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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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518-谷底の乱戦

「魔族の軍勢を確認! ものすごい数です! 」

「まだだ! ギリギリまで引きつけろ! 」


 谷底を見下ろす位置に配置された防衛兵器に張りついた部隊が谷底を進攻する魔族たちを視認する。その数は今までとは桁違いで、谷底を埋め尽くすほどの下位や中位の魔族が群がって向かってくる。一般の兵士では相手にできる数ではない。報告する兵士の声に緊張や恐れのようなものが混じるのも仕方がない、上官の指示も本当にそれで良いのかと迷いを感じさせるものが混じっているが、この防衛兵器を作った守星調査隊の少年は平然と引きつけるように言っていた。目安は同じ装備だが自動で攻撃を行う谷の数メートル下に設置された兵器とタイミングを合わせろとの事だった。兵士が焦るように上官に声をかける。


「た、隊長! も、もう500メートルもないですよ! あいつらにこちらも見えてたらやられちまいますよ! 」

「まだだ! 誘導の隊に誤射したらどうする! 」


 魔族の軍勢はどんどんと近づいてくる。防衛兵器を指揮する隊長は隊と言っているが、魔族たちの軍勢の数百メートル手前で2台のフライトバイクが誘導している。厳密に言うとひとりが誘導し、その護衛をしている。


「やっぱりボイスファシーネイトはちょっと使いたくないわね…… 」


 麻衣がぼやく、ファシーネイトは魅了のような精神系攻撃で、下位や中位の魔族たちには特に効果があり、生殖能力のない種の魔族ですら、麻衣に上気し迫ろうとしてくる。麻衣が可能な限り使用してこなかった力である。


「麻衣さんには指一本ふれさせないわ! 」

「そうそう! その為にわたしたちが一緒なんだからさ~ 」

「そうねぇ~ さすがにあたしも魔族の相手はごめんだわぁ~ 麻衣ちゃんの魅了はすごいわねぇ~ あんな発情してぇ~ オーガなんてひとりではじめてたわよぉ♪ 」


 葵のフライトバイクにマノーリアが、麻衣のフライトバイクにアイが便乗し、梔子が並走するように飛んでいる。葵がアイの言葉に諭すように返答する。


「アイさん生々しいから実況しなくていいって! この3人その辺りの免疫案外ないからね」

「あらぁ♪ 」


 アイは愉しげにクスクスと笑っている。アイの言葉に麻衣とマノーリアと梔子はオーガに目が行ってしまったようだ。マノーリアと梔子は見てはいけないものを見たように赤面しながら目を反らし、麻衣はオーガが自分の魅了によってはじめた自慰行為に悪寒を感じたのか、自身を抱くように腕を回した。この世界のオーガは、元々人間の男性の為、生殖能力を残している。麻衣がこらいきれないようにフライトバイクを転回し、自動操縦に切り替え上で立ち上がりバックしたまま魔族たちに向き合う。


「もういいわよね! 我慢できないわ! 魅了させる意味が違うわよこんなの! 」

「後、数秒だ! 我慢しろ! 」


 葵が麻衣を制止する声をかける。マノーリアも麻衣に声をかける。


「麻衣さん見えてきたわ! 後、10秒! 」

「早く! 」


 麻衣は10秒が待ちきれないかのように声をあげる。


「よし! 麻衣いいぞ! 」


 葵が合図のエマージェンシーの魔法を放ち、待ち伏せいしている全部隊へと総攻撃の合図となった。


「攻撃はじめ! 撃てー! 」

「魔導師隊続け! 」


 防衛兵器が火を吹き谷底めがけて弾雨の嵐が吹き荒れるが、魔族の数が多く、致命傷を受けていない魔族や前衛を盾に肉壁として後続の魔族が抜けてくる。


「弓兵部隊撃ち漏れた魔族を狙え! 」


 想定いた魔族たちの進攻に防衛兵器のすぐ後方に待機していた弓兵部隊が矢の雨を降らす。


「無理して追わなくていい! 残りはこちらで対応する。後続の魔族がまだまだ来るぞ! 」


 白檀は谷底の前衛の前にたち谷の上にいる各部隊へと声をはった。そして谷底で白檀と同じ様に魔族を待ち構える猛者たちへと向き直って声をかける。


「今までとは訳が違うからな! ムチャをすれば死ぬと思え! 後方の仕事を恥ずかしがることはないからな! オレもビビったらすぐにお茶出しに回るからな! 」

「鳳凰白檀に出されたお茶じゃそれだけでプレッシャーだ 」

「そんなお茶飲む前に鳳凰白檀がビビるような状況じゃオレたちはいろんなもん漏らしてるだろ? 」


 白檀の周りの冒険者や騎士たちが軽口を言って場を和ませる。数百人の騎士や兵士、冒険者の猛者たちが強面な顔に似合わない笑みを浮かべている。


「白檀お兄様! お願いします! 」


 葵のフライトバイクからマノーリアがふわりと飛び降り白檀の前と降り立った。白檀は改めて声をはった。


「よし! 戦闘開始だ! 」

「守星調査隊だけにいい顔させるな! 」

「第2小隊団長に続け! 」

「焦るなよ! 」


 猛者たちが各々の仲間に声をかけて前進する。葵もフライトバイクを転回させて来た谷を戻るように走り出す。


「ビット行け! 」


 葵がビットを射出し展開する。


「葵くんWBHは対魔艇ように温存するから頼むよ! 」

「ああ、萌援護頼むな」

「了解! 主砲以外になるけどね」


 萌から念話が入りきれると同時に後方からWBHのビットが葵の上空を魔族に向かって飛んでいき攻撃をはじめる。同時に白檀が初手の攻撃で口火を切った。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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