何を言うかと…… さっき聞いたでありんすえ~ 」


 力と剣の技量ではデイトが優るが、婀娜はうまく受け流し回避する。そこには幻惑などをおりまぜているようだが、デイトが見破れるほど簡単なものでもないようだ。


「さすがにサキュバスの女王ってところか…… 」

「泥人形に褒められたところで…… わらわになんの得もないでありんすね~ その人形の身体では美人局にもなりゃせんしね~ 泥人形は泥に戻っておねむりなるでありんす!」


 婀娜の突きの連撃がデイトを襲う、デイトは岩壁を作り婀娜から距離をとるように後方に下がり大剣をかまえなおす。


「想像以上の剣筋…… 婀娜をさっさと倒さねば…… 」

「随分と婀娜嬢に手こずっているようだな? デイト・ア・ボット」


 デイトに声をかけるサーベラスの足下には、最後まで健闘していたダイアモンドナイトが倒れサーベラスのハルバートが突き刺さっている。


「次は人間だ…… デイト・ア・ボット」


 サーベラスは、挑発し悪意の笑みをデイトに向け足下のダイアモンドナイトを突き刺したままハルバートを振り回しダイアモンドナイトを魔族たちと戦う人間たち目掛けて振り投げた。


「ロックブラスティング! メテオシャワー!! 」


 デイトがダイアモンドナイトの亡骸を爆発させ、更に周囲に星屑の雨が降り注ぎ、周囲の魔族を焼き貫く


「わらわの相手をするのではなかったのでありんすか? 」

「人間をかばいながら戦うつもりか? 鳳凰や青星の小僧どもとわかれたのが貴様の運のつきたことだ」


 婀娜とサーベラスがデイトに猛攻をしかける。S級魔族2体を相手にするのは、デイトでも無理がある。デイトは大剣を盾にサーベラスと婀娜の猛攻に防戦になるしかないようだ。


「デイト・ア・ボット死ね! 」

「ぐはぁっ! 」


 サーベラスがハルバートを振りかぶりデイトの脇腹を振り抜いた。デイトは咄嗟に大剣で防ぐのがやっとで吹き飛ばされ大剣を支えに立とうとすると婀娜のエストックがデイトを突き刺す。


「しぶいといでありんすね~ この状況でかわすなんて」

「お前らが、ふたりであろうと好きにはさせん…… ぐはぁっ! 」


 婀娜は扇子でデイトを張り倒しエストックが貫いたデイトの肩を自身の鋭利なピンヒールで踏みにじる。


「ぐっ! あっ! くそっ! 」

「早く泥に戻りなさい…… なっ! 」


 婀娜が何かに気がつきデイトから離れると同時にサーベラスがハルバートで空を払うと地面に黒い羽が突き刺さる。


「カーラス・テノーグ…… か? 」

「いかにもわたしはカーラス・テノーグ」


 南部部隊に帯同していたカーラス・テノーグが合流したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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