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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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511-仲間を見捨てない

「信治鎖切れるか? 」

「ミサイルもビットも使いきってるから無理! 」

「ナズナは? 」

「わたしも腕が自由にならないから無理です」


 信治とナズナの元に向かう葵が念話で問いかけるが、本人達が拘束されている鎖を切り脱出することは厳しいようだ。


「すぐ行くから待ってろ! 」


 葵は魔艇から飛び降りて信治たちのもとへと向かう、白檀たちもまた信治とナズナの元に向かう中、白檀が念話で後方に控える環たちへと念話をつなぐ。


「環! 魔艇の破壊は失敗と判断する。信治とナズナを救出したら離脱する。魔艇があの魔弾の発射準備に入った。後方も発射に備えてくれ! 環、後は頼んだ! 」

「白檀さん!? 」


 白檀からの念話は切れその後の返答はなかった。あまり見せない白檀の焦りの声音に窮地であることは理解できたが、状況がわからない分、不安は募るばかりだ。白檀と切れた念話にベルーフが環に声をかける。


「皇女様今の団長の念話だと、信治とナズナが危険のようだけど、全員が危険なんじゃないか? 」

「はい、わたしもそう思います。白檀さんはふたりを救出する前提で話していますから、おそらく皆さんも同様の行動をとられているでしょう」

「環さん行こう! 」

「萌さん」

「WBHの速度なら数分の距離だよ! 」

「わたしも萌さんに同意です! 行きましょう! 」

「あたしもです! 治療師や薬師の人数も補給隊も追いつきました。あたしたちが前に出ても問題ないです! 」


 環とベルーフの会話に萌が割り込み口を開いた。続けざまに咲と花が環に萌に賛同する声をあげる。環は共にいた里菜とワークに視線を向けるとふたりもコクりと頷き、環に意思を伝える。


「環ちゃんそんなの尋ねなくてもみんな思いは一緒よ♪ 早くいきましょ♪ ねぇジンジャーちゃん」

「アイお姉様の仰る通りですわ!同意を求める必要なんてないですわ! 皇女様」

「アイさん、ジンジャーさん」


 環の背を押すようにアイとジンジャーが環に声をかける。環はコクりと頷き皆に指示を出す。


「では、直ちにWBHに搭乗してください! 特別任務の皆を救援に向かいます! 」

「了解!! 」

「みんな急いでね! みんなが乗ったらすぐに発進するから! 」


 萌がそう言って低空で待機していたWBHを皆が乗りやすい位置まで降下させる。環と花が里菜とワークを支獣に同乗させてWBHへと乗り込み、他の者たちはベルーフがグラビティコントロールで重力を軽減させて飛び乗りベルーフが萌に念話で声をかける。


「萌、全員乗艦した! 」

「了解!! 全速発進するからみんなつかまって! 」


 WBHの推力となる風魔法を応用したエンジンが、一気に風を吹き出しトップスピードで飛び立った。


「位置が悪い! 射線ど真ん中だぞ! 」

「葵さんマノーリアさん壁をできるだけ作りましょう」


 葵の言葉にデイトが葵とマノーリアに岩壁を作るように指示をする。


「クー! あたしたちも! 」


 信治とナズナの元にたどり着いた麻衣と梔子も各々が結界を作り出す。


「さっきの距離であの威力だぞ! この至近距離でまともに受けたらどうにもならんぞ! 」


 白檀も結界を作りながら、これで防げる自信はないようで、いつもの白檀の余裕が表情から消えている。


「みんな避難してください! わたしたちのことはいいから! 」


 ナズナが泣きながら悲痛の声で叫び、自身と信治の周囲に植物で防壁を作り、皆がナズナが作り出した植物に押し出されるように距離ができる。


「ナズナ! 聞こえるなか? 」

「う、うん、葵お兄ちゃん…… 」


 葵が念話でナズナに声をかけるとナズナは泣きながらも葵に返答する。


「落ち着け絶対問いかけるに助ける。けど、ナズナと信治がやれるだけの防御はしてくれ! 」

「う、うん…… 」


 植物は更に増殖し葵たちの作った岩壁をものみ込む。


「葵くん無の力はまだ発動してるよね? 」


 信治が葵に問いかける。


「ああ、まだ作戦が終わってないからな継続してる」

「わかった。麻衣さん、また強運者の手お願い! 」


 葵の返答に信治が麻衣に声をかける。


「わかったわ! いくらでも使ってあげるから必ず生きて戻ってきなさい! 」


 麻衣が了承し麻衣が手を突き出し大きく息を吸って唱える。


「強運者の手! 」

「ありがとう! 」

「そんなの生きて帰ってからでいいわよ! 信治早く! 」


 信治が麻衣に礼を言うが麻衣に叱咤される。


「表の正面! 」


 信治が表の正面を発動する。


「更に結界を強化だ! 」


 白檀が更に結界をはるように皆に指示を出す。その時念話で皆に信治の何とも言えない声が聞こえる。


「いくぞ! あっ…… 」

「どうした? 信治! 」


 白檀が信治に尋ねる。


「本が出せない…… です…… 」

「本ってウェポンブックとかお前の武器か? 」

「はい…… ウェポンブックは手にはありますけど…… ヒーローズエンサイクロペディアいれてるボックスに鎖がからまってて…… 」


 信治が造り出した信治が好きなキャラクターを召喚する本であるヒーローズエンサイクロペディアをウェポンブックを装備している間は、SUVの装備用フレームの手の届く内側に、本型の武器収納用のボックスに保管していたようで、それにカースカロッツェリアの鎖が巻きつき本を取り出せないようだ。


「ナズナ! 植物の隙間を開けろ! 」


 葵がナズナに声をかける。


「葵お兄ちゃん…… でも…… 」


 ナズナは葵の言葉に躊躇するように返答する。ナズナと信治を囲む植物の檻を開ければ皆が入ってくることを拒んでいるようだ。


「いいから! 早く開けろ! 時間がないんだ! 」


 葵はナズナに今までに発したことのない強い口調でもう一度伝える。


「あっ は…… はい…… 」


 ナズナが返事をすると植物の檻が一部植物がクネクネと動いて中への通路を作る。


「葵時間がない! 」

「急ぎます! 」


 白檀が魔艇の方向見て葵を急かす。葵は信治とナズナの元へと向かうのであった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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